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野盗の大掃除 ハムエッグ領

ハムエッグ領土は豊かな気候に恵まれた豊かな土地。

しかし、豊かな土地であればその領土に蔓延はびこ野盗ダニは多くなる。


定期的に大掃除さつりくをしなければいけない。

トエムは家族には甘いが、犯罪者には夏場の蚊より容赦無く排除する。


そんなトエムはまず真昼間空中で【探査サーチ】の魔法を展開する。

生き物、立地、魔素量を全て看破する特別製魔法領域をトエムは障害物関係なし球状に5km展開できる。


しかも5km展開する速度は約5秒。

そして展開したまま【飛行魔法】により移動できる。しかもその速さは今や時速300km(MAZO未使用時)。


ほぼ音速の速度で領土ギリギリからしらみつぶしに平原や森、地中まで空中から超スピード探索をしてゆく。




不意打ちを喰らう野盗のアジト


「ういーす、どうだイイ女いたか?」


「ダメだダメだ。最近街道を行き来するのはおっさんばっかり、あ~あーたまにはハメてえな俺もな~」


「ったく、ちょっと前までやりたい放題だったのによぉ、ノウキーンの騎士団がこっちまで出張ってきやがって!」


「あいつら野盗と見るや速攻首ぴょーんだし、モヒカンが例の魔道具に乗って高速で追いかけてくるし、悪夢だよマジで…」


「ちくしょう!酒だ酒だ!新入り酒持ってこい!!」


「オイオイ!何してんだ!酒だ酒…ん?変じゃねぇか」


暗い洞穴にぷ~んと匂ってくる血の匂い、匂いの方向は唯一の出入り口からである。


「お前見てこいよ」


「お前が行けよ!…ん、なっなっ何だこのガキ…ヒィ!」


コツコツコツと足音が出入口の方から聞こえてくる。暗黒中からヌルリとソレは姿を現した。

そこには暗くてもよくわかる返り血で前だけ真っ赤っかの7歳児が臓物の断片らしき物を肩にぶら下げながら歩いてきた。


「オッスオッス!死ね」


別のアジトを聞いたり、ギルドの関与を聞いたりとそんな事は無く、出会ったら即スプラッシャーである。


「このガキ―――あっ(手刀で胴体真っ二つ)」


「ちょっ許し―――話聞いて―――んぎゃぁなす!!(貫き手で心臓と腹部にトンネル)」


リーダー格と思わしき2人を始末したらすぐ姿を消す7歳児。


(ふぅ、ここで7件目か~優秀なハムエッグ領にしてはやっぱり多いな…こういう時野盗っぽくない奴が裏切者なんだけど居ないなぁ~)


返り血もお構いなしで続々とアジト発見即デストロイを繰り返すトエム。

17件目に突入しようとした時、明らかに貴族のお屋敷であったので2度見した。


(あれ?【探査サーチ】だと、明らかに悪意のを持つ大多数がこの屋敷に集結してんだよな~〈※通常のサーチは悪意まで解かりません〉たしかここはマーザ王妃にちょっかい出してたボウギャック子爵の家ですねぇ~)


玄関を堂々と拳でぶっ壊して侵入するトエム。


「し、侵入者―――あっ」


「真っ赤な魔物!?ふゃ」


トエムを視認した瞬間首に衝撃が走る。

裏手刀で大動脈を叩きつつ、‟通し”により効果を広げ確実に失神させる。


警備兵はさすがに殺せないので、門前に集まった15名の警備兵を10秒程度でさくっとお寝んねしてもらった。

屋敷の玄関も同様に拳でぶっ壊して侵入すると、執事に止められた。


「なっ、なんだ貴様!名を名乗れ!!」


「トエム・ノウキーンです!」


「えぇ!?ノウキーン!?何で?一体何が目的だ!」


「えっと、野盗とのつながりを聞きに来ました。冒険者らしき連中も2回の大広間らしきところにいるよね?案内して。おっと、ちなみにこれがロースト伯爵閣下の指示書ね」


腰のワンダーバックから取り出すトエム。ボウギャックの執事が確認するとガチ本物だったので滝の様に汗が流れ始める。


「主人に確認を取りますのでお待ちを―――」


「今お前の顔を見て確信取れたわ」


バチーンと言う音と共に執事は倒れ込む。刹那の瞬間に左耳を叩かれ三半規管を揺らされ、意識があっても立てない状態になった。


「なんだなんだ?どうし―――おい!階段のところに血みどろのガキらしき何かが居るぞ!」


ワイワイと野盗も冒険者も出会え出会え状態になった。


「オイガキぃ~どこのどいつかわからねぇがタイミングが悪かったなぁ~今ココにはビップが居て俺達は臨時で集められたわ―――」


会話の刹那、音もなく首から上が手刀で飛ぶ。


「話が長い」


その場にいた精鋭らしき連中50弱の顔が青ざめた。玄関広間に居たらき真っ赤なガキ中央階段の中央でイキリ散らしていた冒険者らしき男の距離を一瞬で縮め首を取った。


その動きを追えた者は誰もいないらしく、首が落ちる音と共に背後へ振り返った。


「えっと…おつかれチャーン!」




ボウギャック私室


「ん?下の階が静かになった。どうやら終わったようだなグフフフ」


カエルを踏みつぶたような顔に豚を掛け合わせ、頬にブツブツが広がっているワカメヘアーのドブサイクでいかにもな男が汚い笑い声をあげていた。


その前には侍っぽい恰好をしたただならぬ気配の男が鎮座している。

その男の横には厳重に束縛された魔法学校の生徒らしき女の子が監禁されている。


「……」


「なんじゃつまらん、口数の少ない男だ。しかしS級冒険者『龍切りイゾウ』が護衛についていれば例え王国騎士団長とて迂闊に手は出せん。そう思わんか王女よ」


王女と呼ばれた女の子は弱々しい瞳で男を見ながら、震える唇を抑えながら話し出す。


「狙いは何ですか?」


「ほぉ~この状況で気の強い女の子だグヒヒ、嫌いじゃない。いい事を教えてやろう。ドータ王女よ、貴様を餌にダディンから搾れるだけ搾る。そしてなぁ、その間にわしは教国に逃げつつお前を殺す。今からでもダディンの嘆き悲しむ姿が浮かぶ、グフ、グフフフ!遂にあの気取ったダディンに復讐できる!昔から何をやっても気に入らない奴だった!!あまつさえマーザちゃんまでわしから奪い追って!!(思い込み)」


テンプレート王国第一王女ドータ。魔法学校の帰りにS級冒険者イゾウによって誘拐された。

魔法学校もまた長期休暇に入った。その気の緩むタイミングを狙われたのだ。


「そんな…自分勝手の為だけに―――」


ドータの目から涙がこぼれ出す。聡い子なので、自分が十中八九助からないであろうことは解っているのだ。


最近生まれた可愛い妹にもっと構ってやりたかった。両親にもっと甘えたかった。人並みに恋もしてみたかった。


いろいろな感情がグルグルと胸中を駆け巡り、涙がこぼれたのだ。


「ほほ~そそるのぉ…わしは小さい女の子が泣いてしまうと隆起してしまうでの~ヒヒヒ。どれ死ぬ前にわしが‟大人にしてやろう”ぶひゃー!!ふー!ふー!」


一層下卑た笑みをしながら近づいてくボウギャック子爵を前に、具体的な内容は解らないが一生の傷になるであろう屈辱を受ける事はドータにも解かった。


(ならいっそ―――)


舌を噛もうとするドータ。ドータの高潔さを見余ったボウギャックは咄嗟に止めに入るが間に合わない。イゾウはあえて止めない。無残に散らされるならば自決を選ばせてやろうという無駄な配慮。


ガキン


歯が欠けるのではないかと言うほど硬い何かが舌を噛むのを止める。

舌の感触だと指なのだが、これ程硬くなるものだろうか?


そう呆然と思考するドータの隣に、モヤが晴れていくように姿を現したのは…

返り血で表面真っ赤になったトエムであった。


「きゃあああああああ!!」


トエムとドータはヒンニ経由で知り合いなのだが、この時ばかりは真っ赤なそれがトエムである事を理解できなかった。


ドータが悲鳴を上げている間に迷いなくイゾウはトエムに切りかかる。抜刀と同時の逆袈裟、‟居合切り”である。


トエムは刀が抜けきる前にイゾウの持ち手の手首を手刀で切る。

居合抜きは‟せん”が取れねばただのカモ。


手首を切り落とされながらイゾウの居合は空を切り、失った手首を瞬時に理解し、失った手首をもう片方で支えながら正座し、トエムに首を差し出す。


「参り申した。拙者、イゾウと申す。死ぬ前に貴殿の名を所望願いたい」


「へ?トエムだけど?」


「と、と、トエム・ノウキーン!!なぜ貴様がここに!?」


「やっぱマーザ様にちょっかい出してたゲロ太郎じゃん。ダルマにして‟地下送り”かな?」


ビュビュンと言う鋭い音が鳴ったと思ったら、ボウギャックの四肢が切られ、更に切り口だけ血が落ちて死なないように回復していた。痛みもなく四肢感覚がなくなり、離れる恐怖は痛みがあるときより恐ろしい。


「~~~ッ!??」


あまりの出来事に、その場にいたドータとイゾウは言葉を失う。

ぼてっと床に落っこちたボウギャックは床を自分の液体で濡らしてしまう。


「うわ汚ぇ。【虫食重力場ワームホール】!おーいぺペペ・ハイマックス居る~」


ちなみにぺぺぺ・ハイマックスとは、例の地下室のある魔道具店『マッスルマジック』の店主である。


「オッスオッスでございますトエム様。おや、また汚いゴミ(ダルマになったボウギャック)を拾ってまいりましたな…で、今回は何をやりましょうか?」


「洗脳、奴隷術式、交配実験、回復暴走もやったし…そうだ、魔物細胞を植えてみよう!」


「かしこまり!(暗黒笑み)」


「んげえええ!??いやぁ!!助けて!助けてェ!!神様!ママぁーーー!!」


イゾウとドータには聞こえない声で話したのだが、どうやら髪を鷲掴みで引きづっていたボウギャック子爵には聞こえてしまったらしい。


「いやぁあああぁぁぁ・・・ーーー」


ワームホール消えていくと共にボウギャックの絶叫も遠くなり消えた。

ポカーンとしている二人。何ともなかったかのように先程切り落としたイゾウの手先を拾ってきた。


「お前…なんつったかイゾウさんだっけ?もう俺と戦う気はないよな?」


「左様にござる。拙者武芸者のはしくれゆえ、自分よりはるか高みに居るモノノフが解らぬはずがござらん!」


「じゃあ、俺の命令は聞くな?」


「お望みとあらば奴隷契約でも」


と言う事で、セラフィぶりとなる奴隷契約を結んだトエム。神経の集まる脊髄のあたりに奴隷痕がくっきり刻まれたのを確認してから。


ぺたぺたぺた


【回復魔法】をイゾウの失った手首に手先の切り口の面をこすり付けながらぺたぺたすると、あっという間に元通り。


「お、おおお!お?なんと…」


ぐっぱーぐっぱーを切り落ちた方の手で行う。信じられないという目でトエムを見つめる王女。


「お?お前はヒンニとよく遊んでた子だな?ドータちゃんだっけ?オッスオッス」


「はえ?えっと…この度は窮地をお助け…たす…」


助かった。その瞬間緊張の糸が切れてぼたぼたと涙が止まらなくなった。

すると比較的綺麗なトエムの背面をしゃがみながらドータにむける。


「だいぶトラウマみたいだな…俺がおぶってやるからほらこっちに来い」


グイグイと背中を押し付けてくるトエムに言われるがままおんぶされるドータ。

ト先ほどの舌を噛む時の事を思い出してしまったドータ。


(そういえばさっき、殿方の指を噛んでしまいました…私)


顔をトエム同様に真っ赤になりながらおんぶされ、急遽ハムエッグ都市に戻る事になったトエム一行。集団【飛行魔法】によって空の旅を短時間満喫したが、着地した瞬間イゾウが吐いていた。


経緯をとりあえずローストに伝えるトエム。


「ふあ…ふああああ↑ああああ↓」という変な奇声を聞きつつ、とりあえず風呂を借りる事になった。

トエムの前側が血糊でべっちょりだからである。


「ぐあぁ~風呂はいいねぇ~」


「拙者まで、かたじけない」


「いいっていいって。俺はお前さんはなかなか気概があるし…まぁ何?たまに裸の付き合いもあってもいいじゃん?」


「拙者…そういった事には疎くてな、お手柔らかに頼みまする///」


「俺はホモじゃねえ!!あとそう言う意味じゃねぇ!!あとまだ7歳!勃起もまだなの!!」


などとボーイズトークに花を咲かせている男風呂の隣では、


「ドータちゃん~大丈夫~お腹減って無い~?」


「大変でございましたね姫様、心中お察し申し上げます」


ドータと一緒にヤデレとデチチがお風呂に浸かっていた。


「変なのです、あれからトエム様の事を考えると胸がぎゅーって苦しくなって顔が赤くなってしまうんです。私、何か恐ろしい病気なのでしょうか?」


「あ~(察し)へ~、うひひ。それは~難病だよ~(ニヤニヤ)」


「あ(察し)。これは大変な病気ですね、私ヤデレ・ノウキーンもその病を経験してます。その病気を治すにはトエム兄上から永久に離れる事をお勧めいたします」


「それはイヤッ!!はっごめんなさい、大声を上げてはしたない…。でもトエム様にはお会いしたいのです…なんでしょうこの恥ずかしい様な嬉しい様な気持ちは?」


「風邪でしょう?」


「ヤデレ様、なんか適当になってませんか?」




ハムエッグ屋敷 正門前


「ドータぁああああ!!ううっ…よがっだ~よがっだ~いきたここちしだがっだの”~」


ドータを見つけた瞬間、ものすごい勢いでドータに抱きつき、少女のお腹で泣くじゃくるこの国のいい歳した国王が民衆の目も顧みずガチ大泣きしていた。


ドータは恥ずかしいやら嬉しいやら複雑な表情をしつつも、そのうち一緒に泣いてしまった。

一度は生還を諦めていたので余計に再会が嬉しかったようだ。


「うう~よかった~(もらい泣き)」


「そう思うならこのまま家に帰ろうなデチチちゃん。パパ心配過ぎて失神しそうになったから」


デチチは何も告げずにトエム達について来たらしく、スポットはドータの脅迫状を読みあげていた時自分と重ねて生きた心地がしなかった。

ひょっこり姿を現した宰相スポットはデチチを抱き上げる。


「この度はご苦労だったロースト。たぶん陞爵(しょうしゃく)されるから覚悟しとけよ?」


何気ない宰相の言葉に深々と頭を下げた後、ローストはトエムの事を口にする。


「誠にありがたいお話なのですが、今回の一件はトエム様の―――」


「わーってるわーってる。S級の冒険者を奴隷おもちゃにするなんてあいつしかできねえよ。わかったうえでの陞爵(しょうしゃく)だ。王都に呼ばれた時はありがたくもらってくれよ!」


「はっ!謹んでお受けいたします。」


「いやー助かるぜ。そういえば爵位に全く興味のないド変態ボーイはどこ行った?」


「えっと、たぶん引き続き野盗狩りを…」


「もう日暮れだぜ?…まぁあのガキじゃ関係ないか」


「ええ、今日半日で17か所のアジトを壊滅させたらしく、更に拠点となるボウギャック子爵を解体し、あまつさえ使用人や警備兵を自らの領土で雇うとおっしゃいました」


「はぁ~。もうあいつ一人でいいんじゃねぇか?」


ローストとスポットが募る話をしていると、ようやく落ち着いたのかダディンがドータを肩車して二人に近づいてきた。


「ロースト・ハムエッグ伯爵。今回の件、切に切に感謝を申し上げる。誠に、誠にありがとう」


ドータを降ろした後、深々と頭をローストに下げる。


「おやめください殿下!?正門前で民衆も見ておりますゆえ、何と恐れ多い…」


「構わぬ!家族に比べれば威厳など何と安い事か!お主が忘れてもわしは今日の恩を忘れぬぞ!」


「いえ、先ほど宰相様にも申し上げましたが、ドータ様を直接お救いしたのはトエム様でございます」


「そうだな…はぁ、あ奴に何を与えればいいのやら…」


「お父様!私をトエム様に差し上げてはいかがですか?(/// ///)」


「…FA〇k?(理解が追い付かないダディン)」


「ちょ!?嬢ちゃん正気か?相手は本当にトエムか?よく考えて物を言ってるか?」


「し、失礼ですわスポット叔父様。私、本気でトエム様をお慕い…していると思います。それにトエム様は「ケ〇穴調教をしてくれる女性」と結婚なさるとおっしゃいました。私、がんばってそのけ―――」


「そんな言葉ドータちゃんは二度と使ってはならぬ!!(あんのクソガキぃいい!なんて業の深い事教えてやがる!!??〇ァック!〇ァック!〇ァアアアアアック!!!!)」


この時、ダディンはプロティンにトエムとの縁談を持ち掛けなければならなくなる未来を心のどこかで予感していたと、彼は後に語った。

最後までご覧いただき、誠にありがとうございます。


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