虫相撲
1
近所のA君が誘いに来た。
彼の豪邸へ。庭に池、林。
池の近くに、小学生らしき男子が3人立っていた。
近づいてわかったが、そいつら3匹は小学校でも有名な不良。
私、A君と同じ学年。
どうやらA君は私に助けを求めてきたらしい。
3匹はプラスチックの洗面器を覗き込んでいた。
「ほら、やっちまえ」「殺せ」
ヒヒヒヒヒッと下品に笑っている。
洗面器の中は、生まれたてのような小さい亀と、
大きいザリガニが入っていた。
ザリガニが近づいて子亀の首をハサミでつかんだ。
「おい、何してる!」私が言うと。
「何だ、てめー、関係ねえだろ」
「文句あんのか」
3匹はナイフを出す。
私は近づく。
「てめー、死ぬか?」
ナイフを振ってくる。
私は両手で敵の手首をつかんで逆手にして体重を乗せる。
ガキッ!と手首が折れる。
「ウギャー!」叫ぶ敵の首を持ってねじる!ボキ!
首を持って、もう一人に胴体をぶつける。
そいつが、こちらにナイフを刺せずに、もたつく所を首をつかむ。
ザギッ! 同様に折る。
「ヒッ!」残りの1匹。「この!」刺してくる。
拳で、そいつの手首を叩いてナイフを落とす。
「チキショウッ!」逃げようとするそいつの首を背後からつかんで・・・。
ザリガニのハサミをつかんで開き、亀から離す。
A君が持ってきた別の容器に移す。
スコップを借りて大穴を掘って3匹を埋める。
「助かったよ、あいつらにからまれてて」
A君に礼を言われた。
「あいつら、カマキリだの蜂だの蜘蛛だの捕まえてきて
洗面器の中で戦わせて・・・下級生に千円ずつ持ってこさせて、
賭けをさせてた、2割を胴元であいつらが取って・・・
やっつけてくれてよかったよ」
2
その夜の夢。
豪邸の庭、池の近く。
子供10人ぐらいが円陣を組んで何かを見ている。
近づいて見る。大きい洗面器。
中には小人のような、あの3匹の悪ガキ。
ザリガニに追い詰められ、解体されて食われる。
囲む子供の一人が洗面器のふちを叩く。
3匹の悪ガキが再生する。別の昆虫が出てきて・・・
見ている子供の顔が、亀、ザリガニ、蜂、蜥蜴、
蜘蛛などになっている。
黙って囲み、定期的に、一人が洗面器のふちを叩く。
それをずーと、繰り返してる。永遠に・・・。