30 グリフォン討伐②
「タクト遅いぞ、もう出発するぜ。」
ベオウルフが言う。
「すいません、前のパーティーの人と会ってまして。」
「この前とは別のやつか。」
そういえば、ついこの間ベオウルフと一緒にジャンと会ったのだった。
ジャンのやつは、俺をそっちのけでベオウルフにめろめろだったなあ…
「はい、あいつとはまた別で、エミリヤという女魔法使いです。」
「前のパーティーでは、随分とひどい目にあったんだろう。ぶん殴ってやればいいんだよ。」
「はは、実際に会うとまあ、なかなか。女性だし。」
「それで天空騎士団に入ってやったぜ。ざまあみろって言ってやったのか。」
「いやそれも、聞かれなかったので。言ってません。」
「なんだよ、つまらんやつだなあ。」
「まあ、タクトらしくて良いではないか。」
ノワールが言う。
「ところであの娘とは、ずいぶん仲がよさそうだったが。その、何か特別な…関係だったとか?」
「いや、全然、ただの同僚ですよ。俺なんか眼中になしって感じでした。」
そういえばエミリヤもアレイシアもほとんど話したことが無かったな。
「それで、そいつらは今になってタクトのありがたみに気づいたのか。」
ベオウルフは呆れた声で言う。
「どうでしょうね。戻って欲しいとは言われましたが。」
「タクトまさか…」
ノワールが驚いて言う。
「いや、もう次がきまってるからと断りました。」
「そうか、次に会ったら思いっきりぶん殴ってやるんだぞ。」
ベオウルフが言った。
「はい、そうします。」
きっと、もう会うこともないだろう。
◇
グリフォンの住む岩場を目指して、荒野地帯を進む。
道中ジャイアントワームと遭遇した。
長くてうねうねした気持ち悪い人食いワームだ。
ネバネバした体液を飛ばしてくる。
「スキル発動、バーストアタック!」
ジャイアントワームはノワールの攻撃スキルで、あっさりと倒された。
さすがに最強メンバーだな。
そこそこ強いモンスターでも危なげなく倒す。
ただ全員、敵の体液でベトベトだ。
「タクト君回復しようか?」
ベトベトな体液を拭いながらセシルが言う。
「ありがとう、でもダメージ受けてないから大丈夫だよ。」
俺は答えた。
「もー、つまらなーい。さっきからベオウルフさんの回復ばっかり。」
「文句いうな、お前の仕事だろうが。しかしタクトは全然ダメージ受けねえな。」
「はい、前のパーティーでは、朝から晩まで休みなく戦闘をしていましたから。少しでも楽をしようと努力してまして…その名残ですかね。」
「それに、攻撃魔法も効かねえんだろう。恐ろしいやつだな。」
「いや、そんな…」
「ただ、攻撃力は相変わらずだな。なにか考えたほうがいいんじゃねえか?」
ベオウルフが言う。
「タクトは防御が得意なのだから、それに専念すればいいではないか。攻撃は私が受け持つ。」
ノワールが言った。
「今回はそれでいいけど、ずっとそれで行くわけにもいかないだろう。」
「むう、私は、かまわんがな…」
「俺もずっと一緒でもいいですけどね。」
俺がそう言うと、ノワールは俺にらんだ。
ちょっとふざけすぎたか。
「いや、それぐらい信頼しているという意味です。変な意味では、すいません…」
「そ、そうか、少しびっくりしただけだ、気にするな。」
ノワールはなんだか息があらい。
はあはあと言っている。
「まあ、いずれにしろ攻撃力は高いにこしたことはないぜ。武器を変えるたけでもかなり違うぞ。武器屋に知り合いがいるから今度見に行こうぜ。」
ベオウルフが言った。
「はい、ぜひお願いいします。」
「どんな武器が、いいんだ?」
「直剣ですかね。長すぎず、取り回しがよくて防御の邪魔にならない方が。」
「今の剣もそうだな。どんな直剣だ?」
「肉厚で攻撃を弾きやすいものがいいですかね。」
「本当に防御のことばだかりだなお前は…まあ、いいものがないか今度聞いておいてやるよ。」
◇
荒野地帯を抜けると、ごつごつとした岩山が見えてくる。
「このあたりですかね。」
俺は言った。
「グリフォン出てこい!」
ベオウルフが大声で叫ぶが姿は見えない。
いないのかな?
「手分けして探索しましょう。」
広い岩場をバラバラに捜索することにする。
岩場を散策していると、錆びついた剣や防具があちこちにころがっていた。
多くの戦士たちが力つき倒れて行ったのだろう。
彼らにも夢や目標があったのだろうに。
俺もいつか、こうなるのだろうか…
「いたぞ、こっちだ!」
ベオウルフの叫び声が聞こえた。
声のする方へ駆けつけつけると、べオウルフとノワールとセシルが巨大なグリフォンと対峙していた。
「よし、全員あつまったな。グリフォン討伐開始だ。」
ベオウルフが言う。
「いや、ちょっとまってください。」
俺は言った。
「ん、どうした。」
「こいつ。この前とは違うやつじゃないですか?」
目の前のグリフォンを見て俺は言った。
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