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たのまれごとは旅路のはじまり  作者: 多田シロー
第三章 精霊王の錯乱
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90 魔物の暴走

「えい! なのです。」


「……甘い~?」


「そっちはダメです。」


レミたち三人娘が結界から漏れてくる獣や魔物を倒している。

その様子を視界に収めながら、俺は結界を張る前に山から下りていた魔物を仕留めている。

まぁ、あの子たちからあまり離れられないので、それほど多くは相手できないけどね。



俺たちは四つ目の封印があるベスビオス山へ来ている。

本当は、山の上にあると言われている封印を浄化しに行きたいんだけど、どうやらイフリートさんがトチ狂ってしまい、火遊びが過ぎたようだ。

火の上位精霊であるサラマンダーが山の中腹にある森に火を着けてしまい、山にいた獣や魔物が火を避けて麓に逃げてきてしまった。

このまま放っておくと魔物や獣が暴走してしまい、麓にある街が襲われそうだったので、結界を張って魔物たちが暴走しないように抑えている。


どれだけの魔物が山にいるのかわからないので、結界に穴を空けて少しずつ間引いているけどこれが結構多い。

それでも、結界から溢れるくらい魔物が暴走してきたらマズいからね。


そして困ったことにこの結界の向こう、山の中腹にある森では火事が起きているのでサフィ達が消火活動している。

結界で麓と遮断したのはいいんだけど、遮断された側に魔物とサフィたちがいる。

それに、サラマンダーたちと一緒にイフリートさんがいると思われるので、山の中腹側は逃げ惑う魔物とサラマンダー、それに消火活動中のサフィたち三つ巴の混戦状態だ。これって割とピンチだよね。


う~ん、失敗したかな。

モーリスにはこっちにいてもらった方がよかったかもしれない。

結界の穴から漏れてくる魔物は今のところレミたちが倒しているけど、これがどれだけ続くのか予想できない。

モーリスがいれば子供たちのお守りをまかせて、俺が結界の向こうに突撃できるんだけど。


そんなことを考えていると、また結界の穴から魔物が出てきてニナが対処している。

風の精霊王ジンさんからもらった双剣を振るい、魔物を倒している。

レミとニナの二人とも、ジンさんからもらった剣のおかげで、格段に攻撃力が上がっているね。

それぞれが持っているスキルと相まって、少し安心して見ていられるようになった。


「シンジ様、山から下りてくる魔物がさっきより収まってきてるようです。結界から漏れてくる魔物が減ってきました。」


サクヤがそう言ってくる。

う~ん、そしたら結界の穴を閉じて魔物を眠らせようか。

そうすればここも大人しくなるだろう。


その前に大物を片付けておこうかね。


結界の穴に集まってきている魔物たちを、風魔法でいったん吹き飛ばす。

穴に近づいて来ていた魔物も巻き込まれて引き飛んでいくけど、周りに魔物がいなくなったからいいよね。


「引き続き、ここから抜けてくる魔物を倒しておいてくれるかい。俺はちょっと大物を退治してくるから。」


三人娘に声をかけると、


「承知しました。おまかせください。」


サクヤがしっかりと答えてくれる。


「うん、すぐに戻ってくるから無理しないように。」


「はい、シンジ様もお気をつけて。」


「いってらっしゃいなのです。」


「……あとはおまかせ~」


三人娘に見送られて、俺は結界の山側へと入った。

さっきの風魔法で吹き飛ばされた魔物が、バラバラになっていたりするけど気にしない。

ちょっとグロいのは勘弁してください。


結界の穴から奥に向かうと、いろいろな魔物が寄ってくる。

ちょっと数が多く相手するのが面倒なので、飛行魔法で飛び上がり上から狙い撃ちで仕留めていこう。

飛び上がって見ていると、フォレストウルフやビッグヴァイパーなんかの姿が確認できる。

ああいう大物は放ってはおけない。


空から風魔法で倒し、倒れた獲物に近づいてアイテムボックスに収納していく。

ここはヴォルフ大森林から離れているせいか、イシュルの森ほど危なそうな魔物はいないようだ。

でも紫色の変異体は結構いる。


ウルフやタイガーに熊などが変異体になっている。

割と素早く動いているけど、空の上からだと狙い放題だ。


変異体はできるだけ始末しておきたいけど数が多い。

これだけいるってことは、瘴気の量も多かったってことかな。

もしかして、イフリートさんは瘴気のせいでおかしくなったのかもしれない。

だとすると浄化しないといけないね。


ジンさんがどうするつもりなのかわからないけど、その辺の話をした方がいいかな。


目で見える範囲のヤバそうな魔物は始末できたので、いったんサクヤたちのところに戻ろう。

あまり長い時間離れるのはよくないからね。



「ただいま。こっちの様子はどうだい。」


「シンジ様、おかえりなさい。さっきよりも結界を抜けてくる魔物が減りました。」


「お兄ちゃん、レミは魔物をいっぱい倒したのです。でも倒し過ぎですか?」


「……ひまぁ~」


サクヤたちのところに戻ると、三人娘はちょっと暇そうだった。

俺がいたときは、ほどよく魔物が抜けてきていたけど、今は魔物がいない時もあるみたいだ。

さっき風魔法で吹っ飛ばしたから、魔物が寄り付かなくなったかな。


魔物がいないタイミングを見て、サクヤたちに果物を絞ったジュースを出してやる。

さすがにオヤツはちょっとムリだね。


「おいしいのです。」


「ん~、でりしゃす」


ずっと魔物と戦っていたから喉が渇いていたようだ。

三人ともおいしそうにジュースを飲んでいる。

レミたちが休憩している間は、俺が代りに魔物の相手をする。


確かにサクヤが言う通り、魔物が減ってきた感じがする。

マップを出して確認するけど、山から下りてくる魔物はほとんどいない。

消火活動はうまくいったのかな。


結界まで降りてきていた魔物も、結界を抜けられなくて山に戻っているものもいる。

このまま落ち着いてくれるといいんだけど。


「シンジ様、魔物も落ち着いてきたみたいですし、サフィーネ様のところに行かなくて大丈夫でしょうか?」


サクヤがサフィを心配している。

そうなんだよね。

いくらジンさんとリーシャがいても、魔物やサラマンダーたちの相手をしていたら大変だと思う。

そこにイフリートさんも、となるとキツそうだね。


「みんなのところに行くです。」


「…サフィ姉だいじょうぶ~?」


レミとニナも心配のようだ。

それじゃあサフィたちのところへ行こうか。


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