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12 女騎士とデートをする

「この城の歴史は、今より250年前、まだ天空騎士団ができる前にさかのぼるのだが…」


 入団試験を終え、晴れて団員と認められた俺は、ノワールに騎士団の本部の案内をしてもらっている。

しかし本当に美人だなあ。

見とれてしまい、あまり話が入ってこない。


「そういえぱ、ノワールさんは騎士団の筆頭なんですね。全く知りませんでした。」

「今まで通りノワールでかまわんぞ。ここでは団長以外はみな対等だ。それに、タクトとは年齢もほぼ同じだしな。」

年齢は同じくらいなのか。

年上かと思っていた。


「話は変わるが、先日のベオウルフとの戦い、見事だったな。まさか、あそこまでの実力とは、感服したよ。」

「いえ、ああ見えてギリギリの勝負でした。」

受け流しが失敗したらどうなっていたことか。

一か八かの戦闘スタイルは本当だ。

戦うのはいつも怖い。


「謙虚なやつだ。入団試験でベオウルフを打ち負かしたやつなんてお前だけだぞ、もっと誇っていい。我が騎士団に入ってくれて、本当に良かった。」

きれいな色の目で、俺の顔をまっすぐ見てノワールは言った。



木もれ日がさすなか、二人きりで建物を巡る。

「まるでデートみたいだ。」

俺はぼそりとつぶやく。

「ん、デートとをはなんだ?」

強い口調でノワールは言った。

しまった、聞こえていたか。つい軽口を叩いてしまった。

泣く子もだまる天空騎士団の筆頭だ。怒らせるとまずい。

「申しわけございません、つい。軽率な発言でした。訂正します。」

「叱っているのではない。デートとはどういう意味かと聞いているだけだ。」

「いや、その、親しい男女が二人で出歩くようなことかと。」

「それをデートを言うのだな。」

「まあ、そうですね。」

「そうか、デートか。そのような単語を聞いたことはあったが…そうとも言えるか…」

何か一人で納得している。怒ってはいないようでよかった。



 少し進むと、通路の途中で、誰かが腕組みしながら壁に寄りかかっている。

顔に大きな傷がある、ベオウルフだ。


「どうも、こんにちは…」

俺は小声で言った。

おっかないんだよなあ、この人。

ベオウルフはジロリと俺をにらんだ。

「おい、この間の試合だがな、あれで勝ったと思うなよ。俺は完全に油断していた。次やったら負けないからな。」

「はい、そうですか…」

「ただし、お前の実力は認めよう。無礼なことを言ってすまなかった。お詫びする。」

そう言ってベオウルフは右手を胸にあて少し頭を下げた。

「他の連中もお前のことは認めただろう。平民だからってバカにするようなやつがいたら俺に言ってこい。ぶんなぐってやる。」

「はい、ありがとうございます。」

わざわざ、それを言うために待っていてくれたのだろうか。


「ベオウルフさんも貴族なんですよね。」

「まあな、一応貴族の出だが、貧乏貴族でな。食うや食わずの生活だったよ。タクトよりも育ちは悪いかもな。」

そう言って豪快に笑った。

案外いい人なのかもしれない。


「よし話は済んだな。それではタクト行くぞ。」

「はい。」

それでも、ベオウルフは付いてくる。

「なぜ付いてくるのだ?」

少し嫌そうにノワールが言う。

「もう少しタクトと話しがしたくてな…お邪魔かな?」

「うむ、デートの最中だからな。」

ノワールはそう言うと不敵な笑みを浮かべた。

きっぱりとデートって言ったよな。

何か間違った意味で伝わっているのではないだろうか…

「そうか、デートなら手でもつないげばどうだ。」

ベオウルフはすこし茶化した感じで言う。

「うむ、なるほど、それも一理あるな。」

ノワールは、何を納得したのか俺の手をぎゅっと握りしめた。

歴戦の強者とは思えないほど、その手は柔かくスベスベしている。

「よし、これでいいか。タクト行くぞ。」

「はい、いいんでしょうか?」

俺はノワールと手をつないで歩きだした。


それでもベオウルフは付いてくる。

彼女もよく見るとかなりの美形なのだ。

手足が長くスタイルも抜群である。


俺はノワールとベオウルフに挟まれ三人で並んで歩く。

しかし、この状況は一体何なのだろうか。

周りの目が気になる。


そこへ正面から警備兵が歩いてきた。

「ノワール様、お勤めお疲れ様です。」

「うむ、ご苦労さま。」

「はっ、これは一体、何事でしょうか。このもの何をやらかしたのですか。ノワール様に拘束されて…ベオウルフ様まで。」

警備兵は俺を見て驚いた声で言う。


「そうではない、建物を案内をしているだけだ。」

「そうでしたか、とてもそのようには見えず。これは大変失礼いしました。」

「いや、いいのだ。」

衛兵は首をかしげながら去っていった。

回りからは、捕まって連衡されているように見えるらしい…



「これは初代団長の像だ。モンスターの大群が王都に迫ったときに、たった5人の勇者パーティーで敵の主力を壊滅させたのだ。それが天空騎士団の元になっている。その後も彼の功績は計り知れず……」

ノワールは丁寧に説明してくれる。

「面倒くせえ話だなあ。長くなるのか?」

べオウルフが茶々を入れる。


「大事な話なのだ、邪魔をするな。それに何故まだ付いてくるのだ。」

「俺もタクトを気に入ったようだ。別にいいだろう。」

「むう。」

ノワールは少しむくれた顔をした。


「なあタクト、任務で冒険に出るときは、俺がパーティーメンバーになってやるからな。よろしくたのむぜ。」

ベオウルフは、そういうと俺の肩に手をまわした。

胸が背中にあたる。

なかなかの大きさと弾力だ。

まずい、顔がにやけてしまう。

がまん、がまん。


「ところで、お前はなんで前のパーティーを首になったんだ?」

ベオウルフが言った。

「モンスター撃破の成績が悪くて、いつも怒られてまして。結局首に…」

「くだらん理由だ。そこのリーダーはよっぽどの節穴だな。」


前のパーティーでは、毎日役立たずとののしられていた。

それを思うと、ここは天国だなあ。


「ベオウルフ、あまりくっつくな。ほら、タクトも離れろ。次に行くぞ。」


そういうとノワールは俺の手を強く引っ張った。


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