主なき愚かな猟犬
「………は?」
今こいつは何と言った?
テイラーだと?この……肉の塊が?
「お前さんも、思えば今うちが何を主力に稼いでんのか知らねぇよな?すげぇんだぜ…この(拍動の生命器官)は…この世のあらゆる生命の在り方を歪ませるんだ。でよ、こいつの力をうまく使えばよぉ…どうなると思う?」
頭が回らない。
「不死身のような存在になれるんだなぁこれが!…ははは!すげぇだろ!?テイラーにはよ、何かを不死身にさせるよう覚えさせたり、その何かを誰に指定するかについては糞面倒だったんだぜぇ?マジで褒めてくれよ…?ここまでたどり着くまでに最良の結果を選んだとしてもどれくらい犠牲を出したんだっけなぁ!!」
「……。」
「だからよぉ、ディナルド。テイラーも望んでるってわけだ。今!この我が社のあり方を!俺らがこれからも{天翔生命}をうまく回していくために自らを犠牲にしてくれてんだぞ。泣けるだろ?まぁ、ハクンには申し訳ないとは思ってはいたんだぜ?でも、しょうがねぇだろ?あいつはあめぇからよぉ。テイラーのことは忘れた方がよかったんだ。じゃないと切れるものも切れない中途半端な女になっちまう。」
理解が追い付かない。いや…理解することを脳が拒んでいるのだ。
こいつは……外道だ。
瞬時に爪を伸ばし、リカードの方へ切りかかる。
リカードはそのことに気づいていたかのように拳ではじき返す。
「あっっめぇ…なぁ!!!そんなんだからおめぇさんは全部手遅れになっちまうんだよ!!!」
「しゃべるな……人の道を外れた屑め!」
「喋ろやら、喋るなだったり、そんなん、おまえさんの方がてんでおかしくねぇか!?」
「貴様…!貴様だけは生かしては置けない!!!」
目の前の男を殺すことで頭が埋め尽くされる。
「同胞よ!狩りの時間だ!この屑を喰らい尽くせ!!」
そして、身からも、影からも同胞をリカードの方へ飛ばす。
「…おぉ!?ちっ。このクソ狭い部屋でそりゃ卑怯ってもんだろっ!」
同胞に合わせ自分自身でも大きな爪をリカードへ向けて駆ける。
「卑怯だと!?…貴様がぁ!言うなぁあああああ!!!!」
「くぅ!?」
腕が飛ぶ。
ディナルドの凶爪は両腕を交差させ防御姿勢をとったリカードのその両腕を真っ向から削り取った。
鮮血が部屋中を赤く染め上げる。
「がぁあああああああ!!…ははは!ああああぁクソいてぇ!くそいてぇな、はは!!」
目の前には両方の腕の先を失くした男が笑いながらその場で転げまわっていた。
「いてぇんだよ!そうだよ、いてぇんだよ畜生!おもしれぇ!」
「……最後の言葉はそれでいいか。」
血が滴る爪をぶら下げ、リカードの方へ近づいていく。
「待てよ!」
「…無駄だ。」
「はっ!俺を殺せたとしてもだ、ナユラがどうなってもいいのかぁ?」
なんとリカードは聞き捨てならない言葉を吐いた。
否が応にも、爪を止めるほかなかった。
「リカードォオオ!!貴様ぁあああ!!」
怨嗟の声が鳴り響く。
「はははぁ!!羨ましいねぇ!そんなに必死になれるもんが自分自身以外にあってよぉ!い~ひっひひ!守るもんが多くて大変じゃねぇかぁ?あららぁ?すでに手からこぼしてる時点でこの言葉は皮肉だったかぁ!?あぁん!?」
「ナユラに手を出してみろ、したことを後悔させるどころかこの世のあらゆる苦しみを味合わせ…身を少しずつ削り殺し、うじ虫の餌にしてやるっ!!!」
「ひぃ~こわいねぇ…大丈夫、だいじょーぶ。ナユラはな、{天翔生命}のために、ひいては俺のために頑張ってくれる予定なんだよぉ…心配しなくても殺したり、何かの餌になんかしねぇさ。ったくよぉ…?それにしても俺の壺はどうなっちまったんだぁ?これが俺に都合がいいとでもいうのかねぇ?ははは…」
歯をむき出し、歯を軋ませる音が鳴る。
髪が乱れ呼吸も全く落ち着く気配がない。
目の前の存在に対して怒り狂いどうにかなってしまう。
「フーーーーッ!!フーーーーッ!!!!」
「…こいつぁ、もうだーーめか。こっちもなぁ、我慢の限界ってやつだぜぇ?あまり邪魔してくれるなよ駄犬が。首輪が欲しけりゃ俺がつけてやる。」
すると背筋が凍る感覚が襲う。
「ーー!?なんだ!?」
先ほどまでも十分暗い室内ではあったがリカードの言葉を皮切りに視界が真っ暗になった。
「もうなぁ。どっちにせよ仕舞いだ。おらぁ決めたぜぇ、今のお前さんは不快すぎる。たとえそっちのお前さんが俺にとってなんかしら都合がよかったとしても、だ。その先がわからん分、後悔はしねぇよ…。今のディナルド、てめぇはいらねぇ。俺が満足するまで壺に入れ続けてやる。都合がいいてめぇが出てくるまで…。」
何かに呑まれるような感覚がする。
深く、昏い何かに恐怖する。
「もし、死んじまったらごめんなぁ?そりゃ、そっちの方が俺にとって都合がいいってことなんだろうよ。俺の壺じゃあ、死んだ者は生き返らせることはできねぇからな。」
「あ…う、ううあああ・・・・あああああああああああ!!!!!」
何かが削られ、できた空白にまた別の何かを詰めていく。
苦しみ、それを拒もうとももがく腕も逃げる足もない。
ただただ真っ暗な闇が俺を蝕んていった。
「ふぅ~…これじゃ、吸いたくとも吸えねぇな。おい!ディナルド!頼む、義手でもなんでもいい。持って来てくれねぇか?治すにも部下に知られちゃまずいからなぁ…。」
「んな…!?あぁ…?うん?あぁ、なんだその腕は!?誰にやられたのだ…!?少し待っていろ。あとで話をきかせてもらうからな!」
そうして、俺はその部屋を後にする。
「おうよ、それなら…喜んで話してやるよ。知らない犬に噛まれた話程度だけどな。」
また景色が変わる。
そこはどこかの管制室の中。
多数の職員もいる中、そこにはリカードもハクンの顔もあった。
「まだ今回ではうまくいかねぇかぁ…まぁ、まだ回数が足りないんかねぇ…?」
「しかしだな、あの少女はすごいぞ。生まれがいいのか超常存在との親和率ももともと高く、その上身寄りもなくて自由に扱える素性だと?なんともあそこまで素晴らしい人材を拾ってきたものだ。…だがあそこまで機械化も施されていない子供を抑えることなどよくできたな?今の時代、貴重だろう。どこで見つけてきたのか聞かせてもらいたいくらいだ。【贖う壺】殿。」
「えぇ?へへっ…はははは!!」
突然リカードが素っ頓狂な顔を浮かべた後に大笑いする。
「毛無しが。どうしたんだ一体。」
「ディナルド。あぁ~いや、何でもないぜ?何でもないんだ。ただ、ハクンが言った言葉で釣られての思い出し笑いってやつさ。」
「今は業務中だぞ、まじめにやるんだ。それに、【果てに遺された忠犬】も社長に向かってその呼び名はどうかと以前にも言っただろう。」
「こんな胡散臭い毛無しの爺などに敬称はいらんだろう?」
「おい!それはどういうことだ!?我が社の顔だぞ、舐めおって!」
「まぁまぁ。ハクンも落ち着けよぉ。なぁ?おれぁ、ディナルドがそう呼んでくれても気にしねぇしむしろ嬉しいんだぜ?距離感が近く感じれるしよぉ。」
「あなたがそう言うのならば、…まぁ、私から言うことはない。」
「…フン。」
「はいはい、で、あの子の出自だったよなぁ。偶然にもいたんだよ。今の時代自分で産みたいだなんて言うやつがさ。珍しいだろう?それで子宮を残してたその女の子供を譲り受けたってわけだぁな。」
「そういう輩はまだ残っていたんだな。私にはそのような母性なんぞわからないが。」
「………まぁ、物好きってわけだろうな…本当によ……。」
やけにリカードはハクンの方を見つめながら話していた。
「だが、その物好きのおかげでこの(温もりぐらい)の観測が進んでいるのは事実なんだぜ…うん。物好きだとしても感謝しようじゃないか。」
「しかし弱者は群れから排除される、そう世界は廻っているのだ。あのガキが生き抜けるとは俺は思わない。」
そういって俺は管制室のモニターで吹き荒れる結晶の中必死に耐え続ける少女を見続けていた。
また景色が変わる。
そこはいつものオフィス。
「おい。貴様が【果てに遺された忠犬】か。」
「…?なんだお前は。」
「私が【温もり喰らい】だ!まだ貴様より若いからと侮るなよ?」
「そうか…あの(温もり喰らい)の適合が今更終わったのか。」
「今更とはなんだ…!?侮っているのか?この私を!!」
以前見た様子よりもいつの間にか背が大きくなっていた少女の表情がコロコロ変わる。
「離れろ、ガキめ。仕事の邪魔だ。」
「それは私が貴様と同じくらい偉いのを知っての言葉か?それは。」
「…嘘をつくのはたとえガキだとしてもいただけないな。」
「嘘ではない!爺にも言われたんだ!私が部長クラスのエリートだとな!」
ありえない言葉にその場にいない胡散臭い加齢臭爺を呪う。
臭うのだ。あいつは。
なにか。
「……まぁいい。俺の邪魔さえしなければいいんだ。勝手にしろ。」
「…!!それはこっちのセリフだ!犬!」
「その呼び名は、もう俺の邪魔のようなものだ。」
また景色が変わる。
「爺。もうその話はいいだろう?」
「だってなぁ?あの(とある空虚な英雄譚)は再現したんだよ。(偽物の空虚な勇者)の存在を。
それってよぉ…。やっぱりうちの技術と似てんだ。生命保険と何ら変わらなくないか?俺はなぁ…本当に{群民連合}に明け渡していいものかねぇ…」
「 全く、意味がわからん。爺が不満を垂れても爺本人が決めた取り引きだろう。何故自分で決めたことを自分で不安がるんだ。」
「嬢ちゃんは大きくなってもわかってないねぇ…そういう、何歩も先を考え続けないと生きていけないんだよぉ?」
「この毛無しはもう、手遅れなのだ。【温もり喰らい】、そういう時は期待をしないのが肝要だと専務も言っていたぞ。」
「ほう…それはためになるな。」
「お〜?おじさんを蚊帳の外なんて、いい度胸じゃ、ないかいぃ?」
また景色が変わる。
「【果てに遺された忠犬】。いつも疑問に思っていたのだが、その首輪は誰から贈られたものなんだ?」
「…これか?」
いつも何故だが大事に持っていた首輪を見つめる。
「私でも流石にその首輪の意味くらい知っているが、唯、貴様にそのような相手がいる節が全く感じられなくてな。」
「……。」
「最初は相手が死んだのかとでも思っていたが、貴様の部下に聞いても別にそんなこともないらしいではないか。もしや空想の存在かと考えていたぞ。」
この首輪は…
「わからない。わからないが…俺にとってこれは…戒め。そのようなものだと思うんだ。」
「戒め…とな。私に言わせればセンスがないな。」
「 ほぅ…?」
「勘違いしないでくれたまえよ?…意味のない枷は息苦しいだけだ。しかもその枷に縛られてもなおその息苦しさに気付けないのはより一層たちが悪いと私は思う。それだけだ。」
そうか。そうなのか。そうかもしれない。
この首輪は大事なものだと思っていた。
「俺は知らず知らず不自由な道を進んでいたのか?」
「知らんよ、そこまでは。爺といい貴様といい。年を取ればおつむが弱くなっていくのだろうな。」
「…自由とはなんだ?」
「知らん。自分で考えろ。」
また景色が変わる。
そこは自室の洗面所。
「俺はディナルド・ワーグナー。」
その首輪を握りしめる。
「これは俺のしがらみなのか?」
握りしめる。
「確かに、俺は存在もしない誰かに生き様を縛られていたのかもしれないな。」
握りしめていた力を抜く。
「自らの思うがままに。眠い時には休み、飢えを凌ぐ為に他者を喰らう自由な狼に。」
そして俺は首輪を捨てた。
また景色が変わる。
「【果てに遺された忠犬】…。いや、旧知の仲なのだ。ディナルドよ、言わせてもらおう。最近の貴様は…目に余る。」
「何か文句でもあるのか。専務。」
「貴様、職員は無闇に失くしていい存在ではないんだぞ。」
「そんなもの理解しているさ。」
「理解しているのであればなお、無駄な行為を繰り返してることが何故わからんのだ!」
「弱者は淘汰される。世の摂理だろう。【温もり喰らい】のように出世して俺と肩を並べる存在もいれば朽ちて物言わぬ屍になるような名も忘れ去られた雑魚もいる。」
「大層な目的を持っているうえでの選択ならまだしも、それは故意に殺していい理由にはならないぞ馬鹿め。」
「仕方ないものは仕方ないだろう。狩場にいるのが悪い。俺も同胞も喰らうものを喰らっているだけだ。」
また景色が変わる。
洗面所の鏡の前。
「俺はディナルド・ワーグナー。」
自分の顔を掴む。
「俺は今自由だ。」
爪が頬に食い込む。
「ならばこの言いようのない恐れはなんだ。」
俺は。
「俺でなくなってしまうようだ。俺はどこにいる?自分が何者なのか誰か教えてほしいくらいだ。」
血が頬を伝う。
「俺は今までどんな顔をしていたんだ?」
独り言と共に血が水面を揺らした。
また景色が変わる。
「ディナルドよぉ…お前さん、そいつぁ随分と面白れぇ格好してんなぁ?」
俺は血に塗れていた。
「何がお前さんをそう突き動かすんだいぃ?」
「俺は狼なんだ…俺は…」
俺は狼の剥製のようなもの、いや狼人の死体の首元から腰までの内臓や肉を全て掻き出した後の部分を肩にかけまるでマントのように羽織っていた。
「そうだよなぁ?…お前さんも結局は自分本位なんだ。わかるぜぇ…俺は今のお前さんとは仲良くできそうだなぁ…そのマント少し貸せ。人並みの出来にはしてやるよぉ…」
また景色が変わる。
鏡に俺が映っている。
どろどろと防腐剤が滴る狼の剥製を被った俺が。
「俺は一人でも生きていけるんだ…生きて…行けるはずなんだよ……」
だが何かが足りない。
「何が……足りないんだ…わからない……飢えを満たしても何かが渇く。」
するとゴミ箱に入ったままであった首輪が目に入る。
直近で血を洗うときに捨てたごみによって血に汚れた不潔な首輪が。
「やはり…俺にはこれが…」
結局俺は首輪を握りしめた。
また景色が変わる。
「すごいぞ【果てに遺された忠犬】。あの(とある空虚な英雄譚)で二人目の勇者が産まれたらしい。」
他愛ない世間話だ。
「興味ない。」
「つれないな、駄犬。これほどまでの異常、胸が躍らんのか?」
「俺には関係がないだろう。」
「貴様は全く可愛げがないな。ワンちゃんならワンとでも鳴いてみれば今よりかはましだと思うぞ?」
「ほざけ。食い殺すぞ。」
また景色が変わる。
「やめてぇ!!!ふまないでくれぇええ!」
俺は足を止める。実際に目で見て聞いてみないと信じることなどできなかったが、本当にしゃべったのだ。意志の感じられる言葉を。今まで利用し破壊されてきた無機質な超常存在そのものなはずなのに。
「あなたは■■ですか!?■■■■■とかですか!?ごめんなさい。お願いだから…踏まないでくれ!!!」
報告書に会った通りの聞き取れない雑音。だが今までの経験から即死するほどではなく、ギリギリ不快感を感じる程度で済んでいた。
「お前の縄張りがそんなに大事なら入られないようにすればいいだろう?」
「縄張りなんてものじゃないんです。俺なんです。これは全部、俺そのものなんです。」
何を言っているのだこの超常存在は。
「…。」
いや、意味の分からない内容を聞かせてこちらを揺さぶるような存在が(偽物の空虚な勇者)に成り替わっているのかもしれない。警戒は怠らずに注視する。
「あなたが最初に踏み抜いたのは■■■■■■■■■。それと、■■■■の作り方とどこかの■■■の名言。」
頭が張り裂けそうになる。
「二歩目には■■■■■■と俺も名前を覚えてない■■■■■です。」
一般人ならばとうに物言わぬ肉塊にでもなっていただろう。
「やめろ…!」
大きな声を張り上げこの目の前の存在の言霊を止める。
「俺には血溜まりにしか見えないが。よほど大事らしい。それは理解しよう。」
「ありがとうございます!……あの…!」
「なんだ…」
「ここから出してもらえるんですよね!?」
本当に何を言っている?
「無理だ。」
当然の答えを返す。
「……どうして?まだ俺が何かやらなきゃいけないのかよ?もう俺には限界だ!■■か■■■か!?■でもなんでもいい!ここから俺を解放しに来たんだよな!もう散々だ!早く■■■■に行かせてくれよ!こんな始まりじゃおかしくなっちまう!」
「…黙れっ…!!!!意味のわからんことを囀るな…。」
「なんでだよ!!バケモンが!じゃあなんでここに来たんだよ!外があるってことを分からせたんだよ!それで出ちゃダメだって!?ふざけんなっ!」
「……いいだろう。教えてやる…改めて名乗るとしよう。俺は【果てに遺された忠犬】。…お前を躾に来たのだ。それ以上を…望むな。」
また景色が変わる。
「……■■■■■■■■■■■■■■」
語り出す。
「■は肥■■って■たが■■■■がれ■いて、■は見■■耐え■■■ど痩■■■■いた。」
「なんだ?何を言っている!?」
「■が持つその■■な■に驚■た狼は犬■尋ねる。
『犬■ん、ど■して君は■こま■肥え太ること■で■■のかい?』と。犬■答える■だ。
『飼い■の狩人■ただ狩■の帰り■待ち続けるだ■で食べ■をくれるの■』と。」
何故か、何故か聞き取れてしまう。
「やめろ!やめてくれ!何かがおかしい!」
「そうして狼は叫ぶのだ。『おぉ!■■■■■■■■■神■■■■■■■■よ!どうか狼は他者に己の生き様を預けるような目に会いませんように!重い首輪よりかは飢えの方が遥かにマシだ!』と。」
「あがぁぁぁぁぁぁああああぁぁあ!!!?」
頭が赤く染まる。
「貴様は随分と重そうな首輪をしているようだが。」
勇者は尋ねる。
「本当に狼なのかな?」
あぁ、懐かしいような美しい声が聞こえる。
"唯、安寧を"
"自らの安寧のためには無限の飢えを"
"全てを喰らえ。飢えを満たすためでも主人のためでもなく"
"神の元、安寧のために"
……そうだ。俺は安寧が欲しいのだ。
安寧を与えんとするものに俺は唯、付き従えばいいのだ。
そうだ
最初から
そうすればよかったんだ。
主を探せ。
唯、俺のために。
~~~
不完全な物語を(遺された犬と安寧を知らない狼)の依り代として定義可能です。
定義実行しますか?
~~エラー!~~
権限がより上位の存在です。
~警告~
(偽物の空虚な勇者)では一連の操作が実行不能です。
(唯の日本人)が停止中のため不完全な物語の定義を破棄し、(偽物の空虚な勇者)に不完全な物語を吸収します。
更新中…。
実行されました。
あなたは主を見つけなければいけません。
ひとえに世界はそれを求めています。
~~~
【温もり喰らい】は勇者に会った時には20歳です。
雑多な回想でわかりづらいよね!すまんぴ!




