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たのまれごとは旅路のはじまり  作者: 多田シロー
第二章 古代の封印
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76 竜王様驚愕

バンデミル半島にある封印を浄化すると、遠く東の空からドラゴンである竜王ゼルギウス様がやってきた。

子供たちは熱烈大歓迎だったけど、落ち着いて話をしたかったので、今は席を外している。


竜王様はマナや瘴気が気になって各地の封印を見て回っていたようだ。

その竜王様にバンデミル半島で出会い、携帯ハウスの中で俺たちは話合った。と、言うより竜王様の昔話に付き合ったという方が正解かもしれない。竜王様は話し相手が欲しかった年寄りのように、ちょっとうれしそうに語り始めた。



「ワシはのう、聖戦の折は生まれてまだ三百年ほどであった。あの頃のワシは神々の戦いなど恐ろしゅうて近寄ることもせなんだ。」


「あのときは神々だけでなく、神に付き従う天使や精霊王たちも戦っていた。大地は燃え、海はなくなってしまうかのような勢いであった。」


「そして戦いが終わり、ユリアーネがあ奴を封印したあと、ワシに封印を見ておくよう言いつけたのじゃ。何故ワシにそんなことを言うたのか、ワシにはわからんかったが、今このときに聖戦を知っておるのが精霊王以外ワシしかおらんことを思うと、そういうことなのじゃなと思わせられる。」


「聖戦の後、ワシはユリアーネに言われた通り、定期的に封印を見て回っていた。何百年も何千年もじゃ。」


「正直、飽きてしまってのう。いつ見に行っても変わり映えのない黒い石など、監視してもしょうがないと思うようになった。」


「そのうちに眠りの時間が長くなってのう。これは古龍と言われる存在にとってはどうしようもないことじゃが、歳を取るとそれに見合う眠りが必要になってくるのじゃ。」


「そうしていつの間にか封印が弱まり、魔王がおかしくなり狂王と呼ばれるようになっておった。聖戦のときほどの激しさはなかったが、大陸の東側では大騒ぎになっておった。」


(これってさぁ、この爺さんが寝てたのがマズかったんじゃないの?)、(…そんなこと言っても古龍には眠りが必要だって竜王様も言ってるじゃない。仕方なかったのよ。)、(古龍ともなれば、状況の変化を検知する方法がいくらでもあると思うのですが……)

話しに夢中になっている竜王様に気付かれないよう、俺たち三人は小声で話した。


「封印が弱まり瘴気が強くなってくるといろいろと不都合なことが多くなってきてのう。普通に生活している者が突然呪われたり、魔物が強化されたりするものじゃ。そんな混乱が大陸に広がるのをユリアーネは心配し、一人の若者に神託を与え勇者としたのじゃ。」


「勇者は魔王を倒し、混乱を収めた。そうして封印も元の力を取り戻し、瘴気の噴出が鎮まった。」


「あれから千年の時が経ち封印の監視を続けておったが、ワシも心地よく眠れるようになってのう。気が付いたらまたマナが減り瘴気が増えておったのじゃ。狂王の時のように。」


「今回、ユリアーネに言われてマナの状況を見てきたが、いつの間にか以前に比べて薄くなっておった。どうしたことかと思っておったら、竜王国にある封印はマナを吸収し、瘴気を出しておるではないか。」


(つまり神様に言われるまで寝てたと。)、(……………)、(あれですな、リーシャお嬢さんが言う通りかと思われます。)


「仮にも創造神を名乗る者に後を任されて、知らぬ間に状況が悪くなっておったとなれば何を言われることやら。千年前のときは魔王を諫め、ユリアーネの神託を受けた若者を陰から手助けしたが、此度はどうなるかわからん。さらに面倒なことになるやもしれん。」


「正直、ヤバいと思うたのじゃ。何せ二回目じゃからのう。それにしても、ユリアーネは古龍には長い眠りが必要じゃとわかっておるハズなのにワシに投げっ放しにしおったのじゃ。ワシだけが悪いわけではない。」


(もうさぁ、開き直りのただの愚痴だよねぇ。)、(竜王様……)、(こういう年寄りにはなりたくありませんなぁ。)


「そう思っているうちに瘴気が弱まってきた。この短期間の間に瘴気が増えたり減ったりと、あまりにもおかしい。そう思って各地の封印を見に来てみたら、ウラル半島とモデナ島の封印が真っ白になっており、マナの吸収も瘴気の噴出も見られなかった。」


(ひょっとして、俺ってこの爺さんの尻拭いしてたってこと?)、(……そんなこと、ないと思うわよ。たぶん……)、(まぁ、事前に気が付いたとしても、竜王様では対応が難しかったと思うのがよろしいのではないかと。)


「それでさらにバンデミル半島の封印を見に来たらお主らがいたということじゃ。」



竜王様の長い語りに、俺たち三人は顔を見合わせる。


(ホントの事、言った方がいいのかしら?)、(言っても大丈夫なのですか?)、(年寄りの愚痴と開き直りで、ここで暴れられても止められないよ)それぞれの心の声が聞こえる。


「どうしたんじゃ、お主ら? 何か言いたいことがあるなら言うてみい。」


やっぱり黙っているわけにはいかないよね。三人でチラチラ視線を交わすが、これはしょうがないね。俺が言うしかないか。

俺は諦めて竜王様に話すために口を開いた。。


「封印を浄化しました。浄化できたことは水の精霊王アクエス様に確認していただきました。」


「んなぁ!? 何だって?」


竜王様はこれでもかと目を見開き、口を大きく開けて絶句している。そのアゴ、はずれたりしないよね。


「ですから、ウラル半島、モデナ島、バンデミル半島の三つの封印を浄化しました。最初にウラル半島の封印を浄化したとき、アクエス様に浄化できていることを確認していただきました。」


「………じょ、浄化じゃと? そのようなことができるのか? ユリアーネはお主にそんな力を持たせたとは言うておらんかったし、あ奴が封印されてから一万年、封印を浄化できる力なぞ聞いたこともないわ。」


「私にも何で浄化出来たのかわかりません。」


「アクエス様が仰るには、シンジが持っているマナは神の気配がするとのことでした。ですから封印にシンジのマナを流せばその神気によっていい影響が出るのではないかということで試してみたのです。」


サフィが見かねてアクエス様と話したときのことを説明してくれる。


「試した結果、浄化できたということか?」


「そうです。」


「なんということじゃ……」


やっぱりマズかったのかな。アクエス様からはそういう雰囲気は感じられなかったけど。むしろジャンジャンおやりなさい的な雰囲気だったような。


「勘違いせんよう言うておくが、封印を浄化したことは間違いなく良いことじゃ。そのことについて何か問題があるわけではない。問題なのはお主じゃ。」


そう言って竜王様は俺を見る。


「お主身体は何ともないのか? あの封印を浄化できるほどマナを流し込んだということは、相当な量を使ったと思うのじゃが。と言うか、そもそも封印を人が浄化できるなど思いもよらんわい。」


「そう言われましても、特におかしなところはありませんが……」


「ん、いや、ちょっと待て。お主おかしくないか? 何故ヒト族のお主がこれほどのマナに耐えられるのじゃ?」


ん、どういうことかな?

神様にはマナと相性がいいみたいなことを言われたけど。


「神様はマナと馴染みやすく、珍しいとか言ってましたけど。」


「いや、珍しいで済む話ではないのじゃが……」


竜王様は呆れたような顔をしているけど、何のことかわからないし、俺の方が教えてほしいよ。


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