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たのまれごとは旅路のはじまり  作者: 多田シロー
第二章 古代の封印
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75 竜王様御入来

バンドウの封印を浄化したことで、三つの封印が浄化されたことになる。

あと大陸の西側で残っている封印は、イシュベルク神聖帝国のベスビオス山だけだ。


ここまで順調に封印を浄化できていることに意外さを感じるけど、同時にほっとしている。

もっと面倒事があると想定していたけれど、封印が遠いところにあること以外問題はない。


そんなことを呑気に考えていると、東の方角から強い気配を感じた。空を見上げても特に変わった様子は伺えない。それでも圧倒されるような気配は続いている。そのうち空に黒い点が見えた。

何かなと思っていると、黒い点がみるみる大きくなっていく


「あれは、まさか……」


その黒い点に気付いたのか、サフィは空を見て絶句している。モーリスはサフィの視線の先に気付き、黙って空を見つめている。


そんなサフィとモーリスの様子をよそに、黒い点はだんだんと形を現していった。背中に大きな羽根が見える。そして、顎は大きく前に伸びているようだ。あれってドラゴンなんじゃないの?

黒い点は大きな羽根を持つ巨体で、手足の長いトカゲかワニのように見える。やっぱりドラゴンだよね。


「かっこいいのです! まるでおとぎ話のドラゴンのようなのです!」


「ビューティフォー! あの大きな翼、燃える!」


「もうろくジジィなの。」


「いやいやいや、みんな何言ってるんですか! あれはどう見てもドラゴンでしょう。しかもたぶん古龍様ですよ。」


レミたちは大燥ぎだ。両手を上げてバンザイしながら飛び上がっている。ちょっと落ち着いた方がいいかな。

でもリーシャ、やけにキビシイこと言ってるね。


「ははうえが言っていたの。」


そうなんだ、リルーシャさんも随分辛口だね。ドラゴンと何かあったのかな?


そうしているうちも、レミたちの興奮は収まらない。


「ドラゴンさん、ブレス出してほしいのです!」


「おおお、跡形もなく燃やす?」


いやいや、燃やしちゃダメだから。


そんな子供たちの燥ぎっぷりをよそに、黒いドラゴンは俺たちの頭上を二、三回旋回すると地上に降りてきた。

その着陸に合わせて風が巻き起こる。かなり強い風だ、このままじゃ危ないね。俺は子供たちが飛ばされないように、皆の周りを結界で覆って風に巻き込まれないようにする。

それでも地上に降りてくるドラゴンの姿に感動したのか、レミたちは両手を上げてバンザイしている。


ドラゴンは風を巻き起こし砂埃を上げながら着地し、こちらを伺っている。


「シンジ、ダメよ! あれは竜王様よ。」


いや、ダメよって俺がドラゴンに何かすると思ってるの? サフィ。ドラゴンって最強種でしょ。平凡なヒト族に何ができるって言うの。


「向こうが仕掛けてきたら、あなた容赦しないでしょ。」


「そうだけど、俺でもできないことはあるよ。」


人を何だと思ってるのかな。


「いいえ、あなたの魔法なら竜王様にも通用すると思うわ。」


そんなもんかねぇ。


「お兄ちゃん、ドラゴンさんと戦うですか?」


レミが目をキラキラさせて、ワクワク顔で聞いてくる。

レミよ、お前は俺に死ねと言うのか。お兄ちゃん悲しいよ。


「……シンジ兄なら勝てる。」


ニナ、ありがとう。でも何故俺が戦うの前提なの。


「もうろくジジィは寝るだけなの。寝たら火で燃やせばいいの。」


リーシャさん、キツイっすね。



子供たちの燥ぎっぷりをよそに、ドラゴンはしばらくこちらを伺っていたが、やがて煙と共に消えた。

いや、小さくなって人型になったようだ。杖をついたお爺さんがいる。


「ドラゴンさんが爺ちゃんになったのです!」


レミが目を丸くして吃驚している。

まぁ、フェンリルが妙齢のお姉さんになるくらいだから、ドラゴンが爺さんになるのもありなのか。


「ゼルギウス様、お久しぶりでございます。」


「おおっ、そなたはサフィーネか? しばらくじゃのう。」


あれ、サフィの知り合いなの?

そういや竜王様とか言ってったっけ。


「して、そちらの若者がユリアーネの遣いかの?」


杖をついた爺さんが俺を見ながら声を掛けてくる。

黙っているわけにはいかないよね。


「はい、シンジと申します。」


一応俺も名乗っておこう。


「こちらの嬢ちゃんたちはどうしたのじゃ。」


爺さんが怪訝そうに聞いてくる。

レミたちの燥ぎっぷりがすごかったから、何事かと思っているんだろうか。


「この子たちは私の旅の仲間です。」


竜王様はそれを聞いて納得したような、そうでないような微妙な顔をしたが、スルーすることにしたようだ。

でもリーシャに視線を移したときに軽く目を見張った。


「その娘はまさか……」


「…そうです。氷の精霊王リルーシャ様の娘さんです。」


サフィが竜王様に答える。


「リルーシャめ、いつの間に……」


竜王様はブツブツと何か呟いていたけど、よく聞こえなかった。


このままでは話も儘ならないので、落ち着けるように携帯ハウスを出して中で話すことにした。

いつものようにアイテムボックスから携帯ハウスを出すと、


「おお、お前さんは随分と魔力を持っておるようじゃのう。」


竜王様は目を見張って感心していた。



先導して俺が先に入り、皆が続いて家に入ってくる。

子供たちはサクヤが二階に連れて行った。これから話し合われることに遠慮したのかもしれない。ホント大人みたいな気づかいができる娘だよ。

リビングでサフィ、モーリス、俺と竜王様はお茶を啜っている。どうにもこの緊張感のなさが気になる。


「ワシが寝ている間に大分マナが薄くなっていたようじゃ。」


おもむろに竜王様が口を開いた。

でも、やっぱりリーシャが言っていたように寝ていたんだ。


「ユリアーネに言われるまで気づかなんだわ。」


えっ、神様に会ったの? それともサイリース陛下みたいに念話なのかな。


「それにしても瘴気がもっとひどくなっているかと思うたが、それほどでもないようじゃ。マナの濃さも思っていたほど悪うわない。オカシイと思ってウラル半島とモデナ島を見てきたら封印が真っ白になっておった。それで慌ててここへ来てみたのじゃが…」


う~ん、封印を浄化しましたって言ってもいいの?


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