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たのまれごとは旅路のはじまり  作者: 多田シロー
第三章 精霊王の錯乱
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81 始まりの地へ

バンデミル半島の封印を浄化してから、竜王様やミョルニルさんと出会ってドタバタしたので、そのままバンデミル半島で一泊した。

これからイシュベルク神聖帝国のベスビオス山を目指すことになる。

イシュベルク神聖帝国って初めてだからワクワクしているんだけど、サフィに言わせるとちょっと面倒な国らしい。


イシュベルク神聖帝国は古代文明の中心地だったところで、いろいろと遺跡が残っている。

それは物理的な遺跡だけでなく、人々の心に刻まれたものも含めてだ。

つまり神の粛清に遭ったことも、連綿と語り継がれている。


神の怒りに触れたことは大きなキズであったようだ。

そのため神に対して敬虔な者が多く、過剰に反応する者もまた多い。


そのことは神の遣いとしての俺の立場にも大きく関わってくる。

おおいに崇める者もいれば、激しく敵対してくる者もいるだろう。

聞いているだけでウンザリしてくる。


まぁこれまで通り俺のことはナイショでいくけどね。


ベスビオス山へ行くには、ガルーシャの森から真っすぐ北上することになるらしい。

途中に大きな川があるので、山側に迂回したり、谷を越え森を抜ける必要があるみたいだけど。


ガルーシャの森へは、俺が最初に気が付いた泉のある場所へ転移しようと思う。

あそこが一番イメージしやすいんだよね。



ということで、旅の準備を始める。

携帯ハウスを収納して、皆で転移する。


ホントに一瞬で俺がこの世界に初めて訪れたガルーシャの森に着いた。

森の中が開けていてとても気持ちのいい空間だ。

ここへ来てまだ半年も経っていないはずだけど、この場所が妙に懐かしい。


「お兄ちゃん。もうガルーシャの森に着いたですか?」


「そうだね。ここはガルーシャの森だよ。俺が初めて気が付いた場所だね。」


「へぇ、ユリアーネ様はシンジをここに連れてきたの?」


サフィがそう聞いてくる。


「連れてきたというか神様と話し終わった後、ここで気が付いたんだよ。」


「そうだったのね。」


サフィはそう言うと、辺りを静かに見回した。

森の中だけどちょっと開けて明るい空間。

端の方には泉もある。


「とっても気持ちがいいのです。」


そう言うとレミは泉に向かって走り出した。

その後ろをニナが追う。


しゃがみ込んでいたリーシャが顔を上げて


「このおはな、ポカポカするの!」


そう言ってニッコリ笑う。

そうだね、と声をかけて頭を撫でるととてもうれしそうにする。


「この辺りはマナが溢れているみたいね。」


サフィがそう言ってくるけど、正直俺にはよくわからない。

リーシャの言うポカポカと関係あるのかな。


「来たばかりだけど、今日はここで休んでいかない?」


サフィが、今日はお休み宣言する。

まぁ、いいけどね。


「このお水、冷たくて気持ちいいのです。」


「……冷たい、………アイス?」


レミが泉に手を入れて涼んでいる。

でもニナ、冷たいからってアイスを連想したのかい。

それとも今日のオヤツにアイスを要求してるのかな。


「このお水、おいしいの。」


いつの間にかリーシャが泉の水を飲んでいる。

ありゃ、マズいよ。そのまま飲んで大丈夫なの。


「精霊王の子供だからね。そのくらいはわかっているわよ。」


サフィは全然心配していないみたいだ。

それならいいのかな?


「毒の有無や、口に入れても大丈夫かどうかの見分けぐらいできるでしょう。」


やっぱり人間の子供とは違うってことかな。

だったらいいんだけど。


「おお、ホントにおいしいのです!」


レミもリーシャに言われて泉の水を飲んでいるようだ。

そんなにおいしいのかな。ちょっと気になる。


レミたちがいる泉まで歩いて、手で掬った水を飲んでみる。

うん、確かにおいしい。


「ここはマナが多くて、とてもいいところね。木々や土地だけでなく、あらゆるものに恩恵があるようだわ。」


へぇ、ハイエルフにはそういうこともわかるんだ。


「そうね。でも、エルフでもわかると思うわよ。」


そうなんだね。


「エルフの森以外にもこんなところがあったのね。」


うれしそうにサフィが言う。

それじゃあ、今日はゆっくりしようか。

俺はアイテムボックスから携帯ハウスを出した。

ついでにテーブルと椅子を作り、オヤツタイムだ。


「おお、アイスなのです。」


「……らっきぃ」


「アイスなの。すてきなの!」


ニナに催促されたからね。

果物も取り出してアイスにトッピングしていく。

森の中、木漏れ日を浴びてオヤツタイムってとっても優雅な感じだ。

こんなところに住んでみるのもいいかもしれない。


「そうね。ここはとても落ち着けるいいところね。」


サフィがそう言ってくる。

そう言えば神様に言われて旅を始め、いつの間にか封印の浄化なんてやっているけど、浄化が終わったらどうしよう。

あちこち行かなくてもいいなら、こんなところに住みたいね。

ぼんやりとしながら、そんなことを考えていた。


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― 新着の感想 ―
[一言] 宗教国家にワクワクとか(笑)
2021/12/16 15:38 退会済み
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