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たのまれごとは旅路のはじまり  作者: 多田シロー
第一章 はじまりのガイン王国
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14 魔剣と魔法剣と唐揚げ

「すごいのです。あんなに大きな蛇を倒したのです。」


「……衝撃」


「まぁ、ブラックタイガーを倒すくらいですから……」


レミとニナが嬉しそうに騒いでいるが、サクヤは何か諦めているように見える。どうしたんだろう。サクヤの顔を覗いてみると、


「呆れているんです! あれほど大きなビッグヴァイパーを簡単に倒したことに。」


いきなり吠え出した。

そんな大きな声を出されたら、吃驚するじゃないか。

何も悪いことしたわけじゃないんだから


「いいえ、わたしの心臓に悪いです。あまり心配させないでください。」


そうだったのか、


「心配かけてごめん。これから気を付けるよ。」


「本当ですか? あまりあてにはできなそうですね。」


そう言うとサクヤは抱き着いてきた。俺はサクヤの頭を撫でてあげる。

まったく、サクヤのような子供に心配かけるなんてよくないね。

本当に気をつけないと。


気を取り直して、ビッグヴァイパーをアイテムボックスに収納していく。

すると、それを見ていたモーリスが、


「おお、すごいですな。あの大きなビッグヴァイパーを収納できるのですか。それでは、こちらのビッグボアもお願いできますか。私のアイテムボックスには収納できそうにないので。」


と、言ってくる。


俺はビッグボアを収納しながら、気になっていたことをモーリスに聞いてみる。


「こいつを仕留めたのは魔法剣ですか?」


「ご覧になられたのですか。確かにビッグボアを仕留めたのは魔法剣です。魔法剣をご存じだったのですか。」


「ええ、まぁ。」


俺はちょっと言葉を濁した。魔法剣とは、サフィが漏らした呟きだったからだ。何か曰くがあるのだろうか。

モーリスはあまり気にしていないようで、話を続ける。


「魔法剣は、かなり前に廃れてしまいましてね。今ではほとんど見かけません。」


「そうなんですか、随分強力な剣技に見えましたが…」


「そうですね。強力なのですが、そもそも魔法を帯びることができる剣自体が少ないのです。」


そうなんだ。ミスリルやオリハルコンみたいなファンタジー金属ならできそうな気がするけど、違うのかな。


「ミスリルなどのように、魔力を乗せることができる金属はあるのですが、なかなか剣技に耐え得るものができないのです。」


「そうなのですか。」



どうやら古代文明と共に、鍛冶技術も遺失したものがあるそうだ。

一般に、鉄などの金属を鍛えて剣を作るものは今でも十分に伝わっているそうだが、魔力を込めた剣、すなわち魔剣と呼ばれるものを作る技術は遺失したそうだ。


そのため、古代文明の遺跡などから発掘された魔剣以外は存在しないらしい。魔剣自体が貴重で数少ないため、それを十全に扱える魔法剣の剣技を身に付けた者も、ほとんどいない。そして、モーリスの片手剣は希少な魔剣だそうである。

すごいね。魔剣なんてあるんだ。ということは、聖剣もあるのかな。興味はあるけど、ちょっと憚られるかな。機会があったら聞いてみよう。



ビッグボアとビッグヴァイパーを倒した俺たちは、野営の準備を始めた。まだ夕暮れには時間があるが、ビッグボアとビッグヴァイパーを解体するのに時間がかかるだろうということで、早目に準備することにした。


いつも通りテーブルと椅子は土魔法で作り、料理をどうするか考える。

蛇って鶏肉みたいだと聞いたことがあるので、今回はビッグヴァイパーの唐揚げと、焼き鳥ならぬ焼き蛇を作ろうと思う。そのためには油が必要なので、ビッグボアも一部を解体して油脂を取り出す。ビッグボアの残りは、後で解体するのでアイテムボックスに収納する。

ビッグヴァイパーも大きいので、一部を切り取り夕食用にして、残りはアイテムボックスに収納した。


片栗粉はサフィが持っていた。ちょっと驚いたが、植物の根をすりおろしてから水で揉み洗いして、乾燥させたそうである。

お腹の薬だと言っていたので、片栗粉そのものじゃないかと思う。


さすがに醤油はないので塩で味付けする。

唐揚げ用の肉以外は小さく切って、木の枝を削った串に通していく。

さすがにチマチマと木の枝を削っていられなくて、適当に切り上げる。


ビッグボアから取り出した油でビッグヴァイパーの肉を揚げる。ジュワっといい音がして、うれしくなってくる。美味しくできるといいね。

串に通した方は、サクヤに任せて焼いてもらう。

唐揚げを揚げる音がいい感じで鳴っていると、欠食児童二人娘が近寄って来た。


「とってもいい匂いがするのです。」


「……幸せな予感」


どうにも、俺の隣から動きそうにない。

二人の口元からは涎が流れてきそうだ。


「ほら、二人とも席に着かないとご飯なしだよ。」


「それはダメなのです。」


「ご飯は大事~」


そうして、勢いよく席に着く二人だった。



出来上がった唐揚げと串焼きをテーブルにならべて、いただきますをする。

レミとニナは一気に唐揚げを頬張り、幸せそうな顔をしている。


「おいしいのです。」


レミが両手を頬に当ててそう言うと、


「……幸せ過ぎる」


蕩けた顔でニナが呟く。


「これは………」


サクヤは言葉を失っていた。


「ビッグヴァイパーってこんなに美味しいの? 唐揚げはジューシーだし、串焼きはサッパリしているわ。」


サフィも驚いていた。

みんな食べたことがないのかな。


「私は、以前ビッグヴァイパーを食べたことがありますが、パサパサしてあまり美味しくなかったと記憶してます。」


モーリスは食べたことがあるらしい。でもあまり美味しくなかったようだ。


確かに鶏肉ってパサパサしてるよね。あんな感じなのかな。唐揚げにするとジューシーで美味しい。串焼きは塩しかないけど、さっぱりしていくらでも食べられそうだ。


レミとニナは、唐揚げと串焼きを交互に食べている。

サクヤも自分で焼いた串焼きを美味しそうに食べている。


食べ過ぎないように注意しておかないといけないかな。


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― 新着の感想 ―
[一言] 過去に栄えてた時代もしくは使えてた物が残ってて今は使えない又は廃れてる場合、廃れるのを待ってたか停滞を望んで堕落してたかどっちかだよね。何処ぞの物語みたくく栄えたら神だ天使だが意図的に滅ぼし…
2021/12/16 12:16 退会済み
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