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たのまれごとは旅路のはじまり  作者: 多田シロー
第一章 はじまりのガイン王国
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18 家があると旅は楽です

食事が終わって、皆それぞれに休憩している。

俺はさっきまで魔法で作っていた家に入り、細々としたところを作っていた。キッチン、トイレ、風呂などの水回りやテーブル、椅子、ベッドなど。結構作る物が多い。そうそう、部屋の入口に扉をつけないと。


一通り作り終えて外で休憩していると、皆がやってきた。

物珍しそうにしていたり、呆れていたり、楽しそうに目を輝かせていたりと様々だ。



「お兄ちゃん。このおうちはどうしたのですか?」


レミは好奇心で一杯みたいで、我慢できずに聞いてきた。

目を輝かせ、楽しみで待ち焦がれたようにワクワク顔だ。


「さっきも言ったように、魔法の練習で作ったのさ。それから中の細々としたところを手直ししてみたんだよ。」


「すごいのです。簡単に作れるのです?」


「そうだね、思っていたよりは楽にできたよ。」


「そうなのですか。お兄ちゃんは天才なのです。」


「そうね、シンジは天災かもしれないわね。」


ちょっと不穏なことをサフィが呟く。


「どういう意味だい、サフィ。旅するときに家があれば、ゆっくり休めていいじゃないか。」


「それはそうだけど、旅する度にいちいち家を作る人はいないわ。」


あぁ、確かにそうだね。でも休むのに家があると便利じゃないか。

いじけそうだが、そこは大人の寛容さで許してあげる。

ここで拗ねるほど子供ではない。


「まぁ、中に入ってごらん。もし、不都合があれば直すから。」


皆を促して、家の中に入ってみる。



一階はキッチン、ダイニング、リビングに風呂トイレ完備だ。おまけに物置もある。

お客様用の部屋も一応作っておいた。


二階はそれぞれ個人の部屋にしてある。

自分の部屋にサフィ、モーリス、三人娘の分もある。

これだけあれば十分だよね。

完璧だ。


なんで皆は不思議そうな顔をしているのかな。

せっかく作ったのだから、レミとニナのように楽しそうにしてほしいな。


「何か、とんでもないものを見ているような気がするのですが。」


「どういう意味だい、サクヤ。」


サクヤはキッチンを見ながら呟いた。

魔導コンロに石窯風レンジ、魔石仕様の水道もある。さすがに食洗器は作らなかったけど、十分と思わないかい。


「これだけ揃っていれば、料理のし甲斐があると思うんだけど、どうかな。」


「そうかもしれませんが、これってどう使うのですか?」


サクヤは魔導コンロを指さして聞いてくる。

俺は、魔導コンロについている魔石に手をやりながら


「この魔石に魔力を流すと火がつくんだよ。そして、このレバーを動かせば、ほら火力が変わる。」


説明しながら実演してみると、サクヤとサフィは口を開けたまま驚いているようだ。

今ならその口の中に虫でも入れ放題だね。


「何よそれ。火の強さを変えるって、そんなことできるの?」


「えっ、魔力の出力を調整すればできるんじゃないの?」


俺はサフィに答えるが、サフィは納得していないようだ。

どうやらこの世界にはたいした調理器具はないようだ。火も竈で薪や炭を燃やして使うようで、火力の調整をレバーひとつで、なんて考え方はないらしい。


まぁ、便利でいいじゃない。


「シンジ殿、このコンロひとつに世の料理人は皆飛びつくと思いますよ。」


モーリスまで呆れている。

でも使い方が分かったからいいでしょ。


その他の石窯風レンジや冷蔵庫などにも驚かれたが、なんか今さらだよね。

作れたものはしょうがない。有効活用すれば問題なし。



一通り家の中を説明した後は食事をして、風呂にお湯を張って皆が代わる代わる入った。お湯に浸かるということにも驚かれたが、風呂から出てきた女性陣は満足げだった。


リビングでゆったりしていると、サフィが話しかけてくる。


「常識がどこかに行ってしまったようだわ。」


「そうかい? ゆっくりできて快適だと思うんだけど。」


「それはその通りだけど、今私は旅の途中だという自信がないわ。」


「何であれ、のんびりできて、快適だったらそれに越したことはないでしょう。」


「そうかもしれないけれど、何か納得がいかない。」


サフィは口を尖らせながら、文句にならない文句を言っている。

美人はどんな顔をしても可愛いものだね。


それよりも、さっきまで燥いでいたレミとニナが静かなんだけど、どうしたのかな。

気になってソファーを見ると、さっきまでゴロゴロしていたと思ったら、二人とも丸くなって寝る体制に入っている。


「二人とも、こんなところで寝ると風邪をひくよ。さぁ、部屋に行ってもうお休み。」


俺が声を掛けると、サクヤが返事してくる。


「はい。ほら二人とも、もう寝ますよ。さぁ、立ってください。」


サクヤは二人に声をかけて、二人を二階に連れて行った。




翌日、自室のベッドで目を覚ますとお腹が重く、両手が動かなかった。

どうしたのかと思ってよく見てみると、右手にニナが、左手にレミがしがみついて寝ていた。

二人を起こさないように、静かに腕を引き抜いて掛けていた毛布をどけると、お腹にサクヤがしがみついていた。


サクヤも起こさないようにどけてから立ち上がり背伸びをする。

昨夜は家のことでいろいろと問い詰められたが、こうしてベッドで寝られるとゆっくり休んだ感じがして心地良い。

さて、着替えてから食事の準備でもと思っていたら、サクヤが起き上がった。


「……おはようございます。」


目を擦りながら挨拶してくるが、まだ眠そうだ。


「おはよう、サクヤ。どうしてここで寝ているのかな。」


俺の一言で目が覚めたのか、サクヤがオロオロしだす。


「あの、これは、その、レミとニナが夜中に起きてトイレに連れていったのですが、帰りに二人がこの部屋に入って寝てしまったので…」



三人娘にはそれぞれ個室を用意したんだけど、昨日は一緒に寝たらしい。

んで、夜中にここで二人が寝てしまったので、サクヤも仕方なくここで寝ることにしたようだ。


まぁ、これまで野宿してきて一緒に寝ていたからね。


「ゆっくり休めたならいいさ。さて、食事の準備をしようか。」


「はい。」


俺とサクヤは食事の準備をするために、一階へと向かった。



皆で朝食をとった後、出発しようと家を出る。

もったいないけど、また作ればいいかなと思いながら家を土に戻そうとすると、レミとニナが近寄ってきた。


「おうちをどうするのです?」


「邪魔だから土に戻そうと思っているけど、どうかしたのかい。」


「せっかく作ったのにもったいないのです。」


「おうちがいい~」


レミとニナが俺の手を掴んで力説してくる。

確かにもったいないけど、このままにはできない。持って行ければいいけどそうもいかない……

あれっ、アイテムボックスに入らないかな。

俺は作った家を、試しにアイテムボックスに収納する。


「おお、入った!」


自分でびっくりしてしまった。

このアイテムボックスは無制限なのか? あれほど大きな家が収納できるなんてすごいね。

念のためにアイテムボックスから取り出して確認してみる。特に問題ない。大丈夫そうなので、家をアイテムボックスに収納して出発だ。


サクヤとサフィは呆然としているけど、気にしない。

モーリスは頭を振っているけど、気にしない。

レミとニナは大喜びだ。また家で休めるから嬉しいんだろうね。


さぁ、出発だ。目指すはガルシア湖だね。



――――――――――――――――――――――――



いったい、どれほどのものがあのアイテムボックスに入るのでしょうか。

レッドベアやビッグヴァイパー、ビッグボアなどの大型の魔物が入っているはずですが、まだまだ余裕があるようです。

と言うことは、魔力量がとんでもないほど多いということなのでしょうが、それほど大量の魔力などヒト族でありえません。


サフィーネ殿があまり気にしていないのは、彼が御遣いであることを知っているから、ということですかね。


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― 新着の感想 ―
[一言] 常識ブレイカーなのはどうでもいいけど宝の持ち腐れのような気もするな。
2021/12/16 12:27 退会済み
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