06 騎士団にスカウトされる
山を下りて少し歩くと大きな神殿があった。
すでに夜が空け始めている。
三人で参道を歩く。
参道には大きな柱が等間隔で並んでいた。
疲れているからか全員無言である。
ここで二人とはお別れか。
かわいい聖獣とも。
そして俺の戦士としての冒険もここで幕を閉じる。
「二人とも本当に強かったです。いい締めくくりにななりました。これで思い残すことなく…」
「それは、いかんのじゃ!」
俺の言葉はヴィレッタが大声でさえぎられた。
「タクトよ、おぬし本当に戦士を辞めるのか?」
「そうですよ、燃え尽きたんです。」
「いかん!故郷に帰るなどだめじゃ!」
「ヴィレッタも賛成してたじゃないですか。急にどうしました。」
「それはそれじゃ。あれ程の力があるのに、戦士を辞めるなど国家の損失じゃ、わしの騎士団に入れ。」
「ヴィレッタの騎士団ですか、それはまた…」
急な話である。
「駄目ですよ、お嬢様。勝手に決めては。帰ってから揉めますよ。」
「わしは団長じゃ。権限がある。あれ程の力を野に埋もれさせてよい訳がない。」
「まあ、一緒に戦えれば心強いとは思いますが…」
「そうじゃろう、なら良いではないか。さあ、どうじゃ、入団してくれるな。」
「いや、その…」
お二人はいい人だと思うけど…
もう戦いはこりごりだ。
戦士をやっていて、いいことなんて一つもなかった。
これ以上続けたところで、どうせうまく行かないさ。
田舎でのんびりくらそう。
「せっかくのお申し出ですが、今回は辞退しようかと…」
「ならん!ノワールも何か言え。」
ヴィレッタはノワールの背中を押して俺の前に立たせる。
「タクト殿、剣をつきつけたのは悪かった、お嬢様を守るのも私の役目なのだ、許してほしい。」
ノワールは俺の目をまっすぐに見て言った。左右対称の整った顔立ち。
顔を近づけられると緊張する。
「あれほどの力を身につけるとは、どれほどの努力をしたことか。それを無駄にせず、人々のために役立てようとは思わないか?それに…私も共に戦いたいと思う。」
ノワールの声は、澄んでいて奇麗だ。
その声で言われると、それが正しいと思えてくる。
「待遇も考えるぞ、どうじゃ。」
ヴィレッタが言う。
うーむ、どうしようか…
(タクトさん、この国を守って。)
頭の中に直接声が響く。
聖獣が俺をみつめている。
なんだ、やっぱり君話せるのか。
(タクトさんなら、素晴らしい戦士になれるわ。)
そうかなあ。
失敗ばかりの人生だったけど。
(シルバードラゴンが保証します。その力でこの国の人々を守って欲しい。それと…助けてくれてありがとう。わがドラゴンの騎士よ。)
それから聖獣は可愛らしく、にゃーと鳴いた。
はて、ドラゴンの騎士とはなんのことやら。
しかしである。
美少女と美人女騎士と聖獣にここまで言われて、断れる男がいるだろうか。
「入団します。微力ながらお力になれればと思います。」
軽く頭を下げながら俺は言った。
「そうか、おぬしが入ってくれれば我が騎士団も百人力じゃ。」
「これからも、よろしくたのむぞ。」
二人とも笑顔で答えてくれた。
よし、こうなったら精一杯頑張ろう。
一度はあきらめた道だけど、もう一度だけチャレンジしてみるか。
それと、結界は神殿の人が張り直してくれるそうだ。
大きな被害がでなくて本当によかった。
「ところで入団の件、前のパーティーには伝えなくてよいかのか。」
ヴィレッタが言った。
「いや、それはいいです。追い出されたようなものですから。しかし…」
「なにか気がかりでもあるのか。」
「一緒に盾役をやっていた相棒のジャンというやつがいて、別れを言っていないんですよね。それだけが少し心残りで。」
「そうか、モンスター討伐を続けていれば、いつか会うこともああるじゃろう。」
あいつは家が名門貴族なのに、俺のことを随分慕ってくれてたよな。
一人で大丈夫かな…
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