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34 再会②

〈追放サイドリーダーのジェフリー視点〉


「おい、お前ら休んでる暇はねえぞ。どんどんクエストをこなすんだ!」


ここは冒険者の宿屋の一室。

俺はパーティーメンバーに撃を飛ばす。


 グリフォン討伐に失敗した俺たちは、ここひと月ほど低難易度のクエストを立て続けにこなしている。

Aクラスがやるようなクエストではないのだが、これ以上クエスト失敗すると降格されてしまう。


 低難易度のクエストは報酬が低い。

休みなしで次々にクエストをこなさないと、色々な支払いが滞ってしまう。


「次のクエストは何だったか?」

俺はレンジャーのリックに言う。

「巨大ネズミの討伐クエストです。」

くそっ、ネズミ退治かよ…まあしかたがねえ。

人生良いときもあれば、悪いときもある。

ここは我慢のしどころだ。

資金繰りが改善したら、また大金が稼げるクエストに挑戦だ…


「その…もう何日も、休みがありませんが…」

リックが言う。

「は?一月前に半日休んだだろうが。」

「できれば、もう少し、休みをいただきたいのですが。」

「あまえんじゃねえ。こっちは大変なんだよ!」

リックを叱りつける。


「ジェフリー殿、このままではみな潰れてしまうぞ、たまには休みを…」

ブランが横から言ってきた。

「今こうしている間にも、苦しんでる人達が沢山いるんだぞ。人食いネズミに襲われる人達はどうでもいいのか?お前はそれでも戦士か。」

「ぬう、そう言われると、確かにそうだが。」

「わかったらさっさと準備をしろ!」


 全く、どいつもこいつも、文句ばっかり言いやがって。



「リーダー宛に手紙が来ていますよ。」

宿屋で出発の準備をしていたところ、エミリアが言った。

ずいぶん立派な封筒だな。蜜蝋で封がしてある。


バリバリ

封を破って中身を見る。


「王都の近くにモンスターの大群が迫っている。ぜひ貴公らの力をお貸しいただきたい。天空騎士団団長ヴィレッタ・シャリエール…」

うお、まじか…


「どうしたんですか?」

「天空騎士団からの共闘の依頼だ。ははは、俺たちの実力が認められたんだ。」

提示してある報酬もなかなかの額だ。

これで赤字も帳消しにできる。


「リック!要請を受けると返事を書け。今すぐ王都へ行くぞ。」

俺は言った。

「巨大ネズミ討伐のクエストはどうしますか。」

「お前はアホか?キャンセルに決まってるだろうが。ネズミ退治なんかやってる場合か!」

よし、やっと運が向いてきやがったぜ。



 数日かけて王都に着いた。

天空騎士団本部で、合同作戦の集会があるようだ。


天空騎士団の本部正門を通り森を抜け石造りの城に入る。

はじめて入ったがバカでかい建物だな。


「天空騎士団の団長からクエストの説明がありますので、しばらくお待ちください。」


そう言われ、建物内の大広間に案内された。

広い部屋の床は全てツルツルの大理石だ。

用意された席に座る。

正面には舞台が用意されていた。


「なんだ、ずいぶんといるな。」

大広間の中は多くの冒険者がいた。

それほど大掛かりな戦闘なのか。

大広間でしばらく待たれされる。


「いつまで待たせるんだ、せっかく来てやってるのに。」

「あ、来ましたよ。天空騎士団です。」

騎士のマキシムが言った。


天空騎士団のパーティーが壇上へ向かうのが見えた。

団長のヴィレッタを先頭に、漆黒のノワール、門番ゲートキーパーベオウルフ、狂信のセシル、あともう一人いるな。

パーティー5人は赤絨毯の敷いてある、広い通路を歩いている。


「おい、あれは…タクトじゃねえか…」


 女騎士4人に混ざって、偉そうに絨毯の上を歩いていやがる。

「あいつ、まさか、天空騎士団に入ったのでしょうか。」

マキシムが言う

「そんなバカな…おい、ジャン、こんなこと聞いてねえぞ。」

「俺も聞いてないですよ。ただこの前一緒にいたのはあの顔に傷のある騎士で間違いないてす。きれいですよね…」

「おい、エミリア。お前は聞いてきなかったのか。」

「はい、あのお姉様は天空騎士団のノワール様だったんですね。知りませんでした。なんとかお近づきに…」

「なに言ってんだよ、タクトのことだよ。」

「ああ、天空騎士団に入ったんですね。なかなか、やりますね。でも、なんにも言ってなかったですよ。」

そんな有名な騎士団に入ったら普通なんか言うだろうが。あいつなんなんだよ。


 壇上で団長のヴィレッタが作戦の概要を説明を始めた。

タクトは偉そうにその横に立っている。


 気に入らねえ…

こっちは資金繰りに追われ大変な思いをしているのに、あいつは天空騎士団だと。

許せねえな。

「くそ、あの野郎、後でとっちめてやる。」

俺は言った。

「いや、それは難しいのでは。」

マキシムが言う。

「何がだ!」

「どう考えても立場は向こうが上ですよ。下手なことは言わないほうが…」

リックが言った。

「なんだと!俺がタクトより下だっていうのか。」

「相手は天空騎士団ですよ。敵に回したらどうするんてすか。冒険者なんてやってられませんよ。」

そう言われればそうだが…

しかし、あの野郎を許すことはできん。

なんとしてでも、この恨みを晴らしてやる。


「しかしまずくないですか…」

マキシムが言った

「何がだ?」

「あいつ、俺たちのこと恨んでますよ。」

「何かしたか?」

「追い出すとき、投げ飛ばしましたし。」

「ああ、お前がな。」

「リーダーもかなりひどい扱いをしてましたよ。」

「そうだったか…」

「そうですよ。絶対なにか仕返しされますよ。」

そういえば、少し厳しくあたったことはあったかもしれない。

しかし、それは全て指導の一貫なのだ。

やましいことは特にないが、たしかに逆恨みされている可能性はあるな…



 一通り作戦の説明は終った。

俺たちは第一部隊に加わり、モンスターの大群を食い止めればいいらしい。

出発は明日だ。


「じゃあ、俺はタクトさんに挨拶してきます。」

「わたしも行くわ。」

ジャンとエミリアが言う。


「駄目だ!」

「なぜですか?」

「俺たちは、あいつをパーティーから追い出したんだぞ。恨まれてるに決まっている。エミリヤだって昔はタクトを馬鹿にしてただろうが。」

「まあ、多少は…でもこの前は普通でしたよ。」

「裏では何を考えているかわからんぞ。タクトは気づいていないようだし、このまややり過ごす。わかったな。」

「さすがに気づかれるんじゃないですか。」

「これだけいるんだから隅っこのほうにいればバレねえよ。それに部隊も別だしな。」


 天空騎士団を敵に回すのはまずい…

それに今回の報酬を逃すわけにはいかないのだ。


 しかしタクトのやつめ、このままだと俺様の邪魔になるな。

今のうちに始末するか…



「タクトについて、調べてきました。」

レンジャーのリックが言う。


「俺たちと別れた後に、団長のヴィレッタに気に入られて天空騎士団に入団したようです。その後に何度か大きなクエストを成功させて、認められたのだとか。」

「だから言ったじゃないですか、タクトさんは実力があるんてすよ。」

ジャンが言った。

「うるせえ、お前はだまってろ。」

「はいはい、じゃあ俺は向こうへ行ってますよ。」

「タクトに、見つかるなよ。」


 タクトのやつめ、うまいことやりやがったな。


「何が天空騎士団だ!偉そうにしやがって。」

つい大きな声になる。


「何の話だ?」

魔獣の毛皮のあしらわれた鎧、ボサボサの髪に髭。

蛮族の王様みたいなやつに話しかけられた。


「どなたでしょうか?」

「俺は豪腕のキリアクだ。多少は知られていると思うが。」


 ふむ、聞いたことはある。たしかバトルハンマーで戦う強戦士だ。


「俺も天空騎士団は気に食わんのだ。エリートぶって、小娘どもが偉そうに指図しおってな。」

「小娘どもと一緒にいた男が前にうちのパーティーにいたんですが、わがままで、ろくに言うことをきかず、勝手に出ていって大変だったんですよ。」

「そんなやつが、なんで天空騎士団にいるんだ。」

「団長に気に入られたらしいですよ。所詮は小娘ですからね、お友達感覚なんでしょう。」

「なんと、ふざけておって。ゆるせんな。」

キリアクは顔を赤くして言った。

単純なやつだ。


「あいつのステータスを見ればひいきされてるのは解りますよ。」

「そうか、うちの魔術師にそれとなく探らせよう。しかしそこまで腐っているとはな。この戦いがおわったら世間に、知らしめてわるわ。」

「そうしましょう。ただ俺たちのことは黙っていて欲しい。卑怯なやつだから、立場を利用して何か嫌がらせをされるかもしれない。」

「そうか、よし絶対言わん。約束しよう。」

 へへへ、天空騎士団もけっこう嫌われきているんだな。この調子で、どんどん悪い噂にひろめてやるか。

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