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しょうもなおじさん、ダンジョンに行く  作者: 埴輪庭


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それとソレと神と

 ◆


 生きとし生けるものの命題は子孫を残すことである。


 ではなぜ子孫を残さなくてはいけないのか、なぜそれが命題となり得るのか。


 東皇大学の教授でありながら高名な探索者でもある夜羽告人(よはねつぐひと)はある日の講義でこんなとんでもスピリチュアル理論を展開した。


「話は長くなるがしっかり聞くように。まずはじめにこの世界全宇宙も含めたこの世界にはただ一柱の大きな力を持つ存在がいた。それを便宜上神と呼ぶ。しかし神は神ではあるが全知全能ではなかった。ただ大きな力をもったと言うだけだった神は何万年も何千万年も何億年ももしかしたらそれ以上もっと長く一人きりでこの世界に存在していた。そんな神に毒が混じる。それは孤独という名の毒だ。だから神は自分以外の存在を生み出した。しかし生み出された存在は神を知覚できなかった。微生物が我々人間を知覚できないように、存在の格があまりにも違いすぎると低きは高きを認識できないのだ。神は悲嘆に暮れ、しかしすぐにあることに気づいた。そう、──……低きを高きに引き上げることができれば、と。しかしそれは神の力を以てしても簡単にできることではない。強い肉体を与えることはできるだろう。しかしそれを以て存在の格が高くなったと言えるだろうか。肉体の強度もそうだが全て……そうだ、肉体、魂魄全てが磨かれていなくてはいけない。だから神はその目的意識を埋め込んだ端末を用意した。すなわちそれがダンジョンである。ダンジョンがなぜ我々の肉と魂に干渉してくるのか、これで君たちにも概ねわかったのではないかね。これは確認したわけではないが、地球上のみならず全銀河全宇宙、あらゆる星々で似たようなことが起きていると俺は考えている。どこかの銀河のどこかの星にも、"ダンジョン"と我々が呼ぶ空間が数多く現れているのだろう。神はあらゆる生命体に期待している。その存在を高みに引き上げ、いつかどこかの誰かが自分を見つけてくれることを」


 そんなことをぶち上げていた夜羽教授は、ある日突然失踪した。


 理由は駆け落ちだ。


 身分違いの恋をし、しかし相手の親が交際を許さなかったため、二人して逃げたのだ。


 何とも俗な理由ではある。


 ・

 ・

 ・


 "それ"は元はといえば一つの大きな存在から分かたれたモノだ。


 本来はただ一つの目的に向けて邁進する機械のような存在だったのだが、朱に交われば赤くなると言う、目的を忘れたわけではないがその地に根付いて時が流れるうちにそれぞれ個性のようなものを持つようになった。


 自身が好む存在を寵愛したり、贔屓したりするようになった。


 そんな中"それ"の中の幾つかはとある存在に目をつける。


 自身の目的にも沿うそのストイックな生き様は"それ"に取って非常に好ましいものだった。


 しかし今、その存在は"それ"にとって雑に言ってしまえば「おいおいふざけるな」と言いたくなるような選択をしようとしていた。


 存在の階梯を昇る為に研鑽するのはいい、しかしただ一つの"ソレ"に囚われてしまうというのは"それ"にとって許しがたい事であった。たとえ "ソレ" が自身と同種の存在であろうともだ。


 その感情が果たして"目的"の遂行に必要な感情なのかは"それ"にもわからない。


 もしかしたら個性を得る過程で発生したノイズかもしれない。


 だが、どうであれ許しがたいものは許しがたいのだ。


 だから威嚇する。


 ──"これ"を独り占めするな


 と。


 この態度はどこか青く見えるかもしれない。


 しかしそれも仕方がない。


 "それ"はごくごく最近、京都で生まれたばかりなのだから。

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まだまだ沢山書いてますので作者ページからぜひよろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
[一言] ソレとかアレとかコレとかって男の子の心をくすぐるよね 歳三は愛されてんだなあ
感想一覧
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