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たのまれごとは旅路のはじまり  作者: 多田シロー
第三章 精霊王の錯乱
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89 盛大な火遊び

ベスビオス山へ向かって馬車を走らせているけど、山に近づくにつれて紫色の変異種に遭う機会が増えてきた。

変異種は力だけでなく、素早さも上がっているようで通常の獣なんかより討伐が面倒だ。


道は緩やかに登り始めており、獣も増えてきている。

そろそろ馬車はキツいかな。

馬車を止めて大きな木があるところへ馬を誘導し、アイテムボックスから厩舎を出した。

ドランたちにはここで待っていてもらおう。

結界を張っておけば大丈夫だよね。

水や飼い葉も忘れずに用意して、強めに結界を張っておく。


さて、それじゃあ行こうか。



俺たちは徒歩で山を登っていく。

マップを出すと、山の獣や魔物が山を下りてくるようだ。

上で何かあったのかな。


よくわからないけど、このまま魔物たちを麓に行かせるのは良くないよね。

下には街もあったし、あそこが襲われたら大変だ。


そんなことを考えていると、いきなり地面が揺れ出した。

立っていられないわけじゃないけど、結構強い揺れだ。


「おおお、揺れるのです。」


レミたちが驚いているけど、これってマズくない?

山が噴火するんじゃないの?


「すぐにどうこうなるとも思えませんが、ゆっくりもしていられないでしょう。」


ジンさんは俺が考えていることに気付いたのか、急ごうと言ってくる。


山の上の方を見ると火の玉のようなものがいくつか飛んでいた。

まわりには森があり、結構木が生えている。

そんなところに火が付いたら大変だよ。と、言うかさらに上の方には火がついているようだ。


「ひょっとしてサラマンダー?」


サフィが火の玉を見ながら呟いている。

サラマンダーって、火の精霊だっけ。

火遊びしてると、オネショするぞ。


「何言ってるのよ。それよりサラマンダーがおかしいわ。」


確かにサフィが言う通り、サラマンダーは辺りに火を着けているように見える。

そんなことしたらホントに山火事になるよ。


急いで山を登っていくけど、サラマンダーがいるところまではまだ遠い。

山を下りてくる獣はどんどん増えているようだ。

そのうちに、森の中から火の手が上がった。


「大変! 森が燃えだしたわ。」


「サラマンダーも随分と盛大に火遊びしてるね。」


「そんなわけないでしょ! サラマンダーが暴れているから魔物が降りてきてるんだわ。」


マズいね。

火は消さなきゃいけないし、魔物たちが山を下りるのも止めなきゃいけない。


「んじゃ、別々にする?」


「……そうね。その方がいいでしょう。あなたはどうするの?」


「俺は結界を張って魔物たちを止めてこようか。」


「そう。なら私は火を消すわ。あのままでは森が燃えてしまうわ。」


「でもイフリートさんの姿が見えないね。」


「そうね。でも、サラマンダーたちと一緒にいるんじゃないかしら。できればそっちをすぐに片付けて、こっちへ来てよ。私ではイフリート様を抑えられないわ。」


「暑くるしいまじんなの。でもリーシャが行くの。」


「我も一緒しよう。」


リーシャとジンさんがサフィに同行すると言ってくれている。

ん~、それならモーリスもそっちに行ってもらおうか。

リーシャのお守りがいるかもしれないし。


「よろしいのですか?」


モーリスが、俺と三人娘だけなのを気にしてくれる。

魔物の暴走を止めるだけだから、何とかなるかな。


「わかりました。それでは、お気をつけて。」


了解。

それじゃあ、ちょっと道を作ろうか。


「えっ、何?」


サフィがよくわかっていないみたいだけど、構わないよね。

俺は魔力を溜めて圧縮し、前方に押し出してみた。

体から何か抜けるような感じがしたけど、それほど多くない。

空気の塊のようなそれは、前方を真っすぐに登っていく。

辺りにいた魔物は弾き飛ばされて、脇の方に転がっていった。


「さすがでございますな。何とも凄まじいもので。」


ジンさんが呆気にとられたように呟いている。


「今のうちに上に行って火を消してください。」


俺がそう言うと、サフィとジンさん、リーシャを抱えたモーリスが、魔物が弾き飛ばされた道を駆け上がっていく。

さて、こっちの魔物はどうしようか。

これだけ魔物が多いと、いちいち個別に対応してられないね。


三人娘と俺は、登ってきた道を少し降りて開けた場所に陣取った。


「シンジ様、どうしますか?」


サクヤがどうしたらいいか聞いてくる。

そうだね、ちょっと大きめに結界を張ってみようか。城壁みたいに。


「えっ、そんなことできるんですか?」


まぁ、ちょっと頑張ってみよう。


俺は山へ向かって両手を広げて目の前に城壁をイメージする。

そしてそれを左右に広げていく。

すると半透明の城壁のような物が左右に長く伸びていく。

さすがにひと山全部を囲うわけにはいかないけど、ここを基点に数キロは伸びているから何とかなるかな。

基点のところは幅数メートルくらい空けておく。

ここから漏れてきた魔物は討伐しようか。


俺たちから離れたところで山を下りてきたウルフが、半透明の壁にぶつかり先に進めなくなっていた。

これなら大丈夫かな。

下には魔物たちが行けないけど、どれだけの魔物が山を下りてくるのかわからない。

結界は一晩くらいは保つから大丈夫だろう。


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