表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
たのまれごとは旅路のはじまり  作者: 多田シロー
第三章 精霊王の錯乱
87/279

82 フォーメーション?

ガルーシャの森の俺が最初に気が付いた場所で一晩過ごし、翌日ベスビオス山へ向けて出発した。

この森の中には、テルステット共和国へ抜ける道があるそうだ。そこは馬車が使えるくらいに整備されているようなので、今はその道を探している。


それにしてもこの森は深いね。

日中であっても薄暗く、方向なんかサッパリわからない。これじゃあ簡単に迷子になれるよ。って、なったけどね。

そんな森の中をサフィや子供たちはものともせずに歩いている。ドランたち馬も、子供たちと一緒に気にせず歩いているように見える。

何だろう、俺がおかしいのかな。こんな森の中、道もないのに平気で歩いているのがちょっと信じられない。


「お兄ちゃん、大丈夫ですか。」


レミが後ろを振り向いて俺に声を掛けてくる。

俺とモーリスは、最後尾で皆の後ろを歩いているからだけど。

レミに心配されるようじゃマズいね。


「大丈夫だよ。レミもちゃんと前を見て歩くんだよ。」


「わかったのです。」


またレミは前を向いて歩き出す。

その手には、ラインの手綱が握られている。森が深く、木々が多いので馬から降りて歩いているからだ。

ニナはブラウ、サクヤはルシアの手綱を掴んで一緒に歩いている。

ドランは俺といっしょだ。でも、馬たちは賢いから手綱を放してもちゃんとついてきそうだ。


薄暗い森を俺たちはなるべく離れないように歩いている。

この森は結構危ない魔物が出るようだから、しっかり警戒していないといけないね。

マップを出して先へ進むと、左手の方からオークが三体ほど近づいてくる。

すぐにサフィとモーリスが気付いたようだ。


「レミ、ニナ、あなたたちは下がっていなさい。」


「何か来るですか?」


「む~、おーく~?」


レミは不思議そうにしているけど、ニナは気が付いたようだ。


「オークならレミが倒すです。」


「…アタシも~」


レミとニナがやる気だ。


「シンジ様、わたしも行きます。」


サクヤまで。


心強いと思えばいいのか、危ないからダメだと言えばいいのか微妙だね。


「シンジ様、ここはお任せしてもよろしいのでは? 幸い他の魔物の気配はありませんし。」


モーリスは賛成のようだ。

この子たちは前にも戦っているからね。大丈夫だと思ってるんだろう。


「訓練がてら戦うにはちょうどいいと思います。」


そういうことね。

だったらまかせてみようか。


「サクヤ、レミ、ニナ、左の方からオークが三体こちらに向かって来てる。もう少しで見えると思うけど大丈夫かい?」


「まかせて、なのです。」


「…ん」


「はい。大丈夫です。」


うん。力強いね。それじゃ行ってみようか。


「レミは右、ニナは左でわたしが最初に魔法を打つからそれまでは近づいちゃダメだよ。」


「わかったのです。」


「……らじゃ」


三人の戦い方はサクヤにまかせる。

いろいろと考えているみたいだからね。


そうしているうちに、先頭の一体が姿を見せた。

それと同時にサクヤの風魔法が飛ぶ。どうやら腕を狙ったようだ。

オークの右腕がこん棒を持ったまま切り飛ばされた。


そこに素早くニナが走り込み首筋をナイフで切り裂く。

そのままオークは倒れ、絶命したようだ。

その後ろからすぐに二体目が現れるが、こちらにはレミが斬り込んだ。

早い。

二体目の意識がニナに向いているうちにレミが切りつけた。

こちらもすぐに倒れた。


一体目と二体目がすぐに倒されたのを見て、三体目は立ち竦んでいる。

そこにサクヤの魔法が飛んだ。

サクヤの風魔法は三体目の首筋に当たり、辺りに血飛沫を上げた。

首を斬られたオークは血を止めようと手を首に当てたけど、走り込んできたニナに止めを刺された。


あっという間に三体のオークは倒されてしまった。


「いやはや、見事ですなぁ。」


モーリスがなかば呆れながら声を掛けてくる。

ホントそうだね。キチンとフォーメーションを考えているようだ。

もうオークぐらいじゃ三人娘の相手にならない。


「お兄ちゃん、レミ頑張ったのです。」


「ああ、そうだね。偉いぞ、レミ。」


そう言ってレミの頭を撫でてあげる。


「……アタシも」


「ニナも頑張ったね。」


ニナも撫でてあげる。

すると、サクヤが褒めてほしそうな顔でこちらを見ている。


「サクヤもよくやったね。ちゃんと指示を出せて偉いぞ。」


「はい。ありがとうございます。」


そう言ってレミを撫でていた手を離してサクヤを撫でる。

三人ともすごいもんだね。

いつの間にあんなきれいに戦えるようになったんだろう。


子供の成長は早いというけど、こういうことを言うのかな?

ちょっと違う気もするけど。


あまりのんびりして他の魔物が出てきてもイヤなので、サクヤたちが倒したオークを収納し出発する。



魔物を警戒しながら歩いていると、段々と辺りが明るくなってくる。

木が少なくなったのかな。


「もう少し行けば道に出られるわよ。」


サフィがそう言ってきて、しばらく歩いていると


「道なのです!」


レミのうれしそうな声が聞こえた。

よかったよ。これで馬車が使える。


「お兄ちゃん、早く。道なのです。」


レミが俺を呼んでくる。

早く行かないとダメかな。


「森の中なのにこんなに広い道があるなんて…」


サクヤがちょっと吃驚している。

子供たちに追いついて森から抜け出すと、そこには幅の広い道があった。

確かに驚くよね。

あんなに深い森の中にこれだけ立派な道があるんだから。


「あとは馬車で行けるでしょう。ここで一休みしていきましょうか。」


サフィがそう言ってくる。

そうだね、一休みしようか。


いつものようにテーブルと椅子を出して休憩だ。

子供たちは馬の世話を始める。

それじゃあ、ご褒美にホットケーキでも用意しようか。

俺は子供たちのオヤツを用意する。


「この森を抜けるとテルステット共和国に入るけど、ちょっと山側を行きたいんだけど。」


オヤツを準備している俺に、サフィがそう言ってきた。

ん~、山に登るの? 大変じゃない?


「そんなに登らないわ。川を渡るのが大変だから上流側に行きたいの。それと私やあの子たちがいると面倒が起きるかもしれないからね。」


俺は別に構わないけど、面倒って何?


「テルステットでは奴隷の闇取引が行われているでしょ。首輪をしていない私たちを見れば、人攫いが寄ってきそうなのよ。」


ああ、そういうことか。

まぁ、日中なら俺とモーリスで何とかするし、夜は結界を張れば大丈夫だと思うけど、できれば面倒は起こしたくないね。


「でしょう。だからあまり人目につかないようにしたいの。」


わかったよ。どのみち俺は道を知らないんだし、サフィについて行くだけだね。


「ありがとう。じゃあお願いね。」


そう言うわけで、テルステット共和国では山側の道を行くことになった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ