32 グリフォン討伐④ エピローグ
[キュエー…キュー…]
ノワールのバーストアタックを喰らったグリフォンは、苦しそうな鳴き声をあげ、しばらくすると動かなくなった。
「倒しましたか。」
「ああ。これにて、グリフォン討伐クエスト完了だ。」
ノワールは剣を鞘におさめて言った。
もう一頭のグリフォンも倒すことができたようだ。
素早いし、攻撃力も高いし、本当に強敵だった。
「タクト、けがは無いか?」
ノワールが俺に言う。
「俺は大丈夫です。しかしノワールの攻撃、もの凄い威力でしたね…」
「そうだな、自分でも驚いたよ。あそこまでの力が出せたのは、タクトのおかげだろう。」
「危ないことをさせてすいませんでした。もしあの時俺がやられていたら…ノワールまで。」
「かまわんさ。タクトと一緒なら死んでも良いと思ったのだ。」
「え?」
「いや、なんでもない…」
セシルとベオウルフが遅れてやってきた。
「ノワールが倒したのか。」
「実質タクトが倒したようなものだ。」
「まあ、そうかもな。」
ベオウルフが言った。
「皆さん、お疲れ様!回復しますよ。」
セシルが魔法使いの杖を掲げて元気よく言った。
「おう、頼むぜ。」
「ああ、すまないな。」
ベオウルフとノワールが言った。
「あれ、タクト君またダメージ受けてないですね…」
セシルが不満気に言う。
「そういえば、そうかな。」
なんだかんだ攻撃は一度も受けなかったようだ。
「グリフォン相手に、ノーダメージかよ。お前は本当に人間なのか?」
「いや、たまたまですよ。」
「あれだけの激しい攻撃を防ぎきったか。全く、恐ろしいやつだ。」
ノワールが言った。
◇
街に戻り、ギルドにグリフォン討伐完了を告げる。
ギルドの人たちは総出で出迎えてくれた。
「ありがとうございます。これでこの街も救われます。」
ギルドの人たちは抱き合って喜ぶ。
「今まで誰も倒せなかったグリフォンなのに、あっさりと倒すとは。さすがは天空騎士団ですね。感服いたしました。」
ギルドの責任者だろうか、立派な髭の男性が言う。
「グリフォンは二頭いたのだ。一方がおとりになり、不意打ちをしかけていたようだ。他のパーティーはそれに気づいかずに倒されてしまったのだろう。」
ノワールが言った。
「本当ですか?全く気づきませんでした、よく見破れましたね。」
「うちのタンクの観察力はすごいんだ。ひと目見て見抜いちまったぜ。」
ベオウルフはそう言うと俺の背中をバンとたたいた。
少し痛い。
「すごい、どうやって見抜いたんですか。」
ギルドの若い女性の職員が俺に言った。
「いや、どうやってと言われても。見れば分かるとしか。」
「天才的な観察力ですね。素敵です。」
「いや、それほどでも…」
「それでは、街の領主に報告してきます。みな大喜びするでしょう。」
ギルドの職員数人が駆け出していった。
それから、しばらくすると…街は人で溢れた。
大通りや、大広場には次々と人が集まってきている。
「なんだか、凄いことになってるな。」
「みんな今までどこにいたんでしょうね。」
「ああ、あんなに閑散としていたのにな。」
街中は沸き返り、お祭り騒ぎになっている。
そこら中で音楽が鳴り響き、紙吹雪がまう。
あちらこちらで歓声が上がる。
商店では酒や食べ物を無料でふるまっているようだ。
「街の領主がお礼を申し上げたいと言っています。少しお時間よろしいでしょうか。」
街の喧騒を眺めていたところ、ギルドの人にそう言われた。
俺たちは、大広場に面した建物の一室に招かれた。
豪華な部屋には初老の男性がいた。
「漆黒のノワール様、門番ベオウルフ様、狂信のセシル様、そしてリーダーのタクト様。モントラストの街を代表してお礼を申し上ます。」
領主はそう言うと俺に近づいてきた。
「これで、またこの街で商売ができます。本当にありがとうございます…本当に…」
俺の手を握りしめて、目に涙を浮かべた。
今まで大変だったんだろうな。
「少ないですが、これを。お礼の気持ちです。」
領主は金貨の入った大きな袋を俺たちに渡そうとした。
「いや報酬は騎士団がいただいてますので。気持ちだけで十分です。」
俺は言った。
流石に貰えないだろう。
「いやいや、これは、私個人からのお礼です。どうかお収めください。」
「いや、せっかくですが、いただけません。街の復興に使ってください。」
「ああ、タクトの言うとおりだ。気持だもらっとくぜ。」
ベオウルフが言う。
「そうですか、たいへん失礼しました。せめて、ご馳走だけでもさせてもらえませんか。」
領主の男はもうしわけなさそうに言った。
「ああ、そうだな。では、ご馳走になろうか。」
みんなを見まわしてノワールが言う。
「そういえば朝からなにも食ってないから、腹ペコだぜ。」
ベオウルフが言った。
「はい、奥の部屋に料理を用意しています。どうぞこちらへ。」
領主は嬉しそうにいった。
料理はとても豪華でおいしかった。
少し食べすぎてしまった。腹がパンパンだ。
俺たちは、領主にお礼を言って館を後にした。
「ところで、狂信のセシルって、セシルの二つ名なの?」
俺は気になっていたことをセシルに聞く。
「そうなんですよ。もっとかわいい二つ名がよかったのに。」
セシルは言った。
「なんで狂信なんだろうね?」
「それはだな…こいつは、普通では助からねえようなグチャグチャのけが人もニタニタと笑いながら平気で直しちまうんだ。それが不気味で、まるで狂信者のようだと…」
ベオウルフが横から言った。
「もう、ベオウルフさんひどーい。セシルは不気味じゃないですよ。」
「畏怖すべき力ということだ、悪い意味ではないであろう。」
ノワールがフォローする。
「タクト君はそんな呼び方しちゃだめだからね。」
セシルは俺に言った。
◇
夜になってもお祭り騒ぎは続いている。
街の人達は歌ったり、踊ったり、笑い合ったり。みな嬉しそうだ。
「そろそろ戻るか。」
ノワールが言う。
「はい。でも、あの二頭のグリフォン、ちょっとかわいそうでしたね。」
お祭り騒ぎを見ながら、俺は言った。
「そうだな。だが、やらなけれぱこちらがやられていただろう。」
「はい…」
それでこの街も、救われたのだ。
「敵を哀れに思うこともあるが、モンスターと人間は共存できない。だからこそ我々はモンスターと真っ向勝負をする。」
「そうですね。」
そう、俺たちは正々堂々と戦い勝利した。
「騎士の戦いとは、そう言うものだ。」
月明かり浴びてそう言ったノワールは、やはりとても美しかった。
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