44 決着②
「吹きとばせ!バーストアタック!」
巨大なアークデーモンの体にノワールの攻撃が炸裂する。
ズシン…
アークデーモンは胴体を吹きとばされ、前向きに倒れ動かなくなった。
「これで最後ですね。」
剣を鞘に収めながら、ノワールは言った。
「ああ、戦闘終了じゃな。」
平原に戦闘終了の合図が鳴り響く。
草原の地平線に朝日が昇る。
いつのまにか夜が明けていた。
「やっと終わった。クエスト成功ですね。」
夜通し戦い続けたので、さすがにヘトヘトだ。
そこら中で戦士達が倒れ込んでいる。
「まずは被害状況の確認じゃ。ノワールよ、すまんがついてきてくれ。」
「はい、お嬢様。」
「タクトたちは、休んでいてくれ。」
ヴィレッタはそう言うと、ノワールと歩き去った。
◇
「はーい、じゃあそこに坐ってください。」
セシルはウキウキとした声で言った。
俺は草むらに腰を降ろす。
セシルは杖を構えヒーリングの呪文を詠唱する。
黄金の光が体を駆け抜けると、一瞬で全ての傷がふさがった。
「セシルちゃんのヒーリングはどうですか?」
「痛みが全く無くなった。すごい、完璧だよありがとう。」
俺は自分の体をさすりながらいった。
こんなに一瞬で、ここまで治るものなのか。本当にすごい。
「えへへ、やったね。いつでもどうぞ。どんどんダメージ受けてね。」
「おいおい、戦士はダメージなんて受けないほうがいいんだぜ。」
ベオウルフが言った。
「もー、なんですか、邪魔しないでくださいよ。」
「俺にもヒーリング頼むぜ。」
「ベオウルフさんは、いつもダメージを受けすぎなんですよ。」
セシルはそう言いながらもベオウルフにヒーリングをかけた。
少しして、ヴィレッタが先に戻ってきた。
ノワールは他のパーティーリーダー達と話をしてから戻るとのことだ。
「しばらく休憩じゃ。みな疲れ果てておる。ただ幸い戦死者は出ていないようじゃな。」
ヴィレッタそう言うと俺の前に座った。
「しかし、おまえは、いつも無茶をしおって。」
「はい、すいません。」
「しかし、またタクトに助けられたな。これで、わしの首もなんとかつながったじゃろう。」
「いえ、そんな。それにみんな早く来てくれて助かりました。」
「うむ、ベオウルフの報告でみな慌てて準備を進めてなあ…」
「まさか一人で突っ込むなんて、セシルちゃんもびっくり仰天ですよ。」
セシルはあきれた感じで言った。
「はい、その…急いでいたし、何をするのかうまく説明ができなくて…」
「まあよい。それで行軍する段になってノワールが泣きながら走り出してのう…皆であわてて追いかけて、結局ここまで走ることになったのじゃよ。」
「そうでしたか…」
俺なんかのためにそこまでしてくれるとは。
ノワールは本当に仲間思いだなあ。
ノワールも遅れて戻ってきた。
「タクト…本当に無事で良かった。」
ノワールが言う。
「心配をかけてすいません。」
俺がそう言うとノワールは、ふっと微笑んだ。
「しかし、あれほどの大群をたった一人で足止めするとは。さすがタクトだ。恐れ入ったよ。」
「みんなの力ですよ。」
「いや、タクトの力で多くの人が救われたのだ。他のパーティーの連中もみなタクトを称賛していたぞ。救国の英雄だな。」
「また、そんな大げさな。」
「一人で魔物の群れに飛び込むとは、クレージーなやつだぜ。」
野太い声が後ろから聞こえる、豪腕のキリアクだった。
キリアクは俺の肩をパンと叩くと豪快に笑った。
「わしはお前の実力を見誤っていたようだ。すまんかった。」
「いえ、キリアクさんの戦いぶりも見事でした。」
「実は、もうひとつ、お前に謝らねばならんことがある。」
「なんですか、あらたまって。」
「ジェフリーのことだ。あいつは別れ際にお前に呪い魔法を放ったのだ。すぐに言わなくてすまない。」
「本当ですか?なんでそんなことを…」
「どうやらお前をかなり恨んでいるようだった。体に異変はないか。」
「特にはなんとも。事実だったとしても、俺には魔法が効かないので大丈夫だと思います。」
「魔法が効かない…そんなことがあるのか。」
「本当じゃ。こいつはこう見えてシルバードラゴンのドラゴンナイトなのじゃ。ドラゴンの恩恵で魔法無効の耐性持ちなのじゃ。」
シルバードラゴンの恩恵は続いている。
今度シルバーにお礼にいかないとな。
「そうなのか、本当によかった…お前を気に食わんと思い、つい言うのを後回しにしてしまった。まさか凶悪な呪い魔法とは思わなんだ。わしは卑怯者だ。許してくれ。」
そう言うと豪腕のキリアクはおいおいと泣き出した。
さっきまで笑っていたのに、忙しい人だなあ。
「いや、まあ、あの状況ですから。しかたないですよ。」
しかし、リーダーがなんで俺にそんなことを…
そこまで恨まれるようなことがあっただろうか。
むしろ恨むなら俺の方だと思うが。
「呪い魔法とは…それは本当なのか?」
ノワールが言った
「ああ、間違いねえ。それも、かなり悪質なやつだ。さっき仲間の魔術師に特徴を伝えたらそう言われたのだ。」
「なんと卑劣な。ゆるせんな。」
ノワールが怒りの形相になる。
「呪い魔法を人につかうなど重罪じや。ましてやモンスター戦闘中の仲間になど言語道断。」
「今から追いかけましょうか。」
「それは憲兵にまかせよう。ジェフリーを仲間殺しの罪で指名手配するのじゃ。」
ヴィレッタは言った。
「しかし、他に目撃者はいないのか?」
ベオウルフが言った。
「なんだ、わしが見たと言っているだろうが。」
「それだけだと弱いのう。」
「そうですね。」
「なんだと!豪腕のキリアクの言うことが信じられんのか。」
「言いにくいことじゃが、お前さんは変わり者で通っておるのだ。嘘を言うとは思わんが、証人としてはちと心もとないのう。」
「ぐぬぬ、まあ認めたくはないが、そうかもしれんな。」
「それで、他に目撃者はいないのか?」
ベオウルフはもう一度聞いた。
「うーん……そうだ、ジェフリーのすぐ隣に魔法使いのお嬢ちゃんがいたな。間違いなく見ているはずだ。」
面白かった、続きを読みたい、と思っていただけましたでしょうか?
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直なお気持ちで結構です。
参考にさせていただきます。
ブックマークもいただけると本当にうれしいです。
よろしくお願いします!




