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18 そしてリーダーになる

「明日から、いよいよクエストか…」

俺は騎士団本部内の喫茶室で一人つぶやく。


 ここの喫茶室は図書館か併設されていて、好きなだけ本を読むことができる。

俺は本を読むのが好きなのだ。

知識の探求、なんて訳ではなくただ活字を追いかけるだけで楽しい。

もちろん、内容が面白いにこしたことはないが。


 座り心地の良い椅子で、美味しいお茶を飲みながら本を読む。

ああ、この騎士団に入れて本当に良かった…


「おい、ジッド、このクエストのメンバー見たか。」


 隣の席の話が、聞くともなく耳に入る。


「ノワールとベオウルフがパーティーを組んでるぞ。」


 クエストの内容は極秘任務を除き騎士団内で公表されるのだが、どうやら俺たちのパーティーのクエストを話題にしているようだ。


「本当かよ!あの二人、今まで組んだことないだろう。」

「どちらも、最強メンバーのリーダーになれるからな。」

「ヒーラーのセシルもいるじゃないか。」

「どれだけ本気のメンバーなんだ。ドラゴンでも倒しに行くのか。」

「それが、ゴブリン退治だとか。」

「ゴブリンって、あの緑の?」

「そうらしい、何が何だかよくわからんな。」


 パーティーを組むだけで話題になるとは。

さすが実力者達は違うな。


「もう一人いるな、タクト・アミハマ?誰だっけ。」

「最近入った新人だよ。ベオウルフから一本取った。」

「ああ、そんなこともあったな。ただ、この面子では不釣り合いじゃないか。」

「団長がスカウトしてきたやつだからな。大した実力もないのに優遇されてるんだろう、気に食わねえな。」


うわ、思いっきり妬まれてる…


「お前、ずっとノワールとパーティー組みたいって言ってたもんな。」

「ああ、俺はあの人を尊敬しているから。」

「美人だしな。」

「まあ、それもあるが…戦い方も華麗で美しいし、何よりも強い。あんなヘンテコな新人なんかより俺のほうがよっぽど役に立つのに。」

「本当にそうだよなあ。代わって貰うように言ってみたらどうだ。あたって砕けろだ。」

「よし、やってみるか。」

「ジッドならやれるよ。タクトってやつの攻撃力知ってるか、ゴミだったぜ。よくこのメンバーに加わって恥ずかしくねえよな。」

「全くだ、ははは。」


 騎士団内での俺の評価なんてこんなもんだろうが、こう悪しざまに言われるとこたえるな。

これから、出発前の打ち合わせがあるのだ。そろそろ行かないと。

俺は気付かれないようにそっと喫茶室を出た。


 チラリと隣の席を見ると、若くて強そうな騎士二人組みが談笑していた。



 打ち合わせは本部の一室で行われる。すでにメンバーは全員集まっていた。


「なんじゃタクト、さえない顔をして。」

部屋に入ると団長のヴィレッタに言われた。

「別に、なんでもないですよ。」

そう言って俺は空いている席に付いた。


「それでは、明朝よりゴブリン討伐に向かってもらう。討伐方法はパーティーの判断に任せる。」


 テーブルにはパーティーメンバーと団長、秘書のワンダさんが座る。

お茶を飲みながら資料を見る。

いよいよ天空騎士団としての初陣だ。

みんなの脚を引っ張らないように頑張らないと。


「ところで、このパーティーのリーダーなんじゃが…」

それは、やっぱりノワールだろうな。騎士団筆頭だし。

「タクトにやってもらおうと思う。」


 ぶっ。ビックリして、飲んでいたお茶を吐き出してしまった。

資料がお茶まみれだ。


「いやいや、なんで俺なんですか。無理ですよ。」

「おう、タクトでいいぜ。」

「はーい、セシルもそれでいいです。」

「うむ、適任だな。」

「よし!全会一致じゃな。タクト頼んだぞ。」


「ちょっと待ってください。全会一致してませんよ。なんで俺がリーダーなんですか。」

「別に問題なかろうが。」

「俺以外、全員ここでトップクラスの実力者なんでしょう。」

「実を言うと今回のクエストはあまり注目されたくはないのじゃ。ゴブリンごときにノワールやベオウルフが出動じゃし。それに、領主があまり評判のよくない男でなあ。裏で何かあったかと変に勘繰られても困る。」

なるほど、そういった事情もあるのか。

しかし、俺は生まれてこのかたリーダーなんてやったことはないのである。


「そうは言っても、自信がないといいますか…」

喫茶室での話が頭をよぎる。

「大げさに考えず、わがまま娘たちのまとめ役と思っていおればよいわい。」

「私も賛成です。」

秘書のワンダさんが片手を上げて言う。

「リーダーというのは能力アビリティが高ければよいというものではないのですよ。これだけのメンバーをまとめられるのはタクトさんのような人かもしれませんね。」


 俺のような人ってどういうことなのだろうか…

よくわからないが、ワンダさんが言うのであれぱ、やってみようか。

どうせ戦士なんてやめようと思っていたんだし、なるようになれだ。

「はい、そういうことなら、がんばってみます…」



「タクトよ…その…これから何か用事はあるのか?」

打ち合わせの後、ノワールから声をかけられる。


「いいえ、部屋に戻って寝るだけです。」

「そうか、もし良かったらなんだか、リーダーの職務について少し教えてやってもいいぞ。初めてで分からないことも多いだろう。その、二人きりで…」

「本当ですか、ありがとうございます!」

いきなりリーダーと言われ、正直不安だったのだ。

ノワールは本当に優しいなあ。


「そうか、ではどこへ行こうか。美味しいワインを出す店が近くにあるのだ。タクトはワインは飲めるか?」

ノワールは嬉しそうな顔をして早口で言う。

「はい、あまり強くはありませんが…」

「よし、ではそこに行こう。」

外に出ると、あたりは暗くなっていた。


「ノワールさん、ちょっといいですか。」

ノワールについて歩いていると、二人組みの騎士が現れた。

「なんだ、雷鳴のジッドか、ちょっと今とりこみ中でな。」

喫茶室にいた騎士二人組だった。

ノワールと顔見知りだったのか。

「俺、ずっとノワールさんとパーティーを組みたいと思っているんです。パーティーに加えてくれませんか。」

「それは難しいだろう、すでにメンバーは決まっている。」

「こんなやつより、俺の方が絶対に役に立ちますよ。お願いします!」

騎士は俺を指さして言った。

ノワールの顔から表情が消え、ジッドを鋭く睨みつけた。


「ほう、我がパーティーのリーダーをこんなやつ呼ばわりとは、どういう了見かな。」

ノワールはドスの効いた声で言う、こんな怖い声が出せるのか…

「え!こいつがリーダーなんてすか、なんてゴリ押し…そんなのおかしいですよ。メンバー変更できないか、団長に掛け合ってきます。」

「やめろ!そんなことをしたら許さんぞ。タクトと遠征に出るのをどれほど楽しみにしていたことか…」

「はい?どういうことですか?」

「違う、その、つまりだな、タクトと戦うと新たな発見があり、私も成長できるということだ。」

「しかし、納得できません。」

「いいかげんにしろ。タクトをリーダーにすることは全会一致できまったことだ。我々の判断が信用できないのか?納得できないならば私が相手になろう。」

ノワールはそう言うと剣に手をかけた。

俺なんかのためにこんなに怒ってくれて、本当に後輩思いのいい人だ。

でも少しやりすぎでは無いだろうか。


「いや、そんなつもりでは…失礼しました。お詫びします。」

ノワールの見幕に驚いたのだろう。

ジッドの顔は真っ青になっている。

「謝っているようだが、どうする?」

ノワールが俺に言う。

「どうすると言われても。俺は別になんとも思っていないので。」

「そうか、寛容なやつだ。ならば話はここまでだ。今後は気を付けるのだぞ。」

そういうとノワールは二人の騎士を置き去りにして歩き出した。

俺も後を追う。


「すまなかったな。あいつは同郷の後輩でな。今度しっかり注意しておくよ。」

「いや、もう、十分だと思いますよ…」

「無駄な時間をとってしまったな、さあ行くぞリーダー。」


ノワールはそういうと俺の手を取った。

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