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44 決着②

「吹きとばせ!バーストアタック!」

巨大なアークデーモンの体にノワールの攻撃が炸裂する。


ズシン…


 アークデーモンは胴体を吹きとばされ、前向きに倒れ動かなくなった。


「これで最後ですね。」

剣を鞘に収めながら、ノワールは言った。

「ああ、戦闘終了じゃな。」


 平原に戦闘終了の合図が鳴り響く。

草原の地平線に朝日が昇る。

いつのまにか夜が明けていた。


「やっと終わった。クエスト成功ですね。」

夜通し戦い続けたので、さすがにヘトヘトだ。

そこら中で戦士達が倒れ込んでいる。


「まずは被害状況の確認じゃ。ノワールよ、すまんがついてきてくれ。」

「はい、お嬢様。」

「タクトたちは、休んでいてくれ。」

ヴィレッタはそう言うと、ノワールと歩き去った。



「はーい、じゃあそこに坐ってください。」

セシルはウキウキとした声で言った。

俺は草むらに腰を降ろす。

セシルは杖を構えヒーリングの呪文を詠唱する。

黄金の光が体を駆け抜けると、一瞬で全ての傷がふさがった。

「セシルちゃんのヒーリングはどうですか?」

「痛みが全く無くなった。すごい、完璧だよありがとう。」

俺は自分の体をさすりながらいった。

こんなに一瞬で、ここまで治るものなのか。本当にすごい。

「えへへ、やったね。いつでもどうぞ。どんどんダメージ受けてね。」

「おいおい、戦士はダメージなんて受けないほうがいいんだぜ。」

ベオウルフが言った。

「もー、なんですか、邪魔しないでくださいよ。」

「俺にもヒーリング頼むぜ。」

「ベオウルフさんは、いつもダメージを受けすぎなんですよ。」

セシルはそう言いながらもベオウルフにヒーリングをかけた。


 少しして、ヴィレッタが先に戻ってきた。

ノワールは他のパーティーリーダー達と話をしてから戻るとのことだ。

「しばらく休憩じゃ。みな疲れ果てておる。ただ幸い戦死者は出ていないようじゃな。」

ヴィレッタそう言うと俺の前に座った。

「しかし、おまえは、いつも無茶をしおって。」

「はい、すいません。」

「しかし、またタクトに助けられたな。これで、わしの首もなんとかつながったじゃろう。」

「いえ、そんな。それにみんな早く来てくれて助かりました。」

「うむ、ベオウルフの報告でみな慌てて準備を進めてなあ…」

「まさか一人で突っ込むなんて、セシルちゃんもびっくり仰天ですよ。」

セシルはあきれた感じで言った。

「はい、その…急いでいたし、何をするのかうまく説明ができなくて…」

「まあよい。それで行軍する段になってノワールが泣きながら走り出してのう…皆であわてて追いかけて、結局ここまで走ることになったのじゃよ。」

「そうでしたか…」

俺なんかのためにそこまでしてくれるとは。

ノワールは本当に仲間思いだなあ。


 ノワールも遅れて戻ってきた。

「タクト…本当に無事で良かった。」

ノワールが言う。

「心配をかけてすいません。」

俺がそう言うとノワールは、ふっと微笑んだ。

「しかし、あれほどの大群をたった一人で足止めするとは。さすがタクトだ。恐れ入ったよ。」

「みんなの力ですよ。」

「いや、タクトの力で多くの人が救われたのだ。他のパーティーの連中もみなタクトを称賛していたぞ。救国の英雄だな。」

「また、そんな大げさな。」


「一人で魔物の群れに飛び込むとは、クレージーなやつだぜ。」

野太い声が後ろから聞こえる、豪腕のキリアクだった。

キリアクは俺の肩をパンと叩くと豪快に笑った。


「わしはお前の実力を見誤っていたようだ。すまんかった。」

「いえ、キリアクさんの戦いぶりも見事でした。」

「実は、もうひとつ、お前に謝らねばならんことがある。」

「なんですか、あらたまって。」

「ジェフリーのことだ。あいつは別れ際にお前に呪い魔法を放ったのだ。すぐに言わなくてすまない。」

「本当ですか?なんでそんなことを…」

「どうやらお前をかなり恨んでいるようだった。体に異変はないか。」

「特にはなんとも。事実だったとしても、俺には魔法が効かないので大丈夫だと思います。」

「魔法が効かない…そんなことがあるのか。」

「本当じゃ。こいつはこう見えてシルバードラゴンのドラゴンナイトなのじゃ。ドラゴンの恩恵で魔法無効の耐性持ちなのじゃ。」

シルバードラゴンの恩恵は続いている。

今度シルバーにお礼にいかないとな。


「そうなのか、本当によかった…お前を気に食わんと思い、つい言うのを後回しにしてしまった。まさか凶悪な呪い魔法とは思わなんだ。わしは卑怯者だ。許してくれ。」

そう言うと豪腕のキリアクはおいおいと泣き出した。

さっきまで笑っていたのに、忙しい人だなあ。

「いや、まあ、あの状況ですから。しかたないですよ。」


 しかし、リーダーがなんで俺にそんなことを…

そこまで恨まれるようなことがあっただろうか。

むしろ恨むなら俺の方だと思うが。


「呪い魔法とは…それは本当なのか?」

ノワールが言った

「ああ、間違いねえ。それも、かなり悪質なやつだ。さっき仲間の魔術師に特徴を伝えたらそう言われたのだ。」

「なんと卑劣な。ゆるせんな。」

ノワールが怒りの形相になる。

「呪い魔法を人につかうなど重罪じや。ましてやモンスター戦闘中の仲間になど言語道断。」

「今から追いかけましょうか。」

「それは憲兵にまかせよう。ジェフリーを仲間殺しの罪で指名手配するのじゃ。」

ヴィレッタは言った。


「しかし、他に目撃者はいないのか?」

ベオウルフが言った。

「なんだ、わしが見たと言っているだろうが。」

「それだけだと弱いのう。」

「そうですね。」

「なんだと!豪腕のキリアクの言うことが信じられんのか。」

「言いにくいことじゃが、お前さんは変わり者で通っておるのだ。嘘を言うとは思わんが、証人としてはちと心もとないのう。」

「ぐぬぬ、まあ認めたくはないが、そうかもしれんな。」

「それで、他に目撃者はいないのか?」

ベオウルフはもう一度聞いた。

「うーん……そうだ、ジェフリーのすぐ隣に魔法使いのお嬢ちゃんがいたな。間違いなく見ているはずだ。」

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 「そうなのか、本当によかった…お前を気に食わんと思い、つい言うのを後回しにしてしまった。 まさか凶悪な呪い魔法とは思わなんだ。わしは卑怯者だ。許してくれ。」 いや、許しちゃダメでしょ…
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