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たのまれごとは旅路のはじまり  作者: 多田シロー
第三章 精霊王の錯乱
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94 精霊王参戦

「ぬぬぬっ、いつの間にか火が消えておるではないか! シモベたちよ、景気よく燃やしてこい!!」


炎の中から出てきた変なオヤジは、掌からサラマンダーを出して、森の中に放とうとする。

まったく人騒がせなオヤジだね。


さっきと同じように魔力の塊を作り、オヤジが呼び出したサラマンダーに当てていく。

紫色だったサラマンダーは、オレンジ色に変わり、纏っている炎を消して地面に降り立つ。


うん、やっぱり瘴気に侵されておかしくなっているようだ。

浄化すると正気に戻るみたいだけど、サラマンダーはどうしたらいいかわからないみたいだ。

地面に降り立ち、オロオロしながら変なオヤジを見ている。


「ぐぬぬ、何をしておる。早く燃やしてこんか!」


エライ剣幕でサラマンダーを怒鳴りつけているけど、サラマンダーはイヤそうに首を横に振っている。

こうして見るとサラマンダーもかわいいもんだ。

言うことを聞かないサラマンダーに業を煮やしたのか、


「もういいわい、ワシが燃やし尽くしてくれる!」


気の短いオヤジだね。

言うが早いか、自分で炎を出してあたりを燃やそうとし始めた。


「はっはっは、燃えろよ、燃えろ!」


変なオヤジは笑いながら手から炎を出し、辺りにまき散らしている。

危ないなぁ。せっかく消火したんだから、火を出さないでほしい。

ウザいので変なオヤジが出した炎を俺は水で覆ってみた。

シューシュー水蒸気が上がっているけど、炎は水を突破できないようで辺りに火が燃え移らなくなった。


「なんと! これでは火が着かないではないか!」


オヤジは手を振って、炎の先から水を振り払おうとするけど、俺が出した水の塊は炎から外れない。


「ぬおおぉ、この水玉はなんじゃあ。ワシの邪魔をするなぁ!」


迷惑オヤジは更に力を込めて手を振っているけど、水の塊は外れない。


「ならばこうしてくれる!」


そう言うと迷惑オヤジは手を振るのを止めて、力をこめ始めた。


「ぬぬぬぬぬぅぅ!!」


額に血管が浮いている。随分リキんでいるようだ。

炎を囲んでいる水からジュウジュウと激しく水蒸気が上がっていく。


あれかな、炎の温度を上げようとしているのかな。

どこまで温度を上げられるんだろう。理屈からすると、絶対零度より強そうだけど、俺にはその辺の知識はないんだよね。

とりあえず、水の温度を下げておけばいいかな。


迷惑オヤジが出している炎を覆っている水玉の温度を下げていく。

イメージは絶対零度だけど、分子の運動エネルギーがゼロなんだっけ?

よくわからないけど、まぁいいや。


そんな適当な感じでイメージしていくと、シュゥゥゥ、と迷惑オヤジの炎から音がして、水蒸気も減っていく。

炎の勢いがなくなってきたかな。


「んなぁ、なんじゃあ。なんで炎が出んのじゃぁ!」


うん、よくわからんけど火が出なくてよかったよ。


「ちょっと、イフリート様に何をしたの?」


ああ、あの迷惑オヤジはやっぱりイフリートさんなの?

その辺を燃やしたがっていたから、ちょっと炎を細工したの。


「………あなたねぇ、火の精霊王様に向かって炎を細工したって、どれだけ非常識なのよ。」


え、ダメだった?

あの迷惑オヤジに炎扱わせたら危なそうじゃん。


「…そうかもしれないけど、本当はあんなことするような精霊王様じゃないハズよ。……たぶん。」


そうかい? 随分楽しそうに遊んでいたようだけど。

あれじゃあ、ただの迷惑オヤジだと思うよ。


「貴様ぁ、ワシの炎に何したんじゃあ!」


何か叫んでいるけど、面倒だから放っておこうか。

あれがイフリートさんなら、あとはジンさんにおまかせってことで。


「あなたねぇ…。」


サフィは手で額を押さえると、軽く頭を振っている。

だって、ジンさんにまかせてくれって言われたよ。


「ふぅ~、そうね。精霊王様に言われたからそうしないといけないわよね。」


諦め顔でサフィがそう言ってきた。

だって面倒じゃない。あんなのの相手するの。


「こらぁ、ワシの話を聞かんかい!!」


迷惑オヤジ……もといイフリートさんが、俺に向かって突っ込んでくる。

紫色の大魔神が鬼の形相で突っ込んでくるって、夢に見そうだよ。

ちょっと相手したくないね。


俺はイフリートさんの前に、厚めの結界を張ってみた。


ゴォ~ン、と盛大な音をさせてイフリートさんが結界にぶつかる。


「どわぁぁぁ、なんじゃこりゃぁ!」


額を押さえてイフリートさんが吠える。

結構頑丈みたいだ。


「こぉの、あんぽんたんが! 何をトチ狂っておる。いいかげんにせんかい!」


突如、イフリートさんの後ろにジンさんが現れ、イフリートさんを殴っている。

いやぁ、グーパンだよ。あれ痛くないのかな。

でもイフリートさん、頑丈そうだからなぁ。


「何じゃぁ、ワシとやるのか? どっからでもかかってこい!」


やっぱりそうだよ。元気そうだ。

でもあれじゃあ迷惑だよね。


「風の精霊王様が来てくれたし、あとはお任せしていいんじゃない。」


サフィも呆れているようだ。あれには関わり合いたくないよね。

それじゃあ、残りの火を消していこうか。

サフィは我関せずに決めたようだ。

俺もそれに賛成する。


イフリートさんが現れた場所に残っていた火に水をかけ、淡々と消火作業を進める。

余計な茶々が入らなければ、あとは簡単だ。


ジンさんとイフリートさんが殴り合っているけど、そんなことは知らない。

俺たちの仕事は火を消すことだ。


「どうしようもないオヤジなの。」


そうだな、リーシャ。

あんな大人を見ていると、良くないものがうつるから見ちゃダメだよ。


「リーシャはいい子なの。」


うんうん、リーシャはとってもいい子だね。

森の火も消して頑張ったね。

頭を撫でてあげると、リーシャはニパッと笑いながら顔を上げて嬉しそうに見てくる。


俺は迷惑オヤジから受けた心的ダメージを、リーシャで癒すのだった。


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― 新着の感想 ―
[一言] うーん、まずイフリートさん 浄化したら? 何かとっ散らかってるみたいだし まさか通常モードであれなの? 紫なのは瘴気のせいだと思ってた。
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