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16 追放サイドのゴブリン討伐④

「何、失敗しただと…」


 ゴブリン討伐クエスト失敗の報告をすると、領主の顔色が変わった。


「貴様らはAクラスのパーティーなんだろうが。ゴブリンごとき退治できないとはどういうことだ。」

前回とはうってかわって高圧的な口調だ。


「こちらにも事情がありましてな。今回はこれで辞退させてもらうことにする。」

「ゴブリンに負けて尻尾を巻いて逃げてきたのか。情けないやつらだ。ギルドの幹部に知り合いがいるんだからな。降格させるように言っておくぞ。」

領主は強い口調で言った。

田舎領主ふぜいが、なめた口をききやがって。

湧き上がる怒りをなんとか抑えた。


「いや、それは止めた方がよろしいでしょう。」

「苦情を言って当然だろうが。こっちはお前らを呼ぶために大金を用意したんだぞ。この役立たずが。」

何言ってやがる。偉そうに。

どうせ自前の騎士団を動かすよりも安くすむと判断したのだろうが。

そっちがその気なら、こっちにも考えがあるぞ。

俺は領主に近づき睨みつけた。


「な、なんだ。」

「あのゴブリンは、通常のゴブリンよりかなり強かった。強化ゴブリンだと思う。事前の情報不足が不首尾に終わった原因だ。つまり、そちらの側の落ち度だ。こちらが謝罪してほしいくらいだ。」

俺は領主を睨みながら言った。

「なんと、いうに事欠いて、よく言うわ。」

「信じないなら結構。急いで対策をとらないと、この地にさらなる災いがふりそそぐでしょう。」

そう、俺がこの地に災いを起こしてやる。


 領主の娘たちは心配そうにやりとりを見ていたが、会話が終わったところで話かけてきた。

「あの、勇者様、とらえられた村人たちはどうなりましたしたでしょうか。」

「さあね、死体しか見かけなかったよ。」

「ああ、そんな…ひどいことが…」

領主の娘は崩れ落ちた。


「それでは、警告はしましたよ。」

俺はそう吐き捨てると、領主の館を去った。



 後日、戦士のマキシムだけを連れて再びゴブリンの住処へと向かう。

こいつなら裏切ることはないだろう。


「どうされるのですか?」

マキシムを問いかけを無視して、俺は無言で進む。

ゴブリンの住処の近くに着くと、布袋から赤く透き通った小石ほどの玉を取り出した。


「なんですかそれは?」

目玉のような形をしたそれは、わがボッフェルト家に伝わる秘伝のアイテムだ。

「強化の実だ。」

俺はそう言うと、うろついているゴブリンに向かってそれを投げる。

モンスターを強化するアイテムだ。


 ゴブリンが強化の実を拾って食べた。

ゴブリンは大きくうなり声をあげると、体が一回り大きくなり、腕や脚も筋肉で太くなった。


「あれを食ったモンスターは攻撃力や魔力が増えるんだ。」

「まずくないですか…モンスター強化は重罪ですよ。縛り首です。」

「ばれる訳がない。それに、このまま引き下がったらランク落ちするぞ。それでいいのか。」

まったく、図体はでかいのに気が小さいやつだ。

お前らが役立たずだから、リーダーの俺がこうして尻ぬぐいをしているのだ。

それが分からんのか。


「それは…困りますが…」

「わかったら、お前も手伝え、ゴブリンの住処において来い。」

「いや、それは、その。」

「なんだ、出来ないのか!」

「いえ…やります。やらせて下さい。領主どもに一泡ふかせてやりましょう。」

マキシムに強化の実を一握り手渡す。

これでこいつも同罪だ、ばらすことはないだろう。


 さあて、これで強化されたゴブリンが領内を暴れまわることになる。

どれだけの被害がでることか。

ギルドに苦情を入れる場合ではなくなるだろう。


 しかし、なんでこんな面倒くせえことをしなければいけないのか…

これと言うのも全てタクトのせいだ。

あいつが我がまま言って辞めたからこんなことに。

今度会ったらただでは置かねえからな。

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