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最古のダンジョン

アルラウネのメープルはボクっ娘です。

私→僕

ご指摘、誠にありがとうございました。

ミノタウロス集落(要塞) ハルヒト調理場

 

「うーん…」


ミノタウロスの子供、ハルヒトは食材の仕込みを行いながら悩んでいた。

前世のライバル、宍戸恵夢ししどえむにちょっかいを出したいのだ。


なぜかと言われれば、それはさどみちゃん(自分をフった宍戸の妹)の気を引きたかったのが始まり。


思えば中学の卒業式で裏で‟ちんたまデスマッチ”というお互いの金玉を利き手と反対の手で握り、

利き手で顔を殴りあうという、「ちょっと~男子馬鹿なことやめなよ~」的な殴り合いもした。


結果、自分が顔面ひび割れで負けてしまったのだが、

あの娘の病院にいき、治療中いい笑い話になった。


先日ざっくり例の人族を見たが、実力は自分と拮抗していると感じた。

下手にミノタウロス集落の連中が戦ったら肉塊の山が積もるだろう。


私情で死なせるのは…ねぇ?


「どうしたもんか」


「(なんじゃ?こんな時こそ我を頼らぬかい!)」


ハルヒトの頭に響く女の声。邪神ヤマーダの念話。


「なんだよヤマダさん」


「(ヤマーダであると何度も言っておる!なんか既に日本なまりじゃし…それはともかく、この近辺にダンジョンがあるのは知っておるな?)」


「ああ!ダンジョンの間引きでとれる魔物は食材になるからお世話になってるぜ?」


「(この世界には『ダンジョンコア』という、ダンジョンの核があってのう。魔物や魔族はその『ダンジョンコア』を操り好き放題にダンジョンの魔物や資源を生成権利がを会得できるのじゃ!)」


「へー」


「(本当料理以外に興味ないのう…しかしな、この『ダンジョンコア』を使って魔物を大量発生させ、人里に一気になだれ込む『魔物大行進スタンピート』というものがある)」


「あ~!異世界物でよく聞くやつね」


「(ほう!なら話は早い!攻略して『ダンジョンコア』の主導権を奪い新たな『ダンジョンマスター』となって『魔物大行進スタンピート』を起こし、そのシシドとかいう奴にぶつけるのはどうじゃ!)」


「まぁ仲間を当てるよりはいいわな!よっしゃ!早速父ちゃんに相談しに行くぜ!」




ミノタウロス集落 族長ハウス 2階


「と、いう訳で父ちゃん。ちょっとダンジョンとやらを攻略してくる」


「待て、スタンピート?え?お前の言うダンジョンとは『最古のダンジョン』の事か?あそこはやめておけ。この魔の森は世界で最も濃い魔素地帯と呼ばれている。そんな森で生まれたダンジョン攻略なぞ常軌を逸している!」


魔素量の濃度によってダンジョンとは基本的難易度が変化するモノらしい。


「へぇ、余計行ってみたいねぇ!」


「お前は困難を好む体質であったな(遠回しにマゾ)やれやれ…お前はわしより既に強いからこれ以上は止めぬ、だが引き際だけは忘れるな」


「へへ!お土産持って帰ってくんよ!」


族長の承認を得たところで、早速ダンジョンに向かうのだが、


「おおっと忘れてたぜ!ダンジョン攻略は長丁場。食料をたんまり持っていかなければな~」


外に出る前にハルヒト調理場と呼ばれる、ハルヒト専用のコンビニくらいの大きさの調理場に立ち寄る。

地下室に大量の乾燥食材と、果実水、更に発酵食品などがある。


調理全能クッキングマスター》のスキルにより、乾燥・発酵は瞬時に行う事が出来た。

更にスキルを通して加工したものは料理とみなされ、回復や身体強化などの効果を発揮する。


乾燥肉や、乾燥野菜、調味料、作物など、日持ちする食材を片っ端から集める。

そして―――


「『ワンダーバック』!」


ワンダーバックとは世界樹の葉袋の事。

以前赤髪のイケメンメガネの人族を、餓死から救った時にくれた物なのだ。


「(あのカシコイとかいう冗談みたいな名前の人族の兄ちゃん、元気にやってるかな)」


ドラゴンの胃袋が研究材料としてほしいとか言ってた魔法使いの兄ちゃん。

何も考えずに魔法で飛んできたらしく、魔素枯渇を起こし空腹で生死をさまよっていた。


そこを食材探しに森を暴れていたハルヒトが遭遇。

食事を分け与えると、人族にも関わらず友好的だったので、ついついブルードラゴンとかいう8メートル級の青トカゲを狩ってあげた。


たいそう喜んだカシコイとかいう赤髪メガネはこの『ワンダーバック』をくれたのだ。

袋の中に入れると【小人化スモール】の魔法がかかり大量に物を入れられる優れもの。


しかも特殊な素材で出来ているのか傷がほとんどつかず、ついても自動で修復する超優良品。

袋の大きさは5Lくらいなのだが、中にはこの調理場が建物ごとそのまま入るほど詰め込める。


ただし質量は変わらないので入れ過ぎに注意なのだが、鍛えこんでいるハルヒトには無問題だ。


調理器具や寝袋なども食材と一緒にぶち込んで、いざダンジョンへ!


「アンタ!またどこか行くのかい!」


「かっ、かーちゃん!?」


いきなり後ろから声をかけたのは、ハルヒト現在の母親、ミノタウロスの『ミノリ』であった。


「もう!アンタって子はどうしてそう落ち着きが無いのかしらね!どこか行くときにはかーちゃんにも必ず話しなさいっていつも言ってるでしょ!どうしてとーちゃんにしか話さないのかしら!最近BOSSBOSS呼ばれて調子乗ってるわな!」


「いや~、そんなこと無いっすよ?」


「いや!そんなことある!ちょっと来なさい!今日こそたんまり説教してやる!」


「ちょっとかーちゃん!俺今からダンジョンに行かなきゃ―――」


「ダンジョン!!この子は~また変なこと言いだすんだから!大体アンタはいつもそうやって勝手やって…私がいつもどんなに心配してるか―――」


スッとハルヒトが残像になって消える。

骨を揃えたナンバ歩きは正中線が上下することなく、素人には消えたように見える。


気付いた時には相手の裏に回っている。


「コラ―――待ちなさいハルヒト―――!!」


「ごめんよかーちゃん!いってきま~す!」


5歳のやんちゃミノタウロスはダンジョンに向かって調理場を後にする。

ハルヒトは今、物凄く異世界感を感じてワクワクだ。


「ダンジョンか~なんかゲームみたいだな」


ハルヒト要塞から北に5キロ。

小さな祠の様な所に『最古のダンジョン』は存在する。


数多の魔人や人族の命を奪った最古のダンジョン。

その深淵にたどり着いたものは数百年、一人としていない最古のダンジョン。





最古のダンジョン 手前


「んで?何でお前が居るの?」


ハルヒトは後ろを振り向く、、

緑の髪の毛となびかせるぺったんロリアルラウネの美少女、『メープル』がいた。


「も~BOSSったら未来のお嫁さんを置いてくなんてひどいゾ。ウフフ『斥候』の僕からは逃げられないゾ~♡『斥候』は感知に優れたスキルがたくさんあるかラ、ダンジョン攻略には欠かせないゾ!」


目がレイプ目のヤバイロリっ子アルラウネ メープル。

ちなみにこの世界のアルラウネというのは見た目女の子だが、俗に言うおしべとめしべを両方所持しているので、両性である。


つまり、ふたな―――


「なぁ、ダンジョンやばいって聞いてないのか?命の保証はないぞ?」


「そんな口実で僕を遠ざける事なんてできないんだから~BOSSの子供産むまでつきまとうからネ~」


「いやいや種族的に交尾してもガキはできねぇっていつも言ってるでしょ?」


「何言ってるのサ!僕一人でもかわいい赤ちゃん創れるヨ!そしたらBOSSの子供、いっぱいだネ!」


「いや…俺関係ない?」


「BOSSを想って子供創るんだヨ?それってBOSSの子供で間違いないでショ~フフフ♡」


「え”!?」


「(ヤヴァ!!)」←ヤマーダ神なう


「え?ちょっと~1割冗談だヨ~。まだ僕の年じゃ子供なんてできないジャン~未来の話をしただけなんだからネ(ポッ)」


以前森の魔物に襲われているのを助けた時にハルヒトにホレてしまったらしいメープル。

それ以来ハルヒトの下半身の前後を狙い続けるストーカー系ロリ美少女。


ミノタウロスとは言え5歳児のショタ付け回すとか…

ダンジョンよりこいつの方がヤヴァイだろ、とハルヒトは思った。


ため息をつきながらも、とりあえずダンジョンへと足を踏み入れるのだった。



ダンジョン内部


「BOSS…入り口からずうっト…何やってるノ?」


「罠チェック。これダンジョン攻略の基本だから」


一歩ごとに謎の猫手の素振り、というハルヒトの謎の儀式につい突っ込んでしまったメープル。


「ほら、この素振りのおかげで、そこら中にあった罠が姿を現しただろ?」


「んなアホな事…あるんだよねコレガ」


落とし穴・アロートラップ・毒針床・転移陣などなど、数々の罠があらわになっていた。

ハルヒトの素振りは大気を震わせる威力があるので、埃やら土が舞い上がり姿を現したのだろう。


それにしても低層から殺る気満々の罠ラインナップである。


通常、メープルの様な『斥候』の職を持つものが先陣をきり、罠を看破していくのだが、

この発見方法は時間がかかる。


でもなぜか満足そうなハルヒト。


「BOSS~こんなことしてたらいつまで経っても攻略…ム!?前方50メートル先から何かモンスターが来ル!」


前方からサーベルタイガーというA級相当の魔物の大群が押し寄せてきた。

3メートルの虎にでっかい牙が付いた気性の荒い魔物である。


「こんなまだ入ったばっかりの階層でいきなりサーベルタイガー!?ひえエ…」


怯えるメープルを背に、何かの魔法を唱えるハルヒト。


「【探査サーチ】、ん~30匹くらいか?おーいメープル~とにかく通路まで戻るぞ!」


「そっかBOSS!今の広間じゃ四方八方から襲われるもんネ!ボクの貞操の危機だヨぉ♡」


「ん、そだね」


通路まで先程素振りをした床のみを使い後退していくハルヒト。

各個撃破はみな親指デコピンで一発頭ぷしゃーであった。


人族の王国騎士の小隊が命からがら倒せるA級指定魔獣のレベルではハルヒトの相手にならない。


またしてもハルヒトの謎儀式が始まった。


「あんな空振り繰り返してたラ…もう結構経ってるのにまだ3階だヨ?も~お腹減っタ~ご飯にしヨBOSS~」


と、そんな事をメープルが呟いていた時、ダンジョン内の壁から謎の声が響き渡る。


『かーもかもかも(笑い声)!数年ぶりの愚かなる挑戦者たちカモ。この『最古のダンジョン』に挑もうなんぞ100年早いカモ!』


妙に甲高い声がダンジョンに響き渡る。


「あッ―――!?このダンジョンには『ダンジョンマスター』が居たからダ!それで階層の構造は定期的に変わるシ、低層からあんな強力なモンスターが―――ってBOSS!!こんな時くらいその変な儀式止めたラ!?」


ダンジョンに響き渡る声をガン無視して、空振りをし続けるハルヒト。

ハルヒトは前世からかなりマイペースな男である。


『そうだそうだカモ!そこのミニタウロス!ダンジョンマスターのカモが直々に声をかけてやってるカモ!このダンジョンは128階層もあるカモ!!頑張って―――』


「ウガァァッ!!」


瞬間ハルヒトの頭に血管が浮き出る!


「あ~攻略の楽しみが無くなったァ―――!!絶対ぶっ殺すゥッ!!」


するとハルヒトの周りに、周囲の空間がねじれ始めるほどの濃密な魔素が集まり始める。

この魔素に当てられてか、近くにいたメープルは意識を保てず「はへェ」と言って気絶した。


とりあえずワンダーバックにメープルをぶち込んでおく。


『なっ何で!?地下深くのダンジョンコアの部屋からでもわかる異常な魔力カモ?何する気、カモ…』


「萎えた。ふざけやがって…最深部が解らなくて、まだかまだかと攻略して、内臓がキリキリするほど限界状態で潜っていく…そんなダンジョンの醍醐味(?)を奪いやがってッ!!俺が思うもっとも邪道な方法で攻略してやる、首洗っとけ!!」


すると魔素がハルヒトの両腕に集中し、ハルヒトはそれを地面に叩きつける。

地面の岩盤(約3メートル)は崩れ、新たな階層に着地する。


『ま、まさか―――』


「このダンジョンは地下にずっと続いてるんだろ?、さっきの【探査サーチ】で50階辺りまでなら見たちゃったのよね。まぁその先にダンジョンコアとやらがあるんじゃな~い?」


『えっ―――【探査サーチ】って周囲を確認する魔法の【探査サーチ】カモ?そんな広範囲で展開できる魔法カモ?いや…ちょ!?マジちょっと待ってカモ!?』


両手に魔素を集中した猫手でガンガン岩盤ぶち抜いていくハルヒト。

ダンジョンは魔素で生き物の様に岩盤修復するし、何よりS級指定魔獣という天災クラスの魔物でも傷つける事すら難しいので、滅茶苦茶な攻略法を想定してなかったのである。


『うひゃ~さっきから10秒も経ってないのにもう5階層分ぶち抜いてるカモ~~~あ~~~ダンジョンの壁ってアダマンタイトより硬いのに薄いガラスみたいに容易く壊されてるカモ―――これ3分しないうちにダンジョンコアの部屋まで来ちゃう来ちゃうカモ!?いや~きついっカモ!DPDP!ありったけ~~!』




3分後




「こんちわ!死ねッ!!」


あっさり最深部まで降りてきたハルヒト。途中途中ドラゴンやフェンリルなどのボスエリアもあったのだが足止めにもならず頭パッカ~ンして瞬殺であった。


「かもかもかも…よっよくぞ来たな…ミニタウロスよ(震え)、我はこの千年以上続くダンジョンマスター。『カモネーギ』であるカモ」


5歳のハルヒトと同じ大きさ位の髭を生やした二足歩行の愛らしい喋るカモノハシが目の前にいた。

なんだかゆるキャラみたいである。


「(あれ、ちょっと可愛いカモ?〈ハルヒトの脳内〉)」


ハルヒトはゆるキャラとか可愛い動物とか好きなので、カモネーギとか言う1メートルくらいのカモノハシにときめきを感じた。


その後ろには長さ10メートルくらいの巨大な魔石があった。


「(あれじゃハルヒト!あれがダンジョンコアじゃ!あれに触れ魔素を流し込めば、ダンジョンマスターの権限を剥奪できるぞ!)」


だが喋るカモノハシ、カモネーギとハルヒトの真ん中に突如巨大なドラゴンが現れる。

黄金に輝く竜麟。20メートル程あるであろう巨躯。そして空間を震わせるほどの魔素の放出。


「(あれは―――黄金の竜麟とこの圧倒的な魔力…『ゴッドドラゴン』じゃ!やばいぞハルヒト、奴は我々神々と同等の力を秘めたこの星に元々いた原始生物頂点の一柱じゃ!お主でも―――)」


「かーもかもかも(笑い声)!!ダンジョン生物最強の原初の一柱!神竜ゴットドラゴンの力を思いしるが―――」


「きえええええぇいッ!!」


ハルヒトは出てきた瞬間に四の五の言わず頬をブッ叩いた。

ドラゴンは吹き飛び、壁にぶつかり、瓦礫が降り注ぐ。


「かーもかもかも無駄カモ(焦り)!500年に及ぶ全 DPダンジョンポイントを注いで今生まれたこのゴットドラゴンがコアガーディアンであるかぎり、魔王も勇者も足元にも及ばないカモ!たかがミニタウロス風情天地ひっくり返っても傷がつけられる相手ではないかーもかもかも!」


「(しゃくじゃが、奴の言う通りじゃ!ここは一度引いた方がよいハルヒトよ)」


「この手ごたえ…俺の一撃に耐える奴か!面白くなってきたぜ、シシドとの前哨戦にはちょうどいい…さっき‟天地ひっくり返しても”って言ったよな?やってみるぜ!?」


その次の瞬間、ハルヒトの体に漆黒に光るの魔導回路がくっきりと見えるほど体に張り巡らされた。

そして―――


「【天変地―――】」


しかし、ハルヒトの強大な魔法は放たれることはなかった。


思い切り壁にぶつかって瓦礫の中から出てきたゴットドラゴンは、頬を抑えながら震えていた。

ドクドクと血が出てきている。その眼は涙で潤んでいた。


「いだいよ”お”お”お”パパぁ”~~」


「あれ?」


20メートルの巨体の黄金ドラゴンがカモネーギめがけて突っ込んでいく。

いきなりの事で反応が間に合わなかったカモネーギは受け止めきれず気絶した。


「(あ…あのゴットドラゴンの竜麟を貫通しておった…お主、既に神域におるぞハルヒトよ?)」


「へ~」


神域?とやらでは腹は膨れないと思うハルヒトは、とりあえずダンジョンコアに触れ魔素を流す。


ダンジョンコアの色が赤からどす黒い漆黒に変わる

その瞬間ハルヒトの頭に謎アナウンスが流れる。


「(《構造権限》《創造権限》《DP権限》の権利がサカモト・ハルヒト様へ譲渡しました。)」


「ってヤマダさんじゃん?急にどうした?」


謎のアナウンス口調になった邪神ヤマーダ。

何と言うか…操られてる無感情な感じ?


「かっカモ~!消えたく無いカモ~!!」


突如意識を覚ましたカモネーギの体が蒸気になっていく。

どうやら先程の黄金ドラゴンも同じだ。


「パ”パ”~痛”いよ”~た”す”げで~」


ぐもった声で幼子の様に泣き始めたゴットドラゴン。


「ん?何だ何だ?どうなってるんだ?」


「(ん…我は何を…おや?どうやらダンジョンマスターになったようじゃのう、よくやった!見よ!哀れな元ダンジョンマスターとゴットドラゴンを!ダンジョンコアを失えば命を保てないのじゃろう、コアに依存し過ぎじゃのうガハハハハ!)」


「なるほど、コアを使えばいいって訳ね」


ダンジョンコアに触れるハルヒト。

すると二足歩行の1メートルくらいのカモノハシと、ゴットドラゴンの蒸発が止まる。


「(なにをしておるハルヒト!?なぜ助ける?)」


「だってさ、あんなかわいい動物が死ぬとかダメ!あのぽてぽてしいカモノハシ…可哀そうだろ?」


「な?へ?助かったカモ?いや!助けてくれたカモ!!嬉しいカモありがとうカモ!ミニタウロスいや、主様~!!」


自分の体が蒸発しないと知るや頭を垂れるカモノハシ。

後ろでドラゴンも頭を下げ光り始める。


「生きてるカモ~!内心めっちゃ怖かったカモ~!!地盤ぶち抜いてやってくるとか神様でも出来ないカモ~!絶対死んだと思ったカモ~うあ~ん」


安心したのかボロボロ泣き出すカモノハシ。

隣にはいつの間にか4歳くらいの可愛い金髪美幼女が布切れを着てカモノハシの腹をナデナデしていた


頬からは血が流れている。


「へ?こいつどこから入ってきたんだ?あ~傷ついてるじゃん、ちょっと見せてみ」


とりあえず幼女のほっぺをペタペタ触る、すると瞬く間に傷が治ってしまった。


「お兄ちゃんすごい!ありがとー」


にっこり笑う幼女がじゃれてきた。とりあえずハルヒトは撫でてやる

よく見ると黄金のしっぽを生やしていた。


「(か、回復魔法カモ?なんで闇の魔素を媒介に生まれた魔物が‟神聖魔法”が扱えるカモ?ありえないカモ…)」


とここで、邪神ヤマーダの声がする。


「(どうやら《人化》のスキルはもう持ってるようじゃ。そこな幼女はさっき叩いたゴットドラゴンじゃ!それにしても20メートルでも幼体だったようじゃな)」


「幼女殴ったってか!?ぬぐぅ…俺としたことが情けない…」


ハルヒトが反省していると、袋の中からアルラウネがいきなり飛び出してきた。

メープルは意識を戻したようだ。


「うわ~お人形さんみたーイ!カワイイ~♡僕はメープル!君ワ?」


「わたしはキラリン!よろしくメープル!」


ひょっこり袋から出てきたメープルがキラリンを抱いてクルクル回りだす。二人ともきゃっきゃしている。

メープルのコミュ力は純粋にすごかった。


「それで…オイラはこれからどうなるカモ?主様?」


不安そうにハルヒトの顔を覗くカモネーギ。ハルヒトは、


「『すたんぴーと』とかいうのやりたいんだよね。手伝ってよカモちゃん」


「かもちゃん?もう既にダンジョンコアの魔力が上書きされた時点でもうオイラは主様の所有物カモ。そもそも拒否権はないカモ。そこのキラリン(ゴットドラゴン)と共に頑張って手伝うカモ。でも正直、主様程の存在の庇護が受けれるのは嬉しくってマジ卍カモ!!」


「よし、じゃ色々教えて」


以下カモネーギの話を要約。

ダンジョンマスターはDPダンジョンポイントと言うものを使って各階層にモンスターを配置したり、ダンジョンの構造を変えたり、トラップを作ったりする《構造権限》。

DPを使いダンジョンコアから直接ボスモンスターやユニークモンスター、ダンジョンマスターの知識イメージから様々な物を創り出す《創造権限》。

そしてダンジョン内で死んだ生物や、ゴミなどを分解し、魔素として吸収しDPに変換する《DP権限》の3つがあるようだ。


早速ハルヒトは適当なものをダンジョンコアから《創造権限》で創り始める。

ちなみにDPはカモネーギが元々貯蓄していたモノを使わせてもらう。


ダンジョンコアからコロッと出てきたそれは…


「ノートパソコン!?う、うそ…」


これにはハルヒトも驚いた。完全なオーバーテクノロジーである。

恐る恐る電源を付けると…


「だっは!?動く動く…スゴ…え?スゴ?これは…」


完全に前世で愛用していた店経営用のノーパソであった。

ダンジョン経営、と言うイメージからなぜかこいつができてしまった。


ハルヒトがダンジョンコアで色々試した結果、‟生前で触れた事の無いもの”は創り出せない事と、

PCやゲーム機などのコンピューターは破格のDPが必要で、S級指定魔獣生成の約5倍以上必要であったことが解った。


「とりあえず俺は一旦帰るよ。カモちゃんにダンジョンマスター権限共有できるみたいでするから、俺が居ない間適当に経営しちゃって!あ?このノーパソ自由に使っていいよ。電源ここね」


「かしこまりカモ!!(デンゲン?)とにかく、帰るならダンジョンマスターはダンジョン内をどこでも一瞬で転移できるカモ!でもその前に…名前を聞いてよろしいカモ?」


「あ?そっか…俺はサカモト・ハルヒト!よろしく」


すると一瞬で消えるハルヒト。どうやら転移できたようだ。


「ハルヒト様…胸に刻むカモ!キラリンも頑張ってお仕えするカモ」


「うん!パパ」


「あレ?僕はまだいるけド?まってまっテ!どうするノ?これどうすんのぉオッ!!」


取り残されたメープルは翌日無事に集落に帰って来た。

カモネーギに散々駄々をごねたらしい。





しばらくしてメープルが集落に戻った時には、また様相が変わっていた。


ハルヒトがダンジョンコアのDPを使い、《創造権限》で集落に足りなかった衣服を持って来た。

ジーンズやセーターを着こなすミノタウロスやケンタウロス、アウラウネ達。


更にや画面付きDVDプレイヤーや漫画などの娯楽のオーバーテクノジーもできちゃったので自粛無しで集落に持ち込む。


生前よく見たあのお腹が減るドラマのDVDとか、海賊漫画とかを全巻(2020までしか生成できなかった)持って帰って来たハルヒト。ちゃんと父親にお土産を忘れていなかった。


何機か持ち帰ったDVDプレイヤーを巡って軽い小競り合いが起きるほど画期的な娯楽品で、

初めて見た時は皆目を丸くして、口を開けたまま画面を覗いていた。


漫画に関しては、ミノタウロスの若者がどこからともなく仕入れていた『薄い本』なる物の存在があったので、すんなり受け入れられていた。


ちなみに言語は勝手に翻訳されていた。


集落に帰った後すぐ、ハルヒトはダンジョンに潜り続けている。

ダンジョンコアに自分の魔力を注ぎ込みDPを乱獲する。


ダンジョンコアに魔力を注ぐと、魔獣や人間や魔族の死骸や武器防具より溜まるのが解ってから毎日続けた。





「もうすぐお前に会いに行くぞ宍戸恵夢!!」


時は流れ、ダンジョン入り口は天災と呼ばれるような魔物で溢れ、今にも外へあふれ出しそうであった。


それはシシド…トエムとの遭遇から半年が過ぎ、この異世界に生まれてから互いに6年が経とうという頃。

最後までご覧いただき、誠にありがとうございます。

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