12 女騎士とデートをする
「この城の歴史は、今より250年前、まだ天空騎士団ができる前にさかのぼるのだが…」
入団試験を終え、晴れて団員と認められた俺は、ノワールに騎士団の本部の案内をしてもらっている。
しかし本当に美人だなあ。
見とれてしまい、あまり話が入ってこない。
「そういえぱ、ノワールさんは騎士団の筆頭なんですね。全く知りませんでした。」
「今まで通りノワールでかまわんぞ。ここでは団長以外はみな対等だ。それに、タクトとは年齢もほぼ同じだしな。」
年齢は同じくらいなのか。
年上かと思っていた。
「話は変わるが、先日のベオウルフとの戦い、見事だったな。まさか、あそこまでの実力とは、感服したよ。」
「いえ、ああ見えてギリギリの勝負でした。」
受け流しが失敗したらどうなっていたことか。
一か八かの戦闘スタイルは本当だ。
戦うのはいつも怖い。
「謙虚なやつだ。入団試験でベオウルフを打ち負かしたやつなんてお前だけだぞ、もっと誇っていい。我が騎士団に入ってくれて、本当に良かった。」
きれいな色の目で、俺の顔をまっすぐ見てノワールは言った。
◇
木もれ日がさすなか、二人きりで建物を巡る。
「まるでデートみたいだ。」
俺はぼそりとつぶやく。
「ん、デートとをはなんだ?」
強い口調でノワールは言った。
しまった、聞こえていたか。つい軽口を叩いてしまった。
泣く子もだまる天空騎士団の筆頭だ。怒らせるとまずい。
「申しわけございません、つい。軽率な発言でした。訂正します。」
「叱っているのではない。デートとはどういう意味かと聞いているだけだ。」
「いや、その、親しい男女が二人で出歩くようなことかと。」
「それをデートを言うのだな。」
「まあ、そうですね。」
「そうか、デートか。そのような単語を聞いたことはあったが…そうとも言えるか…」
何か一人で納得している。怒ってはいないようでよかった。
◇
少し進むと、通路の途中で、誰かが腕組みしながら壁に寄りかかっている。
顔に大きな傷がある、ベオウルフだ。
「どうも、こんにちは…」
俺は小声で言った。
おっかないんだよなあ、この人。
ベオウルフはジロリと俺をにらんだ。
「おい、この間の試合だがな、あれで勝ったと思うなよ。俺は完全に油断していた。次やったら負けないからな。」
「はい、そうですか…」
「ただし、お前の実力は認めよう。無礼なことを言ってすまなかった。お詫びする。」
そう言ってベオウルフは右手を胸にあて少し頭を下げた。
「他の連中もお前のことは認めただろう。平民だからってバカにするようなやつがいたら俺に言ってこい。ぶんなぐってやる。」
「はい、ありがとうございます。」
わざわざ、それを言うために待っていてくれたのだろうか。
「ベオウルフさんも貴族なんですよね。」
「まあな、一応貴族の出だが、貧乏貴族でな。食うや食わずの生活だったよ。タクトよりも育ちは悪いかもな。」
そう言って豪快に笑った。
案外いい人なのかもしれない。
「よし話は済んだな。それではタクト行くぞ。」
「はい。」
それでも、ベオウルフは付いてくる。
「なぜ付いてくるのだ?」
少し嫌そうにノワールが言う。
「もう少しタクトと話しがしたくてな…お邪魔かな?」
「うむ、デートの最中だからな。」
ノワールはそう言うと不敵な笑みを浮かべた。
きっぱりとデートって言ったよな。
何か間違った意味で伝わっているのではないだろうか…
「そうか、デートなら手でもつないげばどうだ。」
ベオウルフはすこし茶化した感じで言う。
「うむ、なるほど、それも一理あるな。」
ノワールは、何を納得したのか俺の手をぎゅっと握りしめた。
歴戦の強者とは思えないほど、その手は柔かくスベスベしている。
「よし、これでいいか。タクト行くぞ。」
「はい、いいんでしょうか?」
俺はノワールと手をつないで歩きだした。
それでもベオウルフは付いてくる。
彼女もよく見るとかなりの美形なのだ。
手足が長くスタイルも抜群である。
俺はノワールとベオウルフに挟まれ三人で並んで歩く。
しかし、この状況は一体何なのだろうか。
周りの目が気になる。
そこへ正面から警備兵が歩いてきた。
「ノワール様、お勤めお疲れ様です。」
「うむ、ご苦労さま。」
「はっ、これは一体、何事でしょうか。このもの何をやらかしたのですか。ノワール様に拘束されて…ベオウルフ様まで。」
警備兵は俺を見て驚いた声で言う。
「そうではない、建物を案内をしているだけだ。」
「そうでしたか、とてもそのようには見えず。これは大変失礼いしました。」
「いや、いいのだ。」
衛兵は首をかしげながら去っていった。
回りからは、捕まって連衡されているように見えるらしい…
◇
「これは初代団長の像だ。モンスターの大群が王都に迫ったときに、たった5人の勇者パーティーで敵の主力を壊滅させたのだ。それが天空騎士団の元になっている。その後も彼の功績は計り知れず……」
ノワールは丁寧に説明してくれる。
「面倒くせえ話だなあ。長くなるのか?」
べオウルフが茶々を入れる。
「大事な話なのだ、邪魔をするな。それに何故まだ付いてくるのだ。」
「俺もタクトを気に入ったようだ。別にいいだろう。」
「むう。」
ノワールは少しむくれた顔をした。
「なあタクト、任務で冒険に出るときは、俺がパーティーメンバーになってやるからな。よろしくたのむぜ。」
ベオウルフは、そういうと俺の肩に手をまわした。
胸が背中にあたる。
なかなかの大きさと弾力だ。
まずい、顔がにやけてしまう。
がまん、がまん。
「ところで、お前はなんで前のパーティーを首になったんだ?」
ベオウルフが言った。
「モンスター撃破の成績が悪くて、いつも怒られてまして。結局首に…」
「くだらん理由だ。そこのリーダーはよっぽどの節穴だな。」
前のパーティーでは、毎日役立たずとののしられていた。
それを思うと、ここは天国だなあ。
「ベオウルフ、あまりくっつくな。ほら、タクトも離れろ。次に行くぞ。」
そういうとノワールは俺の手を強く引っ張った。
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