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31 グリフォン討伐③

「たしかに似ていますけど、この前見たグリフォンとは別じゃないですか?」


 俺はそう言ったが、他のみんなはピンとこないらしい。

「いや、どう見ても同じ奴だろう。」

「そうだな、サイズといい色や形といい、違いはないと思うが。」

「いやいや、よく見てくださいよ。顔つきとか全然違うじゃないですか?」

「そうか?鳥の顔なんて全部同じに見えるが。お前この前会ったよな。」

ベオウルフが言う。


 キュエーン、キュオーン。

グリフォンは大きな声で鳴いた。


「ほら、あいつもそうだって言ってるぞ。」

「言葉わかるんですかね?」

「さあな。」

「脚もこの前のやつはもう少し長かったでしょう。後ほらお尻の形も違いますよね。」

「いや、ほらと言われても良く分からんが。タクトが正しいとすると、どういうことだ?」

「別のやつが、もう一頭いるということか。気をつけろ!」

ノワールが言う。


 全員があたりを見渡す。


「あそこの岩陰になにかいますよ。」

セシルが指さす。


 岩陰にもう一頭グリフォンがいた。

グリフォンはしまった…という表情をしたように見えた。

やけくそぎみにバタバタと羽ばたくと、まっすぐこちらにで突っ込んできた。


「おっと危ない。」

まっすぐに飛んできたグリフォンは簡単に避けられた。

「なるほど、これがお前らの作戦か。」

ベオウルフが言う。


 キュエーン、キュオーン

ギリフォンたちはくやしそうに鳴き声を上げた。



「しかし、よくわかったな、いつもながら、お前には驚かされるよ。」

ノワールが言った。

「それほどでも、敵情把握も盾役タンクの役目ですから。」

「さすが、観察スキルトリプルA。わずかな違いに気づくとは、天才的だな。」

「タクト君すごーい、頭いいー、かっこいー!」

「いや、それほどでも…」

 俺がそう言って頭をかく。


 眼の前で繰り広げられるやり取りに腹を立てたのか、グリフォン達は、大きな鳴き声を上げて襲いかかってきた。

今度こそ戦闘開始だ。


 俺はいつもの通り、最前列に陣取る。

「スキル発動、ジャストガード」

盾がうっすらと光る。


 グリフォンの攻撃は鋭い爪と、くちばし。

二頭の攻撃をジャストガードで防ぐ。

グリフォンは縦横無尽に動き回りながら攻撃してくる。

相当な攻撃力だ。まともに食らったら一撃であの世いきだな。

慎重に、慎重に。


 キン、キン、キン、キン…

ジャストガードをしたときの乾いた金属音が岩山に響く。


「こんな速い攻撃を、よく全部ジャストガードできるな。本当に信じられんやつだ。」

俺のサイドに陣取ったベオウルフは、攻撃をくりだしながら言った。


 ジャストガードは敵のスタミナを削るのだ。

グリフォンの動きがだんだんと悪くなる。


「スキル発動、バーストアタック!」


 ノワールが隙を見てスキル攻撃を放つ。

だが、グリフォンの硬い羽でガードされてしまった。

ノワールの攻撃を跳ね返すとは、なかなかやるな。


 さすがSランクモンスター、スタミナの回数も早い。すぐに体制を立て直してくる。

少しづつ体力は削っているのだかが、いつになったら倒せるのか…


「ゴブリン戦で使っていた、大爆発する攻撃スキルは使えませんか?」

俺はノワールに言った。

「ああ、マキシマムバーストアタックだな。」

「あれを使えば、多少ガードされても大きなダメージを与えられるんじゃないですか?」

「ただ、あれは待機時間がかなり長くかかるのだ。タクトに負担がかかりすぎるかと…」

ノワールは答える。

俺を気づかって…

アタッカーに気を使われるなんて、盾役タンク失格だ。


「ノワール、その攻撃スキルを使ってくれ。」

俺はグリフォンの攻撃を防御しながら言った。

「でも、タクトにもしものことがあったら…」

ノワールはグリフォンを斬りつけるながら答える。

「大丈夫、俺を信じてくれ。」

「しかし…」

「たとえ八つ裂きにされても、守りきってみせる。」

「そんな…私のために…」

「俺は君を守る盾になろう。」

「タクト…」

「ノワール…」

激しい戦いの最中、一瞬俺たちは見つめ合った。


「戦闘中になにやってんだ。真面目にやれ!」

ベオウルフに怒られた。

「あっ、はい。すいません…」

俺は盾を、大げさに構え直した。


「まあよいではないか。タクトよ、よく言った。見事である。その覚悟に、この漆黒のノワールが全力で答えよう。」

ノワールはそう言うとふわりと後ろに飛びさがり、両手持ちの剣を大きく振りかぶった。


「はああああああああああああああああああ。」


 強い呼吸音。目を閉じて力をためている。

大きく振りかぶっている大剣に光が宿る。


 完全に無防備な状態だ。

いくらノワールでもこの状態で攻撃を受けたら大ダメージを受けるだろう。

俺を信頼してくれているのだ。

死んでも守りきるぞ。


キン、キン、キン…


 激しさを増すグリフォンの攻撃をジャストガードで防ぎ続ける。


「行くぞ!」


 しばらく、微動だにしなかったノワールが、カッと目を見開いて叫ぶ。


「これが私の最大火力だ!マキシマムバーストアタック!!」


 鋭く振り降ろされた剣先からは超高速の衝撃波が発せられた。

衝撃波はグリフォンに吸い込まれるように当たると大爆発を起こした。

爆音が轟き、黒煙が上がる。

グリフォン一頭はは跡形もなく消滅した。

あまりの衝撃に、全員の動きが止まった。

ノワールとグリフォンの残骸を交互に見る。


「嘘だろ…凄え…」

「うわ〜ノワールさんえぐい…」

「まさか…ここまでとは…」

「キュ、キュエーン…」


 相方の惨状を見たグリフォンは、翼を羽ばたかせ飛び立つと、大慌てで逃げ出した。


「おい、待て!」

俺は走って追いかけるが間に合わない。


「大丈夫、準備はしてあるぜ。セシル、投げ槍をくれ。」

「はい、どーぞ。」

セシルはそう言うと持っていた槍をひょいとなげた。


「今度は逃がさねえぞ。」

ベオウルフは槍をパシッと受け取ると全力疾走をする。


「喰らえ、ジャベリンストライク!」

ベオウルフが投げた投槍ジャベリンは赤く光を放ち、一直線にグリフォンに向かって飛ぶ。


バシッ


 槍はグリフォンに命中した。

鳴き声を上げて真っ逆さまに落下する。


 俺とノワールは落下地点に走る。

グリフォンの羽には槍が刺さっていた。

抜こうともがいている。

俺が近づくと、グリフォンは鋭いくちばしで攻撃してきた。

だが、その攻撃は読めていた。


「スキル発動、受け流し!」


ドン…

受け流しが決まった時の、鈍い確定音が響く。

グリフォンのくちばしは、俺の盾に振れると、強くはじき飛ばされた。

一瞬だが動きが完全に止まる。


「ノワール!今だ!」

「ああ、これで終わりだ、バーストアタック!」


 ノワールの攻撃は、グリフォンの無防備な柔らかい腹を吹き飛ばした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] とても読みやすく状況が想像しやすい。 強烈な性格またはどうでもいいような語尾をつけて区別されていない。 男女関係に関するやりとりもことあるごとに匂わせるような感じもなくさっぱりとしている。…
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