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たのまれごとは旅路のはじまり  作者: 多田シロー
第三章 精霊王の錯乱
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87 イシュルの森 その二

イシュルの森は魔物が多い。

ビッグボアや一角兎にオーガもいた。


「やっぱり、ヴォルフ大森林が近いから魔物も多いのかしら。」


「そうさな。この辺りはサフィーネの言う通り大森林に近い。あの山の向こうはすぐ大森林だから影響が出やすいのであろう。」


サフィの呟きにジンさんが答えている。

やっぱり大森林が近いと大変なんだね。



レミたちが大活躍してオーガや一角兎を倒してからも様々な獣や魔物に出会った。

まぁ、みんな倒してアイテムボックスに収納したけどね。


レミたちが頑張ったから、連日一角兎やビッグボア祭りだった。

子供たちは大喜びなんだけど、さすがにそろそろあっさりしたものが食べたいな。

それでも醤油や味噌が手に入ったから、たれのバリエーションが増えていろいろな味が楽しめるようになった。

それにお米もあるし、焼肉なんかやった日にはご飯が食べ尽くされそうだ。


ミスズさんからは三十俵ほど買ったはずなんだけど、ものすごく減りが早い。

まぁ、食べ盛りの子たちがいると思えばいいかな。それにしても、この勢いだと魔王国に行く頃にはミスズさんのところに米を買いに行かないといけないかも。


食べ物のことは追々考えるとして、レミ、ニナ、サクヤの三人娘の戦闘力アップがハンパない。

それなりの武器を持たせたらビッグボアでも倒しそうだ。


レベルがあるわけじゃないから定量的な強さはわからないけど、少なくても出会った頃に比べれば格段に強くなった。


「…レミ、そっち。」


「わかったのです。」


今もレミとニナがタイガー相手に戦っている。

後ろからはサクヤが魔法で補助している。

サクヤが本気で魔法を放てば、タイガーくらいだと簡単に仕留められる。

今はレミとニナがお互いの動きを確認しながら戦っているようだ。


でも、困ったことに俺の腕の中にいるお嬢様がさっきからウズウズしているようなんだよね。


「お兄、リーシャもするの。」


いやいやあなたフェンリルでしょ。氷の精霊王の娘なんだよね。いくら小さいといっても、森の獣くらい楽勝なんじゃないの。

魔法使ったらビッグヴァイパーも氷らせるでしょ。

戦いにならないと思うよ。


「むぅ、それじゃ強いのとするの。」


強いのってあなた、あとはレッドベアとか?

そんなの見つかるのかな。


「さがすの!」


へいへい。


リーシャと話しているうちに、レミたちはタイガーを倒したようだ。

さっさと血抜きして収納しておこうかね。


「この森の獣では相手にならないようですね。ちょっと魔物を連れてきましょうか?」


ジンさんが恐ろしいことを言ってくる。

お気持ちだけで結構です。

フォレストウルフやレッドベアの団体さんとか、面倒そうだ。

それに、子供たちの武器では魔物相手は難しいと思う。


「そうですか。それなら神殿の宝物庫にあるものを持ってきましょう。」


ジンさんは、言うが早いか一陣の風となって消えてしまった。

何てこったい。あの神殿に宝物庫なんてあったの。

トンデモない物持ってこないよね。


そんな感じで戦々恐々としていると、目の前に風が集まり渦を巻きだした。


「お待たせしました。あの娘たちによさそうな物がありました。」


風が止むとジンさんが現れ、レミとニナを呼んでいる。


「そなたたちによさそうな剣を授けよう。レミには両手剣ウシュムガルドを、ニナには双剣ウムダーレイジだ。」


いやいやジンさん、何てもの持ってくるんですか。

レミに両手剣なんて大きすぎますよ。って、あれ、レミがきれいに剣を振ってる。あの両手剣、重そうなんだけど。

ああ、両手剣が縮んでいく。一メートルほどあった剣が六十センチくらいになってしまった。


「ありゃりゃ、小さくなったのです。」


「ふむ。その剣は使用者に合わせて大きさが変わるのだ。お主が成長すれば、剣もまた成長するだろう。」


へぇ~、そんな便利な剣があるんだ。

まぁ、レミの体に合った長さみたいだから大丈夫かな。


ニナの方はどうだろう。双剣を振っているけど、うまく扱っているようだ。

こっちはもともとそんなに長くないから大丈夫かな。


「それからサクヤはこれを使うとよい。」


さらにジンさんはサクヤへ腕輪を渡した。


「その腕輪は、魔力の消費量を抑える物だ。魔法の威力には影響がなく、消費される魔力が少なくなる。」


「…えっ、そんなすごい物、わたしなんかがいただいてよろしいのでしょうか?!」


サクヤは戸惑い、俺を見てくる。


「せっかくジンさんが持ってきてくれた物だ。ありがたくいただいていいんだよ。」


「……わかりました。風の精霊王様、ありがとうございます。」


サクヤがジンさんにお礼を言うと、ジンさんは笑顔で子供たちを見る。


「これでこの者たちも魔物と渡り合えましょう。」


いや、そうですか。

……ありがとうございます。


「おじちゃん、ありがとうです。」


「……感謝。」


「うむ。大事に使うのだぞ。」


レミとニナは、早速剣を振って使い心地を試している。

その姿がまた様になっているのが不思議だ。


「あら、あの二人スジがいいからって、狩りの度にジン様から教えてもらっていたようよ。」


へぇ、そうだったんだ。

風の精霊王様の弟子ってことだね。

そう聞くととんでもない事に聞こえるけど。


「…確かにそうね。精霊王の弟子ってすごいわね。これまで聞いたことはないわ。」



レミとニナはジンさんに連れられて森の奥の方へと向かって行く。何かみつけたのかな。

マップを出すと、ビッグボアがいるのがわかる。

ジンさんがいるから大丈夫だと思うけど、念のためについて行こう。


「ちょっとそこで待っておれ。」


ジンさんがレミとニナに言い置いて、風になって飛んでいくと、ビッグボアがやってきた。ジンさんが追い込んでくれたようだ。

そのビッグボアにレミが向かって行く。その後ろにニナもついて行った。


ビッグボアがレミに突っ込んだと見えた瞬間、レミが右に飛びウシュムガルドを振るう。

ドンッ、と音がしたかと思ったらビッグボアの足が切り落とされた。前足一本をなくしたビッグボアは頭から地面に突っ込んだ。

そこへニナが飛び込み、ビッグボアの首筋へ双剣を奔らせる。それと同時に風が巻き、強く刃を通す。


あっという間の攻撃で、ビッグボアは動かなくなってしまった。

ジンさんが言う通り、あの二人は魔物を倒してしまった。


「うむ、龍の力が宿ると言われているウシュムガルド、風を呼ぶウムダーレイジ。しっかりと使いこなせそうだ。」


ジンさんは一人頷いて納得している。

あの剣って相当な業物なんじゃないの。


「風の精霊王様の神殿にあった物だからね。ただの剣とは思えないわ。」


俺が呆けていると、サフィがそう言ってきた。

レミとニナはトンデモない剣を手に入れたようだ。


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