13 追放サイドのゴブリン討伐①
<追放サイド、ジェフリー視点>
「ジェフリー様。遠路はるばるよくお越しくださいました。」
禿頭の領主がうやうやしく言った。
ここは地方領主タイレル家の館。
この辺一帯はタイレル地方と呼ばれる。
王都からは遠くはなれた辺鄙なところだ。
館の周辺にはりんご畑と素朴な村しかない。
石造りの領主の館だけが大きい。
「領内にゴブリンが現れて、田畑や村を荒らしているのです。なんとか助けていただきたい。」
領主は大きな椅子に偉そうに座っている。
その隣には二人の若い娘が寄り添うように立つ。
領主の娘の姉妹だ。
「村人が何人もさらわれているのです。勇者様、どうか領民たちをお救いください。」
領主の娘が悲痛な表情で言った。
「娘のエリスとエリアです。やさしいこ達でね。自慢の娘ですよ。」
領主は言った。
俺は領主の娘たちを足先から舐め回すように見た。
妹はまだガキだが、姉の方は16、17才といったところか。
田舎領主の娘にしては、なかなかいい女じゃないか。
クエスト成功後に食事にでも誘ってみるか。恩人のさそいなら嫌とは言えまい。
あわよくばいただいちまうか…こんな田舎では他に楽しみもなさそうだしな。
「あの、何かございましたでしょか…」
姉のエリスが言った。
「いえ、それでは、良い知らせをお持ちしましょう。」
俺はエリスの手を取ると、手の甲に軽く口付けをした。
◇
ゴブリンは領内の森に住みついているそうだ。
俺は仲間を引き連れ、渡された地図を手に森の中を進む。
森の中はジメジメとして暗い。
道中、何度かゴブリンに遭遇したがたやすく撃退した。
所詮はゴブリン、弱小モンスターだ。
こんなクエストは達成して当たり前。
問題はいかに効率良く進めるかだな。
「なあジャン、タクトがいなくても大丈夫だろう。」
「はい、まあ今のところは。」
生意気な返事をしやがって。
ただこいつは名門貴族のお坊ちゃんだからな、大事にしてやらないと。
レンジャーのリックが偵察をして戻ってくる。
「この先に本拠地があります。」
「そうか、殲滅するぞ。」
レンジャーを先頭に、森の中をさらに進む。
少し開けた所に出た。ここが本拠地か。
木でできた粗末な小屋と洞窟が住居になっているようだ。
「洞窟の中に、村人が捉えられているようです。つれこまれるのを見ました。」
「そうか、ついでに救出してやるか。」
村人なんかはどうなっても知ったことではないが、領主の娘に恩を売っておいくのもいいだろう。
「さあ、突撃だ!作戦なんか必要ねえ、片っ端からぶっ殺してやれ。」
俺たちは、ゴブリンの住処へと突入すると、かたっぱしからゴブリンどもを倒していった。
◇
戦闘を開始すると小屋や岩陰から次々とゴブリンが現れた。
領主の言う通り、かなりの数だ。少し厄介だな。
いや、あいつらの攻撃なんかでは大したダメージは受けない。
いくらでもこいだ。
「スキル発動 、『スパイラルフレイム』」
俺は炎攻撃のスキルを使う。
炎の柱が螺旋状にゴブリンを襲う。
続けて、戦士のマキシムも攻撃スキルをお見舞いする。
攻撃スキルは気力を消耗するので、そうそう連発はできない。
盾役のジャンに時間を稼いでもらわないと。
そう思いジャンの方を見ると、ゴブリン囲まれて身動きが取れなくなっていた。
何やってんだよ、あいつ。おとりもできねえのか。
ゴブリンは次々と襲いかかって来る。
俺とマキシムも前列に加わってゴブリンを切り倒すが防ぎきれない。
「エミリヤ、魔法攻撃を頼む。」
後衛の魔法使いに声をかける。
「ちょっと、やだ、まだ詠唱の途中よ。」
エミリヤはゴブリン数体に襲われ、防ぐのが精一杯で魔法が打てないでいる。
「アレイシア、援護魔法を頼む!おい、アレイシア?」
僧侶のアレイシアの姿が見当たらない、どこへいったのか。
このままではまずいな。
俺は身をかわして、もう一度攻撃スキルを放つ。
「攻撃スキルを使うぞ、みんな避けろ。『スパイラルフレイム!』。」
炎の柱がゴブリンに向かって鋭くのびる。
しかし、ゴブリンは分散しているので、攻撃は1体にしか当たらなかった。
なんだよ、スキルを使った意味ねえじゃねえか、結構疲れるんだぞ。
「おいエミリヤ、範囲魔法攻撃でゴブリンどもを吹き飛ばせないか。」
エミリヤの方を見るが、相変わらずゴブリンに捕まらないように逃げ回るので精一杯のようだ。
大男のマキシムも目の前の敵の対応で手がふさがっている。
あれではスキルは使えない。
もうめちゃくちゃだ。
くそ、こいつらゴブリン相手になんてざまだ。
さらに奥からは魔法攻撃も飛んでくる。ファイヤボールだ。
ゴブリンメイジまでいやがったか。
低級魔法だが、少しずつダメージが蓄積される。
それに熱くてうっとおしい。
しかたない、一旦退却するか。
「一旦引くぞ、おいアレイシアはどこだ!」
あたりを見回すと、ゴブリンに連れ去られそうになっているアレイシアが見えた。
服はほとんど剥ぎ取られていて、あられもない姿だ。
その僧衣は高かったんだぞ、無駄遣いしやがって。
アレイシアを何とか助け出し、ゴブリンの住処を抜け出した。
くそ、この俺様がゴブリン相手に退却とは。
「一旦村へ戻るぞ、立て直しだ。」
怒りを押し殺した声で、俺はそう言った。
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