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たのまれごとは旅路のはじまり  作者: 多田シロー
第二章 古代の封印
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51 再び湖へ

サイリース陛下たちと話し終えて、食事をいただき泊まらせてもらうことになった。

ひとり部屋で考えているけど、神様はただ世界を巡ってほしいと言っていた。封印のことは何も言っていなかったけど、今のこの世界の状況を知っているなら、何とかしたいと思うだろうな。

世界を巡るということは、あちこちにある封印を見て回ることもできる。世界の封印の状態を見てくれば、何ができるか考えることができるかもしれない。


やっぱり封印を見て回ろう。小さいリーシャが一緒だけど、見て回るくらいなら危険はないだろう。

そう言えばレミとニナはどうするのかな。これからタリシュの森へ行くけど、家族がいないんだよな。部落での様子を見て、俺が引き取ることも考えないといけないかな。リーシャがいるし小さい子が増えるのは少々不安だけど、あの子たちの笑顔を曇らすようなことはできない。



翌日、サイリース陛下たちに見送られて屋敷を出た。

これからタリシュの森を目指すけど、その前に狐人族の里に寄ってレミとニナを連れてこないといけない。俺はそう思いながら狐人族の里を尋ね、サクヤの屋敷に向かった。


「お兄ちゃん、お帰りなのです。」


「ああ、ただいま。いい子にしていたかい。」


「レミたちはみんないい子なのです。」


「ははは、そうだったね。」


サクヤの屋敷に着いてすぐ、レミとニナ、サクヤが出迎えてくれた。


「随分と早かったのですね。もう少しかかると思っていました。」


サクヤは、迎えに来るのはもう少し遅くなると思っていたようだ。

エルフの森でのサフィの高速移動があったから、こんなに早く迎えに来れた。ほんと、怖いくらい早かった。

ここまでの移動は早かったけど、今日は泊まらせてもらって、明日出発することにした。


夜、食事が終わってサフィとまったり話していると、サクヤが真剣な顔をしてやってくる。


「どうしたんだい。」


「シンジ様、リーシャがシンジ様についていくと聞きました。…わたしもご一緒させていただけないでしょうか。」


「それは……」


俺が言い淀んでいると、サフィが話に入ってきた。


「あら、いいんじゃない。リーシャにはサクヤみたいなお姉ちゃんが必要なんじゃないの?」


そうかもしれないけど、世界中を旅することになるんだ。魔物にだって襲われるだろう。危険じゃないかな。


「シンジ様、何卒娘を御供に加えていただきますようお願いいたします。」


いつの間にかカグラさんが来ていて、サクヤ共々頭を下げている。


「あなたはこの世界では初めての神の御遣いなの。」


サフィが神妙な顔をして話を始める。


「神はこの世界に顕現することはできないとされているわ。だからお婆様や精霊王様たちに神託を下されていたのよ。精霊王様にしてみれば、神の御遣いに触れ、神の意思を感じたいと思っているでしょう。だからリルーシャ様はリーシャをあなたに託したの。」


「我々狐人族はヒト族のみならず、他の獣人種からも迫害されてきました。他の獣人族からすれば圧倒的に長い寿命や、魔法を発現できる我らに思うところがあるのでしょう。そのためこうして里に籠り、積極的に外と関わらないようにしています。ですが、こうして逼塞していては緩やかな破滅を迎えかねません。そのようなことにならないように、サクヤには広く世界を知ってほしいのです。」


サフィとカグラさんがそう説明してくれる。

なるほどね。俺はただ旅を続ければいいと思っていたけど、この世界の人にとっては神の遣いって結構大事なものなんだね。あまり軽く考えると変な軋轢を生むかもしれない。もっと注意しないといけない。


「もちろんここまで一緒に旅してきて、あなたならこの子が一緒でも大丈夫だと思ったから、こうして勧めているのよ。」


サフィがそう締めくくった。

まぁ、これまでも皆が一緒で楽しかったし、これからも楽しみながら皆と旅ができると思えばいいか。


「…わかりました。サクヤを連れて行きましょう。」


俺はカグラさんにそう伝える。

サクヤはそれを聞いて嬉しそうな顔をして俺を見上げてくる。


「ありがとうございます。どうかよろしくお願いいたします。」


カグラさんも嬉しそうにお礼を言ってくる。

まぁ、サフィも一緒にいることだし何とかなるかな。



結局エルフの森に来た時から旅の仲間は変わらずに、エルフの森を出ることになった。いろいろと思うところはあるけれど、みんな一緒に旅が続けられてよかった、と思うことにしよう。



次の目的地はタリシュの森になるけど、これが結構大変らしい。それと言うのも、川を渡って山越えしなければならないからだ。しかも山越えに至っては道がないらしい。ちょっとそのルートはムリだよね。


来るときは湖を渡ってきたから感じなかったけど、エルフの森って周りから孤立している感じっぽい。さすがエルフだ。湖を渡らなければ、かなりキツい山と川に囲まれている。


と言うわけで、タリシュの森へ向かう今回も湖を渡ることとなった。双胴船を作ってよかったよ。ほとんどネタ扱いかと思ったけど、こんなに活躍してくれるとは。


エルフの森を出て丘を下りればすぐ湖だ。

レミたちが暑そうだったので、湖で遊んでキャンプすることにした。と言っても携帯ハウスを出すだけなんだけど。


湖の畔の良さそうなところで休憩の準備を始める。いつものようにテーブルと椅子を出して皆に休んでもらっている間に、平な場所で家を出す。子供たちは湖の方へ走って行ってしまった。

俺は前に使ったボディボードを出して、子供たちの後を追う。


いつの間にかなんちゃって水着に着替えていた子供たちは、湖に入って遊んでいる。この辺りは一部砂浜になっていて、遊ぶにはちょうどいい感じだ。

レミたちは、俺が持ってきたボディボードに乗っている。サクヤは足をちょっと水につけるだけで、波打ち際にいる。

俺は双胴船に乗って湖を渡っているときを思い出し、サクヤに泳ぎを教えようかと思った。


「サクヤ、ちょっと泳いでみないかい。」


「あ、いえ、わたしは…」


水が怖いのかな。そんな感じには見えなかったけど。


「その、泳いだことがないのでどうなるかわからないんです。」


そういうことなら、すぐに泳げるようになるかもしれない。

俺はサクヤの手を取って、腰まで水につかる。サクヤにはバタ足をさせて軽く手を引いていく。この感じならビート板を持たせれば泳げそうだ。


俺は浜辺に上がり、予備のボディボードを削ってみた。小さくなったボードをサクヤに渡してもう一度湖に入ってみる。変に力が入っていないので、サクヤは簡単に水に浮いている。これなら大丈夫だ。

そのままバタ足をさせると、


「わあ、前に進んでます。」


サクヤは一人で泳げるようだ。ビート板付きだけど。

でもとても楽しそうだ。

サクヤは真面目だから、今みたいに遊ぶときは目一杯遊んで欲しいね。


遊び終わったら家の中で一休みだ。と言うか、今日はこれで終了かな。リーシャがご飯を食べながら船を漕いでいる。レミとニナもちょっと疲れているみたいだ。午後は昼寝かな。ゆっくり休ませてあげよう。狐人族の里では知らない場所だったからか、あまり燥がなかったみたいだ。だからここではっちゃけたかな。



「今日はいっぱい寝たので、いっぱい食べるのです。」


レミ、「寝る子は育つ」とは言うけど、レミが言っている理屈は分からない。

湖に着いてから皆で遊んだ後はほとんど寝ていたけど、そんなに食べられるものなのかな。まぁ、今日はバーベキューだからいいけどね。


子供たちは、良く遊び、良く寝て、よく食べる。

何かとても分かりやすくていいね。


食後はリビングで子供たちが転がっている。皆食べ過ぎたようだ。サクヤは普通に食べて、後片付けを手伝ってくれる。さすがお姉ちゃんは違う。


「ほらみんな、お行儀が悪いですよ。」


そう言ってレミたちを起こし、ソファーに座らせていく。一緒に旅に行けるとなったことで、自分の役割をキチンと果たそうとしているようだ。偉いなと思うけど、年相応に楽しんで欲しいなとも思う。難しいね。


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