28 グリフォン討伐①
天空騎士団本部の最上階は団長室になっている。
広い部屋には大きな机が置いてあり、その奥にはちょこんと団長のヴィレッタが座っている。
淡い栗毛の髪の美少女だ。
「ノワール、ベオウルフ、セシル、タクト、以下4名にグリフォン討伐を命ずる。」
「はい、お受けいたします。団長閣下。」
片膝をついて答える
メンバーはゴブリンン戦と同じだった。
大きな机のとなりには秘書のワンダさんが書類の束をかかえて立っている。
「それでは、これより正式にグリフォン討伐の活動をスタートしてください。討伐方法はパーティーの判断に任せます。」
ワンダさんは落ち着いた声で言った。
「わーい、タクト君久しぶり。」
セシルが抱きついて来る。
いつもどおりハイテンションだなあ。
「おいおい、遊びじゃないんだぞ。」
ベオウルフが言う。
「だが、俺もタクトと再びパーティーを組めて嬉しいぜ。」
ベオウルフはそう言うと俺の背中と強く叩いた。
「ちなみに、お二方とも個人の希望を優先しました。本当は別のクエストを依頼するつもりだったんですが…」
ワンダさんがうらめしそうに言った。
「ノワールさんが、抜け駆けしようとするからですよ。」
「な、何をいうか。」
「それに結局、前回はタクト君ダメージ受けなかったからヒーリングかけられなかったし。ベオウルフさんばっかりで。」
セシルが言った。
「それは悪かったな、俺ばっかりで。戦闘すれば多少はダメージを受けるのがあたり前なんだよ。タクトはノーダメチャレンジでもしてるのか?」
「いえ、そんな。たまたまです…」
「今回はかなりの強敵ですからね。油断のないようにお願いしますよ。」
ワンダさんは言った。
確かに、このメンバーだとどんなモンスターでも楽勝に思ってしまう。
戦いは何が起きるかわからない、気を引き締めていこう。
「わしも一緒にいこうかな…」
ヴィレッタ団長がつぶやく。
「駄目です!執務がたまっていますので。」
ワンダさんは言った。
「あーもー何じゃい、しみったれたことばかり言いおって。たまには戦わんとわしの神聖魔法がさび付いてしまうわい。」
「まあまあ、そのうち嫌でも戦わなければけない時がきますから。」
◇
目的地はモントラストの街。
国境近くの街だが王都からは大きな街道が繋がっている。
高速馬車を使えば数日で到着するのだが、グリフォンが現れてからは運行が止まっており、途中までしか行けない。
「ここからは徒歩だぞ。まあ、一日でつくだろう。」
ノワールが言う。
天気もよく、徒歩も悪くないかな。
「グリフォンだ!」「積み荷を守れ!」
しばらく街道を進むと、大きな声が聞こえた。
グリフォンに商隊が襲われていた。
大規模な商隊で、数十人の護衛の戦士が防戦している。
「探す手間がはぶけたな、ここで倒してやる。」
ベオウルフが走り出す。速い。
「さあ、かかってきな。」
一早く到着したベオウルフは槍を構えて言う。
だがグリフォンは翼を大きく羽ばたかせ、戦わずに飛んで逃げてしまった。
グリフォンの前足は鳥のようなカギ爪になっている。
両足には何頭もの馬がとらえられていた。
「くっ、逃げられたか。」
「俺の馬が…待ってくれ。 馬を奪われたら俺の商売はおしまいだ…」
商人だろうか、壮年の男が地面にはいつくばり、涙を流している。
あたりには積み荷が散らばっている。
かわいそうで、声もかけられない。
「しかし、襲ってくるかと思ったらあっさり逃げたな。」
ベオウルフが言う。
「ああ、Sクラスのモンスターはみな好戦的だからな、妙だな。」
ノワールが飛び去っていくグリフォンを見ながら言った。
グリフォンのものだろうか、巨大な鳥の羽が一つ落ちていた。
俺は拾い上げてみる。
「うわ、重い。」
羽は思ったより重くて硬かった。
「持って帰れば、けっこういい値段で売れますよ。」
セシルが言った。
「そうなのか、商人のおじさんにあげようか。」
「さすがー、タクト君やさしい、かっこいい。」
「いやいや、別に俺のものでもないし。たいした足しにもならないかもしれないけど。」
俺はグリフォンの羽を商人に渡してこの場を去った。
◇
モントラストの街に着いた。
「まずは、ギルドに行きましょう。」
街は坂道が多い。ギルドは坂の上にあった。
「遠いところ、ようこそお越しくださいました。」
ギルドに着くと、職員全員で出迎えられた。
貴賓室に通され、説明を受ける。
「ほう、かなりやっかいな相手のようだな。」
ノワールが言う。
「はい、恐ろしいやつです。討伐に行って帰って来たものは一組もいません。あ、いや、この前一組だけ帰ってきました。」
「ほう、何か言っていたか。」
「言い訳ばかりで、役に立つことは何も言ってませんでした。全くかなわずに逃げ帰ってきたのでしょう。」
「そうか。まあ、しかたがないか。」
◇
ギルドを出て宿屋へ向かう。
「今日はゆっくりして、旅の疲れをとりましょう。」
「温泉あるかなあ、ねえタクト君。」
セシルが言う。
「おいおい、遊びにきてるんじゃねえんだぞ。で温泉はあるのか?」
「いえ、このあたりには温泉は出ないみたいですよ。」
俺は答えた。
「なんだよ、つまらんなあ。温泉があったら一緒に入ってやっても良かったのに。」
ベオウルフが俺に言う。
一緒にだと…まじで…
「やれやれ、何をいってるんですか。あんまりからかわないでください。」
俺は、なんとか冷静を装って答えた。
「温泉はありませんが、この町で一番の宿屋だそうですよ。」
そう俺は言った。
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