星勇斗の冒険 6
「何と言うか……【無尽】が無法過ぎるな」
「ぇへへ……あ、あの、それならコントロールの訓練はもうちょっとゆるめにしても」
「それは頑張れ」
「ひぃん!」
渋谷ダンジョン第十五層。
梓と勇斗は危なげなくダンジョン探索を進めていた。【ヒール】トレーニングを行っている関係上、ヘイトが梓に集まりやすい――MOBが梓を狙って攻撃してくる傾向こそあるが、それ以外には梓の魔法のコントロールが未だに改善の見込みがないくらいの問題しかない。
何と言っても、梓の【無尽】が無法過ぎる。……【無尽】の運用について、勇斗には思うところがあった。以前は【無尽】なんてものを持っているとは思わなかったが、持っているとわかれば『こうしたほうがいいんじゃないか』という提案くらいはできる。
その中の一つが。
「梓、詠唱なんて使わないほうがいいんじゃないか?」
「え?」
沢木梓、詠唱不要説である。
詠唱は魔法を使用する際に詠唱という手順を経ることにより魔法に『手を加える』手法だ。梓の場合は【ファイアーボール】を原典として――『手元ではなく指定の座標に【ファイアーボール】を直接出現させる』『【ファイアーボール】を拡散させる』『同時に複数の【ファイアーボール】を発動させる』など――基本の使い方から『少しだけ変わった』使い方ができるようにする。そのための詠唱だ。
単発で撃っても当たらない。なら詠唱によって魔法に手を加えて『範囲攻撃』にすればいい――その考え方は正しいが。
【無尽】があるのであれば、詠唱に時間を使うよりも【ファイアーボール】を連発したほうがいい。
いや、もっと言うなら――
「梓は魔力量に関係するところにポイントを使わなくてもいいわけだろ? なら、他の魔術師よりも効率的にポイントを使える――魔法を取得できるわけだ」
【ファイアーボール】以外の魔法を取得すればいい。範囲攻撃を可能とする魔法……これを取得してしまっては梓のコントロール訓練のモチベーションがさらに下がる懸念はあったが、勇斗も梓の努力は見ている。ただあまりにも実を結ばないだけで、間違いなく努力はしている。あれだけやって無理なら、別方向からのアプローチも考えなければいけないだろう。
そして梓が新しく覚えた魔法が。
「【エアバースト】!」
風系統の魔法、【エアバースト】。空気の塊を撃ち出す魔法だ。塊と言うよりは『壁』と表現した方が適切かもしれない。要するに『風』を起こす魔法だ。
勇斗が勧めた魔法である。勇斗はまだ取得していないが、自分でも取得しようと思っている魔法であり……その汎用性は折り紙付き。攻防一体の魔法であり、探索者にとっての弱点でもある『遠距離攻撃』への対抗策として最も有名なものの一つだ。
弓矢は吹き飛ばし、魔法は押し返す。取得していない探索者も少なくないが、風系統の魔法には他にも有用な魔法が非常に多い。勇斗にとっては決して『損することはない買い物』だった。
【エアウォーク】や【フライ】、【エアスラスト】……勇斗も既に【エアウォーク】ならば取得している。【エアウォーク】に関しては梓に勧めようとは思わなかったが……大惨事になる未来しか見えない。自分だって完全に使いこなせてはいないのだ。梓のあのコントロール力で使いこなせるかと言えば……勇斗は仲間を信じることができなかった。正しい判断である。
梓が新しく覚えた魔法【エアバースト】は殺傷能力に優れた魔法ではない。だが、制圧力に関しては非常に優れた魔法だ。【ファイアーボール】よりも高位の魔法であり、取得に要するポイントも決して少なくないもので――要求されるポイント相応に必要な魔力量も多かったが。
梓ならそれは踏み倒すことができる。
『切り札』を『切り札』にしない無法。
【無尽】。
「【エアバースト】」
渋谷ダンジョンの第十一層から第二十層までは森林階層とも呼ばれている。
非現実的な巨木や気候からは考えられない多種多様な植生の見られる場所もあるが……基本的には『森』である。
梓の【エアバースト】は木々を圧し折り、茂みといっしょにMOBを吹き飛ばした。地面に深く根付いた木を根ごと吹き飛ばすような威力はないが、針葉樹のように見える細い木々であれば圧し折ることができるほどの威力はある。
【エアバースト】を牽制のように使い、さらに。
「【ファイアーボール】【ファイアーボール】【ファイアーボール】【ファイアーボール】【ファイアーボール】」
間髪入れずに【ファイアーボール】を連発できる。森林の中での【ファイアーボール】だが、ダンジョン内で火事が起こった例はない。ダンジョン内の木々は水気を多く含んでおり、またそれだけでは説明がつかないくらい『燃えにくい』性質を持っている。
そして。
「【エアバースト】【エアバースト】【ファイアーボール】【ファイアーボール】【エアバースト】【ファイアーボール】【ファイアーボール】【ファイアーボール】【エアバースト】【ファイアーボール】」
連発できるのは【ファイアーボール】だけではない。使用可能なすべての魔法が連発可能――もちろん、他の探索者にも同じことができないわけではない。魔力量が許す範囲であれば同じことは可能だ。そして普通の探索者であればそれはごくごく短時間でのみ可能な所業であり。
梓にとっては。
「【ファイアーボール】【エアバースト】【ふぁいっ……【ヒール】」
『舌を噛む』などといったことが起こらない限りは無限に続けられる行為だ。それも【ヒール】を使えばすぐに回復できるし――疲労に関しても心配はない。梓の【無尽】が適用されるのは魔力だけではなく体力に関しても同じだ。
無尽蔵の魔力と体力から放たれ続ける魔法の数々。
これを無法と言わずに何と呼ぶ。
確かに、狙いに関しては大雑把に過ぎるところもある。しかし、そんな『撃ち漏らし』も梓の絶え間ない魔法の雨に襲われたなら遠からず命中するだろう。
そもそも、そうでなかったとしても。
「【スラッシュ】」
梓はひとりではなく、勇斗も居る。
「【エアウォーク】」
勇斗は【エアウォーク】を立体機動のために使うことはまだできない。【エアウォーク】自体の使い方もそうだが……重力や慣性に逆らう動きをすることに対する『慣れ』がない。実用可能な域には至っていないだろうという判断だ。
ではどうやって【エアウォーク】を使っているのかと言えば――『二段ジャンプ』と『加速』のため、だ。
要するに『反発力に優れるジャンプ台』と割り切って【エアウォーク】を運用している。
その場から直ちに離れなければならない――緊急脱出を要求される際にも【エアウォーク】は有用だ。発動して踏めば跳べる。その弾性を利用して水平方向に跳べば緊急避難を可能とする。
何からの緊急避難かと言えば、もちろん梓の魔法からだ。
ちらりと梓を見るとぺこぺこと頭を下げながら魔法を口にし続けている姿が目に入る。梓の魔法連撃に欠点があるとすれば「口頭でのコミュニケーションができない」ことかもしれない。もっとも、そんなものは一時的に早口言葉のような魔法を止めればいいだけの話でもあるのだが。
梓の魔法から抜けたMOBを斬る。スキルを使う必要がない場合は使わない。
本来勇斗はスキルも魔法も必要最低限しか使わない探索者だ。勇斗は継戦能力を重視している。深層まで探索するのであればスキルや魔法を『使わない』戦い方もできたほうがいい。もちろん先程使ったように『まったく使わない』なんてこともないが――使うべき時に使い、使う必要がない時は使わない。単純なことだ。
斬る。斬る。斬る。踏み込んで斬ってはバックステップ。梓の魔法の邪魔にならないように注意する。
そう、『邪魔にならないように注意する』のが現状だった。
(……『お荷物』になるの、思ってた以上に早そうだな)
勇斗は思う。まだ役立てている部分もあるにはあるが……梓がもうちょっとしっかりすれば、すぐに御役御免となってもおかしくない。
(梓に偉そうなことを言ってはいるが……俺より、ずっと梓のほうが役に立ってる。仕事をしてる)
そうだ。間違いない。それは事実だ。
だから落ち込む――そうではなく。
(負けてられないな)
梓は貢献してくれている。なら、俺も貢献しなくちゃいけない。
正直、梓には甘いところがあるから――そっちに関してはフォローもできる。探索に関する知識もそうだ。
スキルの構成なんかはあまり口出しするべきでもないと思うが……取り返しがつかないことだから、どうしても助言してしまう。
再三に渡って『俺の言葉を鵜呑みにせず、自分でも調べてくれ』とは言っているが、聞いてくれているのかどうか……。
とにかく、勇斗は自分が梓に相応しくないと考えていた。梓のパーティーメンバーとしては不足していると。
そんな勇斗の背を見る梓の目には、複雑な感情が浮かんでいた。
*
(勇斗くん、すごすぎない……?)
勇斗とは打って変わって、梓は勇斗のことを高く評価していた。
梓には【無尽】しかない。だと言うのに――今まではろくにそれを活かすことができていなかったのだと思い知らされた。
探索の知識も、探索への心構えも、何もかもが違う。この装備だって……ぎゅ、と梓は手に持つ杖を握りしめる。
この装備だって、勇斗が居なければ揃えられなかった。第十層、階層主を倒したことによって得られた報酬……それによって勇斗と梓は装備を一新した。
最も重視したのは――梓にとっては意外なもので『靴』だった。梓はスタミナが尽きることがない。だが、かと言って足が早いわけでもないのだ。
魔法的な効果を付与されたものはまだ手に入らない――そう思っていたが、勇斗は迷うことなく渋谷に建ち並ぶ職人通りに向かい、そこの見習いの作品を購入することに成功していた。
そもそも職人の何人かとは知り合いだったようで――曰く、「目利きに関しては探索者じゃなくても養うことができるからな。師匠に頼んで修行の合間に通わせてもらっていたんだ。そうしている内に……まあ、かわいがられるようになったってことだな。ありがたいことに」
勇斗には友達が居ない。らしい。だが、こうやって人脈を広げる力を持っているなら十分ではないだろうか。梓には友達が居るが……特別、友達作りがうまいというわけではない。人脈を広げる方法なんてわからない。ただ生きていたら幸運にも友人に恵まれただけ。いつだって自分からではなく向こう側から手を差し伸べてくれた。自分から手を伸ばす方法は、わからない。
梓には勇斗が眩しかった。自分とは違う。【無尽】しかない自分とは、何もかも。
でも、彼はわたしを選んでくれた。
なら、せめてそれには応えたい。
この装備は今の自分じゃ絶対に手に入らなかったものだし――スキルや魔法をどういう順番で、どれを取得すればいいかだって梓では判断できなかった。
ポイントで取得できるスキル、魔法はあまりにも数が多すぎる。まさしく選択のパラドックスだ。自由度の高いゲームであるのは構わないが、あまりにも自由度が高すぎると何から手を付ければいいのかわからないし何が『正解』かもわからない。
もちろん『正解』なんてものはないのだが……ダンジョン管理局によって『この道に進みたいならこういう順番はどうですか?』という取得優先度表が公開されている。従うも従わないも自己責任だが、それを参考にする探索者は多い。
ただ、梓の場合はそれを鵜呑みにすることはできない。梓には【無尽】がある。体力や魔力を考慮する必要はない。その上で考えるのであれば、取得優先度はまた違ったものになる。
正直、梓には何が何だかよくわからなかった。勇斗から「俺の言葉を鵜呑みにするな」と何度も何度もしつこいくらいに言われていたので自分でも考えてみたが――どう考えても、自分よりも勇斗を信じたほうがいいという結論になった。
弁明が許されるのであれば、自分は『勇斗を信じる』を選んだのだ。自分の意志でそれを選んだ。
……と、そんなことを言っても勇斗には「屁理屈を言うな。自分でも考えろ」と言われるとわかりきっているので言えないが。
それだけではない。探索でも勇斗にはお世話になりっぱなしだ。梓ができることは魔法を――それもろくに制御されていない魔法を撃ちまくるだけだが、すなわちそれは勇斗がそれ以外のすべてを担当しているということを示す。
探索者は『探索者』だ。MOBと戦うことも探索の一つだが……もちろん、それだけが『探索』ではない。
第十層までとは異なり、第十一層からは森林階層。整備されていない道であっても梓が疲れることはないが、それでも歩きにくい道は存在するし、そもそも高低差があったりして普通には進めないような道もある。
その道中でも勇斗は周囲への警戒を怠らず、さらには梓への気遣いすら見せる。休憩時も同じだ。梓には休憩なんて必要ない……と言われると否定できないが、身体的には疲れなくとも精神的には疲れるものだ。そもそも勇斗には【無尽】なんてない。休息は絶対に必要である。絶対に絶対に必要である。絶対に! 必要です!
そう強く主張した梓に勇斗も折れてくれたので休息することになったのだが……梓はろくに休憩の準備もしていなかった。もちろん勇斗は万全だった。圧縮型の椅子を用意してくれていたし、食事に関しても重すぎず、しかししっかりしたものを用意してくれていた。お、お母さん……? 梓は思った。言った。
「むしろ梓は娘でいいのかよ……」
勇斗には呆れられてしまった。よくない。梓は反省した。もしかして、わたし、情けなさすぎ……?
もちろん『もしかして』ではない。
そして、探索の中で梓が唯一できることである『MOBとの戦闘』に関しても梓は勇斗のお世話になりっぱなしだと痛感している。
【無尽】によって魔法を常に使い続けることができる自分は、しかし、だからこそ口頭でのコミュニケーションができない。そんな自分に的確な指示を飛ばしてくれるのが勇斗だ。
梓が意識できていない場所、見えていない場所まで勇斗はきちんと『見えている』。自分より前に飛び出して自分が撃ち漏らしたMOBを倒してくれたりするにも関わらず、勇斗は梓が見えていない場所まで把握している。
指示出しだけではない。そもそも、勇斗の剣技からして梓からすれば卓越したものに見えた。まだ探索者になってそう時間が経っていないにも関わらず――いくら探索者になるまで修行していたとは言え、ここまでの動きができるものか。
スキルを使う時と使わない時の見極めもどうやっているのかわからない。一瞬の判断が命取りになる可能性があるのなら、すべて『スキルを使う』になってもおかしくはないはずなのだが、勇斗は『使わない』を選択することがある。それも決して少なくない数を、だ。
勇斗からすれば「それが結果的に自分の命を救うことになるから」なのかもしれないが……梓からすれば、綱渡りしているようにしか見えない。
戦闘だけなら梓も役立っているとは思う。その戦闘中でも随分とお世話になってしまってはいるが……戦闘だけなら、貢献できているはずだ。
しかし、それ以外の――総合的な貢献度で言うのであれば。
(わ、わたし、ぜんぜん役に立ってなくない……?)
い、いや、勇斗くんに【ヒール】を使ったりはしてるし……(戦闘中ではなく、手を伸ばせば届くほどの距離まで近付けば梓の【ヒール】も外れることはない)、魔力タンク的な意味なら、役立っている、はず……!
(……ほ、本格的に【無尽】だけしかない)
それだけしか価値がない。
そんなことはとっくにわかっていたことだ。
だが、それに落ち込んでも意味はない。それはそうだ。当たり前だ。梓は勇斗のように訓練していたわけではない。ただの、普通の女の子だった。それで何かできるなどと思うほうが傲慢だ。
傲慢、だが。
それでも、悔しいとは思ってしまう。……情けないとは、思ってしまう。
(……頑張らないと)
勇斗に言われた【ヒール】トレーニングはなかなか実を結ばない。以前に比べれば、なんとなく……少しは動かせるようになってきた気はするけれど、戦闘中に狙って当てることは難しい。絶え間なく連発しながら調整するような方法しか今はできない。
もちろん戦闘だけではない。それ以外でも……なんとか、役立てるようになりたい。と言うか料理まで勇斗くんに頼るのはさすがに……なんか……だめな気がする。お弁当とか、作ろうかな……お母さんに教えてもらわなくちゃ。
ふんす、と梓は両手を握りしめて気合を入れた。
もちろん探索中のことである。
「梓ぁ!? 何ボケっとしてるんですかねぇ!? 前! 前! 敵ぃ!」
「ふぇ!? あっ……ふぁ、【ファイアーボール】!」
「そっち俺ぇえええええええええ!」
気合を入れた矢先にめちゃくちゃ迷惑をかけた。
そういうこともある。
*
探索は順調に進んでいる。
が、毎日のように探索できるかと言えばそうではない。第十一層以降には行って帰るだけでも結構な時間がかかる。
今の勇斗たちであればスムーズに行って片道二時間前後……本気の『最速』で考えるなら変わってくるが、それは勇斗が梓を背負い【無尽】に任せて勇斗に【ヒール】を使い続けて勇斗が全速力で走り続ける、という方法になる。
勇斗が提案し実際に一度採用されたそれは移動時間を半分以上に短縮するという成果を上げたが、梓はお気に召さなかったらしい。曰く、「これ、めちゃくちゃ酔います……」。全速力で走り続ける少年はやはり乗り心地が悪かったようだ。なんならちょっと痛くさえあったらしい。
どうしても音が鳴り響いてしまうというのも問題だろう。第十層までは撒けたが、それ以降のMOBは撒ける自信がない。
そして『最速』を採用するとしても、だ。行って帰るだけならまだしも、それ以降の探索こそが本番なのだ。平日、学校があるような日の放課後にふらっと立ち寄るのは難しい。
だから、どうしても平日にできることは違ったことになる。
梓は魔法の制御訓練……だけでなく、探索の基礎知識を改めて学ぶということもある。初心者講習を真面目に受けていなかったわけではないが、完璧に修めることができたと自信を持って言えるほどではない。
もっとも、今現在梓に必要なものは『ダンジョン探索』と言うよりは『自然の歩き方』や『野外活動の心得』などのより基本的なものだったかもしれないが。
勇斗の場合は『戦闘技術の向上』が真っ先に求められることだと自認している。位階を上げられないのであれば技を磨く。そのために鍛錬を重ねる。
その方法は『孤独に鍛錬する』だけではない。
「ッ! あ、梓! 梓!」
「ふぇ!? えっ、え? な、なに? 勇斗くん?」
ダンジョン管理局渋谷支部。掲示板に無造作に貼り付けられた紙を見て勇斗がいきなり興奮しだした。梓の肩を抱いて何度も紙を指差している。
いきなり肩を抱かれた梓はもう何がなんだかわからなかったが、こういう勇斗くんもいいなと思っていた。ぇへへと笑みがこぼれだす。
きらきらとした純粋無垢な少年の瞳で勇斗が言った。
「今日! ここで! 『シブヤウォーリアーズ』が主導で訓練会を開いてるらしい!」
へ、へー……。
梓は平坦な反応しかできなかった。『シブヤウォーリアーズ』の名前自体は聞いたことがある。梓でも知っている有名クランだ。
が……勇斗のテンションがそこまで上がる理由はわからなかった。
端的に言えば、ノレなかった。
ただ、子どもらしく興奮している勇斗くんがかわいいので良しとする。
*
「ハッハッハー! たーべちゃーうぞー!」
「ひぃいいいいいいいいいいん!」
良しとする、なんて言っていられない状況になった。
いつものパターンである。




