04 モンスターとバトル①
「なにか…気配がします…」
ノワールはそう言うと身を屈め、俺とヴィレッタの服を引っ張った。
俺も習って身を屈める。
ノワールのすぐ真横に屈んだので顔が近い。
彼女の髪が頬にあたった。
「どうしました、モンスターですか?」
俺は小声で言った。
「あそこになにかいる。あれは、まさか…グレーターデーモンか。」
ノワールが指し示す方向をよく見ると、遠くに人影がゆらゆらと揺れていた。
グレーターデーモンは、大型の人型モンスターだ。
強さランクはSクラス。かなり強い。
俺のいたパーティーではまず勝てないだろう。
ノワールを先頭にモンスターに近づく。
「確かにグレーターデーモンです。こんな街の近くに現れるモンスターじゃないのに。一体どうして。」
俺は言った。
グレーターデーモンはゆっくりとふもとに向かって移動している。手には無骨な大きな剣を持ち、足元にはお供なのか、大量のゴーストを引き連れている。
ゴーストは黒い薄汚れたローブをまとう。
「グレーターデーモンは3体もいます。最悪ですね。」
ノワールはヴィレッタに言った。
「モンスターを封印している結界が、何者かによって破壊されたのかもしれんな。」
「まさか、あの時の…」
ジェフリーが石像を蹴り倒したのが原因か。
「なにか知っておるのか?」
「はい、少し心あたりが。」
「まあよい、話は後じゃ、あいつを始末しないと神殿も街も壊滅するぞ。」
「ですが、S級モンスターが3体です。二人で倒せるかどうか…」
ノワールはヴィレッタに言った
どうやら俺は人数に入っていないらしい。
「やるしかないじゃろう。我らは民を守る騎士じゃ。命を落とす危険があっても見過ごすような真似はできん。」
「わかりました、やりましょう。ヴィレッタ様どうぞご無事で。」
なんだか、俺抜きでどんどん話が進んでいく…
「ちょっとまって下さいよ、俺も手伝いますから。」
「なんじゃ、もう戦いはいやだと。」
「それとこれとは話が別ですよ、この状況ならやるしかないでしょう。」
街が壊滅したら俺も困る。
それに二人の力にもなりたい。
「そうか、ならばおぬしは後方支援をしてくれ。ポーションとアイテムを渡しておくぞ。使い方はわかるな。無理だと思ったら何とかシルバードラゴンと逃げのびてくれ。」
「嫌です。」
「何じゃと?」
「俺は盾役です。後方支援なんてやり方もわからないし出来ません。」
俺を戦力と思っていない物言いに、ついむきになってしまう。
これでも戦士歴はそれなりなんですよ。
「何を怒っておるのじゃ、相手が悪すぎる。おぬしのアビリティではこの戦闘は無理じゃ。」
いつの間にか、俺のステータスチェックをチェックしていたようだ。
怪しまれていたから当然か。
「能力が低いからなんだって言うんですか。それに何度も言いますが俺は盾役しかできませんから。」
「そうは言っても。」
「俺がグレーターデーモンを防いで時間を稼ぎます。お二人は先にゴーストを殲滅してください。それからグレーターデーモンを協力して倒しましょう。各個撃破ですよ。」
「そんな、無茶だ。」
「同時に相手する方が無茶てすよ。何か策はあるんですか?」
「真正面から叩き潰す。騎士の戦いとはそうしたものだ。」
ノワールは言った。
とんだ脳筋騎士だなあ。
「とにかく、ここは俺に従って下さい。」
「お前、まさか、死ぬ気か…仕事を首になったぐらいでやけになるな。人生はこれからだぞ。」
ノワールが悲しそうな表情で言った。
そうとう弱いと思われてるな。これは…
「もういいです。ゴーストは任せましたからね。」
そういうと俺は聖獣をヴィレッタに預け、グレーターデーモン3体に向かって走り出した。
◇
暗い山道を走る。
俺の後ろではゴーストとノワールたちとの戦闘が始まった。
ゴーストどもはそちらへ吸い寄せられていく。
二人ともかなりの実力者のようだから、ゴーストは任せて大丈夫だろう。
「スキル発動『挑発』」
盾役には必須のモンスターをおびき寄せる特殊スキルだ。
グレーターデーモン3体はゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。
うまく釣り出せたようだ。
ゴーストとの分断作戦は成功だ。
グレーターデーモンは大きな剣を振り回して攻撃してくる。
剣というよりは棍棒に近い、鉄の塊だ。
バキバキバキ!
太い木が紙のようにちぎれて飛びちる。
俺は攻撃をギリギリで避けた。
まともに盾受けすると、潰されるな。
S級モンスターなんて俺が倒せるはずがないのだ…
ただ、防ぐだけならできる。
ベテラン盾役の戦い方を見せてやろう。
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