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45 証人

 ジェフリー達は俺に対する殺害の容疑で憲兵隊に捕縛された。

同行していたマキシムとリックとエミリアも参考人として拘束されたようだ。

なんとも複雑な気分だ。


「やつは容疑を否認しておる。なかなか弁のたつ男のようでのう。ああ言えばこう言うで、尋問はうまくいっていないようじゃ。」

団長のヴィレッタは言った。

「確かにリーダーは交渉事は得意でしたね。」

「なにを他人事のように…タクトが生きていると知らせた時は、かなりの動揺を見せたようじゃが、なんだかんだとごまかされてしまったらしいわい。」


 魔物群との戦いからすでに数日が経過している。

俺はジェフリーの件で話があると天空騎士団本部の団長室に呼ばれたのだった。

広い団長室には、ヴィレッタとノワールがいた。


「豪腕のキリアクの証言もいまひとつ曖昧でのう。困ったものじゃ。」

「やはり、その女魔法使いに証言を頼むべきでしょう。タクトとはかなり仲がいいようでしたから、証言をするかもしれません。」

ノワールは俺をちらりと見て言った。

「いや、それほど仲良くもないんですが…」

「公衆の面前でベタベタしていたではないか。」

「いやいや、あれはですね…」

「そのことはよい。まずは女魔法使いに話を聞いてみようではないか。王都の施設におるはずじゃ。」

俺たちはエミリアの元に向かうことにした。



「いやです。」

魔法使いのエミリアに証言を頼んだが、あっさりと断られた。


「あやつが使用したのは、人に使うのは禁止されている凶悪な魔法なのじゃぞ。まともにくらうと体が内部から腐って死んでしまう。一つ間違えば、タクトがそうなっておったのじゃ。許してよいと思うのか。」

ヴィレッタは言った。

大きな目をエミリアに真っすぐに向ける。

「知りませんよ。なんでわたしなんですか。」

エミリアは伏し目がちに答えた。

「他に目撃者はいないのじゃ。」

「そんなもの見ていません。知りません。」

「そう言わずに頼む。不正をただすのじゃ。力になってくれ。」

「仮にわたしが見ていたとしても…怖くて証言なんてできません。」

エミリアはそう言うと下を向いた。

まあ気持は分かる。リーダーは怒ると怖いからなあ。粘着質だし。


「絶対に仕返しされるわ。悪い仲間がたくさんいるっていつも自慢してたし、どんな目に会うか。」

怯えた表情でエミリアは言った。

「そこは大丈夫じゃ、絶対にわしらで守る。」


「やっぱり無理よ…」

少し間を開けてからエミリアは言った。

「これは罰なんだわ。私も昔はリーダーと一緒になってタクト君をばかにしていたの。同罪だわ。何もわかってなかったの。タクト君がどれだけすごいのか、わたしたちがどれだけ愚かだったのか。もう冒険者は辞めるわ。だからもう…」

そういって片手で顔を覆った。

エミリアもだいぶまいっているみたいだ。


「もうこれ以上は無理ですよ、帰りましょう。」

俺は言った。


「いや、だめだ。タクトを殺そうとした男を許すわけにはいかない。私が必ずお前を守る。約束しよう。それでもだめか。」

ノワールがエミリアの両肩をガシッと掴んで言った。

「え?それは…」

エミリアは驚いた声で言う。

なぜだか少し嬉しそうだ。

「この漆黒のノワールが責任をもって守ると言っているのだ、それでも不服があるか。」

「ノワール様がわたしを守ってくれるのですか?」

「ああ、そうだ。安全が確認できるまで、ぴったりと護衛をしよう。」

「ぴったりとですか。そうですか。えーと、どうしよっかな。えへへ。」

エミリアの表情が変わった。

あんなに怯えていたのに、今はなんだかニヤニヤしている。

「それでも信用できないというのであれば、あきらめるしかないか…かくなる上は私の手で、やつを…」

「嘘です!やります。証言します!」

エミリアは食い気味に言った。

「そうか、それでは証言してくれるのだな。」

「はい、やります。戦う勇気が湧いてきました。」

「では早速だか、需要な証人として天空騎士団の宿舎へ移動してもらうのじゃ。部屋はノワールと相部屋でよいか。」

「相部屋!?」

「嫌なのか?そのほうが安全だと思ったのじゃが。部屋はかなり広いぞ。」

「最高です!相部屋で、ぜひ!はあはあ。」

「それでは証言なのじゃが…」

「なんでも言うとおりに話します。絶対にあの悪党を有罪にしてやりましょう。」

「急にどうしたのじゃ…正直に話してくれれば、それでよいのだ。」

ヴィレッタは困惑ぎみに言った。

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