15 追放サイドのゴブリン討伐③
「そろそろ着きますよ。」
レンジャーのリックが言った。
「よし、行くぞ。お前ら、今度こそしっかりやれよ!」
俺の指図と同時に、パーティー全員でゴブリンの住処に突撃する。
前回と同じく、ゴブリンが大勢押し寄せる
だが前回とは違う。
最強の俺様が盾役をやるのだ。
さあ戦闘開始だ。
ゴブリンどもは最前列の俺に攻撃を集中してくる。
しかし攻撃は全く通らない。
どうだ、この装備ならゴブリンの攻撃など効かねえぞ。
ゴブリンメイジが魔法攻撃をしてくるが、全くダメージを受けない。
鎧の魔法防御が効いている。
「がはは、勝ったな。」
俺がゴブリンの相手をしている間に、戦士のマキシムと魔法使いエミリヤの攻撃が始まる。
「スキル発動、『サンダーボルト』」
マキシムの攻撃スキル、大剣に青白いイナズマをまとう。
ゴブリンの集団に飛び込むと、次々とゴブリンを黒焦げにしていく。
「炎の嵐よ、舞い上がれ、ファイヤーストーム!」
エミリアか呪文を詠唱すると、ゴブリンたちは炎につつまれた。
二列目からの強力な範囲攻撃はゴブリンどもを次々と倒していく。
俺は防御を固めるだけでいい。
まったく盾役なんてバカでもできる簡単なポジションだぜ。
だが、しばらくするとゴブリンたちは俺にかなわないと気付いたのか、横をすり抜け後ろのメンバーに襲いかかった。
「おい、まてよ。」
すり抜けた敵を止めようとするが、防具が重くて追いつけないない。
盾役だからって装備を重くしすぎたか。
まずいな、スキルを使うか。
「スキル発動 、『挑発』」
挑発スキルを使うと、周囲のモンスターはこちらに悪意向ける。
しかし反応したのは一部だけで、ほとんどのゴブリンは次々と俺の横を通りすぎる。
「リーダー、挑発スキルの有効範囲はけっこう狭いんですよ。近くの敵にしか効きません。」
一緒に盾役をしているジャンが言った。
そんなもんだったか、ほとんど使ったことがなかったからな。
「そんなことは知っている、お前も挑発を使え。」
「嫌ですよ、囲まれてボコられますから…」
こいつ、この状況でよくそんなことが言えるな。
ゴブリンはあっという間に後衛に襲い掛かる。
魔法使のエミリアはゴブリンにまとわり付かれている。
防ぐので手いっぱいだ。
またかよ、あれでは魔法は打てない。
戦士のマキシムは孤軍奮闘しているが、多勢に無勢だ。
いつの間にか、俺もゴブリンに囲まれていた。
全員杖を持っている、ゴブリンメイジか。
「お前らの下級魔法などきかんぞ。蹴散らしてやる。」
俺が剣を振りかぶると、ゴブリンメイジたちは一斉に杖をむけた。
杖からは勢いよく濃い紫色の煙が噴き出してきた。
まずい毒霧だ。魔法防御では防げない。
避けないと。
ガチャン、ガチャン
走って避けようとするが、鎧が重くて走れない。
まともに毒霧をくらってしまった。
これは、まずいぞ。
気分が悪くなり、めまいがする。
吐きそうだ。
体力がジワジワと減っていく。
ゴブリンメイジどもはケラケラと笑いながら俺を取り囲みファイアボールを打ってくる。
雑魚モンスターが調子にのりやがって。
しかし、毒で体に力が入らない。
「おいアレイシア毒消し魔法を頼む、おいアレイシア何処だ。」
なんだ、あいつ見当たらんぞ。
あたりを見渡すと、アレイシアはまたしてもほぼ全裸でゴブリンに連れ去られそうになっている。
なにやってるんだあいつは。
ああああああああ!くそおおおおお!もうダメじゃねえかあああああああああ!
クソどもめ、クソモンスターめ!!
「撤退だ!マキシム!アレイシアを助けろ。リック毒消しを持ってこい。」
俺は鎧の中で吐きながら叫んだ。
結局、俺たちはさんざんな状態で何とか逃げ出した。
◇
3度目の戦闘に行くことはなかった。
これ以上失敗するとパーティーが崩壊しかねない。
俺が盾役までやってクエスト失敗とは、盾役って意外と大変なのか…
いや、そんなはずは無い。あんなものは馬鹿でもできる底辺職だ。
周りのサポートが足りないのだ。
やはり人員減で臨んだのが間違いだったのだろう。
補充しないとな。
「やっぱり駄目だったじゃないですか。タクトさんに戻ってもらいましょうよ。」
ジャンのやつはしつこく言ってきたが、無視した。
今さらあんな奴に頼れるか。
しかし、領主には何と報告したものか…
このままばっくれたいが、そうするとギルドに何を言われるかわかったもんじゃねえしな。
リーダーは辛いぜ。




