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たのまれごとは旅路のはじまり  作者: 多田シロー
第二章 古代の封印
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69 ガインの王都にて その二 王城

立派な馬車で連れてこられた王城は、これまた大きく立派な城だった。

獣王国の王城に勝るとも劣らぬ豪華な城だ。レンガのように大きさを整えられた石で組み上げられた西洋式の建築物は、見るものを圧倒する。


ここまで俺たちを案内してくれた執事さんに従って、城の中にある客室に通された。お城に入るときに、警備の人たちがレミたちのカードを二度見していたのはご愛敬である。さすが獣王様発行のカードだ。しかも四人もいれば驚くよね。


俺たちは案内されたこの部屋で過ごすらしい。この部屋に案内されるまでに俺たちとは別に案内されたサフィとモーリスがやってくる。


「私も同じ部屋で過ごせるようお願いしたわ。」


「私もこちらでご一緒させてください。」


サフィとモーリスは別の部屋に案内されたらしい。やっぱり王族や貴族はそれなりに扱われるんだね。でも同じ部屋っていいのかな。確かにここには寝室がいくつもあるみたいで、ペントハウスみたいな感じだから一人や二人増えてもどうってことはない。


「私たちは正式に国の使いというわけではないから、皆と一緒でいいわ。その方が気楽だし。」


なるほどね。まぁ、これまでと何も変わりはないからいいんじゃないかな。

そうして話していると、扉がノックされて先ほどの執事さんが入ってくる。


「ラインバッハ辺境伯様がこちらで面会したいと希望されていますが、いかがいたしましょうか。」


へぇ、ラインバッハの領主様がここにいるんだ。ここってオリバ村から遠くなかったっけ。


「そうね、ラインバッハの辺境領は国の北端で、王都は南端だから真逆よね。」


「たまたま国王陛下へお会いする用がおありだったそうです。それで王城を尋ねたら、シンジ様がいらしたことを耳にしたようです。」


執事さんが答えてくれる。

ふぅ~ん、そうなんだ。偶然だね。

そう言えば、関所を通った時のこと、迷惑かけていないかな。


「そんなこと気にしなくても大丈夫よ。」


そんなものかな。まぁ、断る理由もないから会おうか。


「それではこちらへお通しいたします。」


執事さんが出て行ってほどなくすると、ラインバッハの領主様が部屋に入ってきた。


「ごきげんよう、変わりないかな。そちらのお嬢さん方も久しぶりだ。」


ニコニコしながら挨拶をしてくる。

貴族ってこんなにフレンドリーなのかな。よくわからんけど、喧嘩腰でいられるよりはいいよね。


「その節は大変お世話になりました。用意していただいた馬車のお陰で、ここまで快適に旅を続けて来れました。ありがとうございます。」


一応感謝しておこうか。


「そなた、国王に余計なことを吹き込んだのではあるまいな。」


俺のあいさつに、間髪入れずサフィが口を開いた。どうも相手がヒト族だとトゲトゲしいね。


「何を仰いますか。私から、件の闇取引とインフェルノウルフについて報告はしました。国の危難を黙っているわけにはいきませんからな。そして、それを知った陛下は(いた)く感謝しておいでなのです。ぜひ直接会って礼をしたいと仰せでした。」


ああ、やっぱり領主様から報告がいってたのね。だからこうして捕獲されたのかな。それにしてもよく港にいるってわかったよね。


「実はガイン王国のアルフレッド陛下と獣王国のバルガン陛下とは、国同士の同盟ということもあり、大変仲が良いのです。お二人は頻繁に手紙でやり取りしておりまして、つい先日もバルガン陛下から手紙をいただいてその中にシンジ殿のことが書かれていたと仰ってました。」


えっ、王様同士がメル友なの。なんでそこに俺が出てくるの?


「あの脳筋陛下に、シンジは大分気に入られたみたいね。」


サフィが小声で耳打ちしてきた。

え~、何かすごい不本意なんだけど。


「それで、もしお急ぎでなければ皆さまとお会いして、歓迎パーティーを開きたいと仰せなのです。」


領主様は俺たちを見回しながらそう言ってくる。

まぁ、急ぎたいのはやまやまだけど、バンドウまでの船が手配できなければ身動きがとれないんだよね。

でも歓迎パーティーってどういうものなの。一般人には想像がつかないんだけど。貴族がいっぱいいて、挨拶したりダンスしたりは俺にはムリだよ。


「シンジはあまり仰々しいパーティーは望んでおらん。会食するぐらいがせいぜいだ。」


俺の気持ちを察してくれたのか、サフィがそう答えてくれる


「それは………。わかりました、陛下にはそのようにお伝えいたしましょう。」


領主様はちょっと残念そうな顔をしているけど、一般人メンタルな俺に貴族のマナーはムリだと思う。


「パーティーの前に、陛下とお会いしていただくのは構いませんか。」


領主様が再度聞いてくる。

会うぐらいは別に構わないけど……、あっ、ひょっとして謁見の間みたいなところで、貴族がいっぱい並んで王様の前に出るやつのこと?

あれはムリ、やめてほしい。


「アルフレッド陛下は接見をお望みか? そうでなければ個別に会ってもらうのがいいと思うが。」


「できましたらシンジ殿たちに謁見してもらうのがよろしいと思いますが、陛下に確認してみます。」


お願いします。

貴族が並んでいる中で王様に会うなんて、どんな罰ゲームだよ。勘弁してください。


ラインバッハの領主様は俺たちに王様と会うことを確認すると退室していく。何か領主様が使いっ走りみたいで申し訳なくなった。

領主様が出て行ってほっとしていると、


「また王様に会うのですか?」


「王様楽しい~?」


レミとニナが寄ってきた。

獣王国の王様とは仲良くなったから、王様ってあんなものだと思っているのかな。あれは特殊だと思うけど。


「ガインの王様は獣王国の王様と違うから楽しくないかもしれないわよ。」


「そうです。獣王様は特別だと思いますよ。」


サフィとサクヤがレミたちに言い聞かせている。

そうだよね、レミたちには注意しておかないと不敬だなんて言われたら大変だ。



領主様が出て行った後も皆で話をしていると、執事さんが部屋に入ってきた。


「皆さま、誠に恐縮ですがこれから応接室まで御移動願えますか。我が主がお会いしたいそうです。」


う~ん、応接室で会うんだ。謁見じゃないってことかな?


「そうね、私的に会うということでいいんじゃないかしら。」


それじゃ、服装とかどうなの。このままで大丈夫?


「特に何も言わないから、大丈夫じゃない。」


そういうことで、急遽王様と会うことになった。ちなみに会うのはサフィとモーリス、俺の三人だけだ。サフィとモーリスは軽く頷き合っているけど、何かあるのかな。まぁ、気にしても仕方ないか。

子供たちは部屋にいることになった。サクヤがいるから大丈夫だよね。走り回って物を壊したりしないように。


「大丈夫です。シンジ様、お気をつけていってらっしゃいませ。」


そう言ってくれるので、サクヤにまかせた。



執事さんに案内された部屋はそれほど広い部屋ではなかったが、十分ゆったりと落ち着けるような趣の部屋だった。部屋には大きなテーブルがあり、二人のおじさんが座っていた。一人はラインバッハの領主様で、もう一人は立派なガウンのようなものを着た威厳のあるおじさんだ。

その二人の対面に俺たちは座り、執事さんが紹介してくれた。


「我が主、アルフレッド・ミル・ガイン国王陛下にございます。」


威厳のあるおじさんが国王だったようだ。


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