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40 反撃②

 見張り塔跡には復活した戦士達が次々と集まってきている。

それぞれのパーティーに分かれ反撃の準備を進めている。


 俺は、集まった戦士の中に、ジャンとアレイシアがいないか探している。

昔の仲間のことはやっぱり気になるのだ。


 あたりを見て回ると、塔から少し離れたところに、アレイシアとジャンがいた。

二人とも無事のようだ、本当に良かった。

もう一人いるのは新しいメンバーだろうか。


 アレイシアはどういう訳かほぼ全裸の状態である。

腰の回りに小さな布を巻いただけのあられもない姿だ。

腕で胸を隠しながら、ジャン達と何か言い争いをしている。

これは声を掛けにくい。


「あ、タクトさん。」

俺に気づいたジャンに声を掛けられた。

「やあ、無事でよかった。」

俺は近づいて行った。

「あなたがタクト殿ですか、お噂はかねがね。ブランと申します。」

「始めまして。実は少し先でリーダーにばったり会って。ここにいるって聞いたから、探してたんだよ。」

「いやあ、全員ドラゴンブレスで黒焦げになったんですけどね。セシルさんのおかげで助かりましたよ。」

ジャンは笑いながらいった。

笑い事でもないと思うが…

「ジェフリーは皆を見捨てて逃げていったのだ。見下げ果てた奴だな。」

ブランは言った。

あれは逃げる途中だったのか。

まあ、そうじゃないかと思っていたが。


「それで、その。アレイシアの服が。」

俺は、ちらりとアレイシアの方を見て言った。

キッと睨まれたのであわてて目をそらした。

「僧侶の服は布製なので焼け落ちてしまったのです。私たちの防具を貸そうと言っているのですが、汚いからいやだと。」

「そうなんですよ。わがまま言うなよ、裸よりはましだろうが。」

ジャンが言った。

「そんなの着るのは嫌よ、気持ち悪い。」

アレイシアはぼそりと言った。

「おまえなあ…」

「まあまあ。何か用意できないか聞いてくるよ。ちょっと待ってて。」


 俺は団長のヴィレッタのところに戻り、僧侶の服を用意してもらった。


「はい、どうぞ。」

俺は新品の僧侶の服をアレイシアに手渡す。

「ありがとう…」

アレイシアは小声でぼそりといった。

「どういたしまして。」

そういえば、アレイシアと話をしたことなんてほとんどなかったな。

何年も一緒に戦っていたのに。

「ごめん…なさい…」

アレイシアは聞き取れないぐらいの小さい声で俺に言った。

「ん?どうしたの。」

「いままでの…こと…」

アレイシアはそのままうつむいて何も言わなかった。



 昔の仲間と別れ、ヴィレッタ団長の元へ戻る。

アイテムや装備品の分配だろうか、ノワールが皆に指示をだしているのが見える。

セシルはダメージが残っている戦士たちに回復魔法をかけている。

みな忙しそうだ。


「俺にも、何かやることはありませんか?」

俺は団長のヴィレッタに言った。

「特には無いのう。おぬしはゆっくり休んでいるがよい。」

「しかし…」

こうしている間にもモンスターの大群は国境に迫っているのである。

気が焦ってじっとしていられない。


「準備ができ次第、反撃を開始するのじゃ。その時は死ぬほど働いてもらうぞ。」

「はい、わかりました。」

「そうだぜ、やることないやつが変に動いても邪魔になるだけだしな。休むのも仕事のうちだ。」

ベオウルフは言った。

ヴィレッタの隣の大きな石の上であぐらをかきエールを飲んでいる。

リラックスしすぎではないだろうか…


「しかし、反撃をするにしろワイバーンが厄介だな。俺の投槍ジャベリンか通じればいいんだか…」

「まさか、ベヒーモスの下にドラゴンが潜んでいたとはのう。あの時タクトが気づいておったのに。すまなかったな…」

「いや、俺も確信はなかったので。でも、よく考えたら変ですよね。空が飛べるのに。地上の群れと一緒に、ここまで歩いてきたってことですよね…」

「そうなるな。」

「かなりの距離ですよ。ドラゴンって長距離歩けるんですかね。」

「まあ、手も足もあるからな。大きなトカゲみたいなもんだろ。」

「なんで飛ばなかったんですかね。」

「俺達に見つからないようにかなあ。もし飛んでいたらドラゴン討伐用の特効武器や防具を準備できただろうし。あそこまでの被害にはならなかったと思うぜ。」

「でも、なんのために?」

「うーむ…」


「あのドラゴンは人間を憎んでいるのです。それから、ドラゴンはトカゲではないのですよ。」

どこからか、まだ幼さの残る女の子の声がした。

声の先を見ると、銀色の髪の少女シルバーが立っていた。


シルバーはシルバードラゴンが人間に变化へんげした姿だ。

前と同じく、大きな一枚布で出来た服を着ている。

布はサイドの大きなボタンで止められていた。


「シルバー、どうしてここに?」

俺は言った。

「タクトさんが全然会いにこないので、天空騎士団のお城に行ったら、ここにいると言われたのです。」

「ごめんな、忙しくてなかなか会いに行けなくて。わざわざこんな遠くまで。」

「まあ、それはいいのです。」

「あのドラゴンが人間を憎んでいるって?」

ベオウルフが言った。

「あのワイバーンは人間が嫌いなのです。かつて人間の戦士に片目をやられたのです。それから、ことある事に人間にいやがらせをしているのです。迷惑なやつなのです。」

「そうなのか。よっぽど根に持つタイプなんだなあ。」

「ワイバーンは私がなんとかするのです。」

シルバーが言った。

「でも、シルバー一人で大丈夫なのか?」

「私は聖獣なのです。あんな下級のドラゴンは相手ではないのです。」

「少し前までは子猫みたいだったのに…本当に戦えるのか?」

「ドラゴンの成長は早いのです。私はすでに大きくて強暴なドラゴンなのですよ。」

シルバーはそう言うと、服のボタンを外した。

「でも…タクトさんには、まだ私の恐ろしいドラゴンの姿は見られたくなかったのです…」

すっぽりとかっぶっていた服がするりと落ちると、シルバーの体がピカッとまぶしく光った。

光の奥に一瞬白い裸体が見えた。


グオォーー


次の瞬間、雄叫びとともに巨大なドラゴンが現れた


「これが私の本当姿なのです。」

くぐもった響く声でシルバードラゴンは言った。


 その巨大な姿は神々しく、美しく、そして、かわいかった…

うひゃー、なんだこりゃ、ものすごくかわいい。

全身は銀色のモフモフの毛におおわれているし。

クリっとした目に、まるみを帯びたフォルム。

ふさふさの毛のせいか、手足が太く短く見えるのが、かわいさを加速させている。

絶妙のバランスである。


「全然恐ろしくないよ。すごくかわいいじゃないか。撫でまわしたくなるよ。」

お腹を撫でまわしたい衝動を必死で抑えながら俺は言った。

「なんだか、複雑な気分なのです。褒め言葉として受けとっておくのです。」

シルバードラゴンは少し照れながら言った。


 ドラゴンが急に現れたことにより、戦士たちは大騒ぎになった。

武器を構えるものもいた。


「お前ら、落ちつけ!シルバードラゴンだ。ワイバーンを追い払ってくれるんだぞ。」

ベオウルフが戦士達に言った。

「人類の守護者のシルバードラゴンか!」

「あのワイバーンを追い払ってくれるだと。」

「やった、これでもうファイヤブレスにやられることはねえ。心置きなく戦える。」

戦士たちは大きく沸き返った


「それでは、ワイバーンをやっつけてくるのです。」

シルバードラゴンは背中に生えた銀色の翼を大きく広げると、大空に舞い上がった。


「シルバーのやつ、大丈夫かな…」

「シルバードラゴンはドラゴンの中でも上位種じゃ。苦戦することはあるまい。」

ヴィレッタは言った。


「あなたが、ドラゴンを召喚したのですか?」

白銀の鎧の騎士が俺に近づいてきて言った。

突入戦で一緒に戦った騎士だ。

「いや、ちょっとした知り合いで。」

俺は言った。

「タクトはシルバードラゴンのドラゴンナイトなのじゃ。」

「なんと!ド、ドラゴンナイト様でしたか…知らなかったとは言え、この間は無礼なことを言ってしまいました。お詫びします。」

「そんな大層なものではなくて…成り行きで、知らないうちにドラゴンと成約を結んでいたんですよ。」

「また、ご冗談を。シルバードラゴンのドラゴンナイトは真の英雄しかなれないのです。一緒に戦えるとは…身に余る光栄です。」

白銀の鎧の騎士は俺の手を取り、興奮しながら言った。


「おーい、リーダー。何サボってんだよ!」

遠くから、若い騎士が言った。

「おう、ライカールト。大事な用事だったのだ、すぐに戻る。それでは、失礼します。ご武運を。」

白銀の騎士は剣を立て、膝をついてそう言うと、急いで持ち場に戻って行った。

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