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47 告白

〈騎士団団長、ヴィレッタの視点〉


「ふぅ、今日もクエストの依頼書が大量に来ているのう…」

団長室の机の上に積み重なった書類をパラパラとめくる。


 すべて対応できれば良いが、戦士の数が全然足りぬ。

それに年々、凶悪なモンスターが増えておる。困ったものじゃ。


「ノワール様がお話があると、お越しです。」

書類に目を通していると、秘書の一人が言った。

「ふむ、なんじゃろうか。まあよい、通せ」


 広い団長室の窓際のテーブルで話を聴くことにする。


「実は、タクトのことでお話が。」

「なんじゃ?」

「タクトと正式なパーティーを組みたいのです。そのお願いに上がりました。」


 窓から指す光でノワールの金髪がキラキラと光る。

女のわしでも見惚れるほど美しい。

深い緑色の目でこちらをじっと見る。


「うーむ、おぬしは我が騎士団の筆頭じゃからのう。周りの指導もあるし、固定パーティーを組むのは難しいのではないかのう。」

「それならば、筆頭を辞めさせていただきます。」

「おいおい、なぜそこまでする必要があるのじゃ。」

「タクトのことが好きだからですが。」

「ん?それは、仲間としてとか、戦闘のパートナーとしてとか、そういうことか?」

「一人の男性としてです。」

「……」

惚れているのはわかっておったが、はっきり言うのう。


「どうしました?」

「いや、別に。しかしそれは公私混同ではないかのう。」

「そうですが。何か問題でも?」

うわ、こやつ開きなおりおった…


「タクトのどこがいいのじゃ?」

「そんなことをお嬢様に言う必要がありますか?」

「長い付き合いではないか。簡単でよいから言うてみよ。」

「はい、それでは…その…まず、かっこいいじゃないですか。」

「見た目のことか?まあ、顔立ちはそれなりに整っておるかな。」

「何を言ってるんですか、お嬢様。書類仕事ばかりで視力が落ちたのではないですか。誰がどう見てもかっこいいですよ。」

「そ、そうか。」

「それに優しいです。誰にでも優しいのですが、私には特に優しいのです。それに、誠実ですし…何より強い。あの見事な技は何度見ても惚れ惚れします…それに…」

「もういいわ、解った。」

わしは手の平を前に出して言った。

これは、べた惚れではないか…まさか、ここまでとは…


「それに、初めて会ったとき、命がけで私を守ってくれました。この私が誰かに心配され守られるなんて。Sクラスのモンスターを3体も相手にして。」

そうか、あの時からずっとか…


「それで、その想いはタクトへ、伝えたのか?」

「いえ、私は貴族の娘ですから、自分からそのようなことは…ただタクトも私の気持ちには、薄々気づいてはいるでしょう。」

「うーん、それはどうかのう。」

回りにはバレバレなんじゃが、本人は全く気づいていなそうな気がする。


「申し出は分かった。今すぐは決められぬ。考えておこう。」

「はい、よろしくお願いします。お嬢様。」



 数日後、セシルが団長室にやってきた。


「ノワールさんだけずるいです。私もタクト君と固定パーティー組みたいです。」

「どこから嗅ぎ付けてきたのじゃ。まだ何も決まっておらん。」

「じゃあ、決まったら教えてください。私もメンバーにしてくださいね。」

「しかし、お前は騎士団一の回復術師ヒーラーじゃからのう、なかなかそうも…」

「そんなこと、関係ないですよ。」

「この前タクトに回復魔法をかけたのであろう。もうよいではないか。」

「駄目ですよ。お願いしますね。団長。」

そう言うとセシルは席を立った。

まったく、わがままを言いおって。困ったものじゃ。


「今度はベオウルフ様が話があるとお越しです。」

「なんじゃ、あいつもか。通せ。」

どんな話かは想像がつく…


「団長聞きましたよ。固定パーティーを組むんですよね。俺もメンバーにしておいてください。」

「やっぱりそうか…」

「どうしました?」

「いやいや、おぬしにはゲートキーパーとして騎士団内に睨みを効かせる大事な役目があるじゃろう。」

「そんな役目を買って出た覚えはないですが。」

「それに固定パーティーを組むのは嫌だと言っておったではないか。」

「心境の変化ですよ。あいつらだけでは心配です、俺がいないと。」

「そう言われてものう。」

「まあ、頼みましたよ。」

そういうとベオウルフは団長室を出て行った。

まったく、そろいもそろって勝手なことを言いおって。どうしたものか…



「と言うわけじゃ。どうしたものかのう。」

わしは第一秘書のワンダに相談した。

口うるさいところがあるが、頼りになるやつだ。


「そうですか…それは逆にチャンスかもしれませんね。」

少し考えてから、ワンダは言った。

「なんじゃと?」

「モンスターの被害の凶悪化が進んでいます。超高難易度クエストをこなすための専門チームが必要なのではと、以前より作戦本部では話が出ているのでさ。」

「ほう、なるほど。」

「ただ、トップクラスの戦士は我が強いですから、パーティーを組んでもうまく機能しない場合がほとんどなのです。」

「なるほど、難しいものじゃな。」

「その点、タクトさんのパーティーは、チームワークが取れていることは実証済みです。すぐに実践投入できますね。」

「なんと、恐ろしいやつじゃ。お主まさか、最初からそのつもりで…今まで。」

「なにを、おっしゃいますか。皆の願いをかなえるために一生懸命考えたんです。」

「まあ、そういうことにしておこう。」


 超高難易度専門のチームか。

確かに現状を、考えるとそれもアリじゃな。


「一ついいことを思いついた。」

「なんですか?」

「わしもそのパーティーメンバーに加わるというのはどうじゃ。攻撃魔法を使えるものがいたほうが良いじゃろう。」

「団長は公務でお忙しいでしょう、駄目ですよ。」

ワンダはあきれた調子で言った。

「ふん、そう言われると思ったわ。つまらんのう。」

まあよい、何かと理由をつけてついていってやるか。


「何かおっしゃいましたか?」

「いや、なんでもないわい。」



 後日、タクト、ノワール、ベオウルフ、セシルが固定パーティーを組むことが作戦本部にて決定した。

正式発表を前に、メンバーを団長室へ招集した。


「おのおのの要望どおり、固定パーティーを組むことが決まった。」

わしは言った。

「本当ですか、ありがとうございます。」

「やったー、団長ありがとう。」

「はい、感謝します。」

「……」


「ただし、これだけの精鋭揃いのパーティーじゃ。生半可なクエストは回って来ないと思え。おぬしらに回って来るクエストはすべて超難関のSSクラスになるのじゃ。」

「はい、仰せのままに。」

「はーい、大丈夫だと思いまーす。」

「おう、望むところです。」

「……」


 みな嬉しそうにしているが、タクトは一人浮かない顔をしている。

そういえば、タクトの意向はまったくきいていなかったのう。

もしかして不満だったのじゃろうか。

ならば、最悪この話はご破算となるが…


「タクトよ、どうした。不満があるなら言うてみよ。

わしは言った。

「タクト、すまない。迷惑だったのか?」

ノワールが心配そうに言う。


「いや迷惑だなんて、俺は感動しているんです。」

タクトは言った。

「なんじゃ、びっくりさせるな。何も言わずにいるから不満があるのかと思ったわい。」

「不満だなんて、とんでもない。信頼できる仲間でパーティーが組めるなんて。俺なんかが…本当になんと言うか…嬉しくて。」

タクトはそう言うと言葉をつまらせた。

まったく、大げさなやつじゃのう。


「戦うのが嫌でしょうがなくて、戦士なんか辞めようと思ってたのに…」

「何をいうか。お前がやめられたら一大事じゃ。」

「はい、もうそんな気はありません。」

タクトは言った。


タクトには色々と助けられたからのう。喜んでくれてよかったわい。

それに、これでしばらく退屈はせずに過ごせそうじゃ。

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