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たのまれごとは旅路のはじまり  作者: 多田シロー
第四章 享楽の都
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98 暴走の後には

ベスビオス山の頂上近くにあった封印を浄化して、山の麓にある携帯ハウスに戻ってきた。

イフリートさんからもらった腕輪から出てきたサラマンダーは、サフィの肩に乗っている。サフィが腕輪に戻そうとしたらイヤがったみたいなので、そのままにしたようだ。


サフィが”サラ”と名前をつけたら大層気に入ったようで、嬉しそうにしている。ふよふよとサフィの周りを飛んでいた。

そうしていると、子供たちがサフィの肩のあたりに浮いているサラに気付き、何事かと見ている。


「火のせいれいなの。めずらしいの。」


リーシャはすぐにわかったようだ。

サラに手を伸ばしている。


サラはサフィの肩から、ふよふよと宙を泳ぐようにリーシャの元へと飛んでいく。


「真っ赤なトカゲさんなのです!」


「シャー!」


レミのひと言に、サラは大きく口を開けて抗議の声を上げる。

よくわからないけど、本人的に譲れないところがあるんだろう。


「トカゲじゃないの! せいれいのさらまんだーなの。」


リーシャがサラに代わって抗議しているようだ。

精霊と獣は違うということなんだろう。


「そうよ、サラって言うの。仲良くしてね。」


「わかったのです。レミはレミなのです。」


「……ニナ」


リーシャとサフィの話を素直に聞いて、レミとニナが挨拶している。


うん、俺も気をつけないといけない。

サラを見ていると、どうもイグアナを思い出してしまう。

あれと一緒にしたら、やっぱり怒られるんだろうな。



さて、昨日は子供たちに奮発したけど、今日は何を食べようか。

何となく気分はハンバーグなので、トロトロチーズのハンバーグにしてみよう。

ところでサラはどうなんだろう。何か食べるのかな。


「精霊は、食べることはできるけど、何かを食べるということはあまりしないわね。」


ふ~ん、それじゃ用意しなくてもいいのかな。でもそれはのけ者にするようで可哀そうだから、皆と同じものを作っておこうか。

食べなかったらそれで構わないし。


ハンバーグだけじゃいつもと変わり映えしないので、オムライスでも作ってみよう。

ケチャップがないからトマトを潰して、玉ネギ入れてニンニクも混ぜよう。ミキサーがあるといいんだけど、ないものは仕方がない。風魔法で似たようなことをやってみる。

酢や砂糖を入れて、塩コショウで整えればなんちゃってケチャップの出来上がりだ。


チキンライスを作るために、鶏肉の代わりにビッグヴァイパーを小さく切って玉ネギと炒める。ご飯も混ぜて一緒に炒めたらケチャップ投入だ。

最初はご飯と混ぜない方がいいんだっけ?

まぁ、その辺りはご愛敬で。


卵焼きもフワトロにして、チキンライスに乗せておく。

そのまま子供たちの前でナイフを使って卵焼きを切り開き、フワトロ感を楽しんでもらう。


「あれれ、卵さんがトロトロなのです。赤いご飯が見えなくなるのですよ。」


「……フワッ、トロッ…」


「きれいなごはんなの。」


そして、トロトロチーズを乗せたハンバーグを並べていく。


「おお! ハンバーグ男爵なのです。すごいのです!」


「……ハンバーグにフワトロご飯。サイキョー……」


「しゅごいの! ハンバーグなの、とろとろなの!」


子供たち、大興奮である。

ナイフとフォークは危ないから気をつけようね。

ところでレミ、なんでハンバーグ男爵なの?


「ああ、それはね、レミたちの中でのランク付けのようよ。ハンバーグは男爵。カツカレーは伯爵だそうよ。」


俺の疑問にサフィが答えてくれる。

そうだったんだ。

因みに公爵は何なの?


「そこはまだないみたいよ。あ、カラアゲは子爵ね。」


レミたちのことだから、バーベキュー公爵とか言うのかと思ったよ。


「今のところそれはないみたいね。」


サフィが笑いながら返事してくる。

何にしても、楽しくご飯を食べてくれるならそれに越したことはない。

いつも通りの賑やかな食事でうれしいね。


皆が楽しそうにしているのが気になるのか、サラがテーブルの上でハンバーグを見ている。

そして、サフィとの間で視線をウロウロさせた。

ハンバーグを食べたいのかな。


「サラ、あなたも食べてみる?」


サラの視線に気づいたのか、サフィがサラに尋ねている。

サラは頭を上下に振って頷いているようだ。


「それじゃ、スプーンをお持ちしましょう。」


その様子を見ていたサクヤが、席を立ってスプーンを持ってくる。

サクヤからスプーンを受け取ったサフィが、スプーンにハンバーグを乗せてサラの口元に差し出した。


「食べてごらん。」


差し出されたハンバーグを口に入れると、サラは驚いたような顔で固まった。

精霊にハンバーグはダメだったかな。


固まったと思ったサラが突然ワタワタと四本の足を動かし、サフィの手元に近づいて短い前足でスプーンを叩く。

そして視線はハンバーグから動かさないでいる。

気に入ってくれたかな。


「サラはハンバーグ男爵を気に入ったみたいね。」


サフィが笑いながらスプーンに乗せたハンバーグをサラに差し出していく。

サラに用意したハンバーグは、きれいに食べてもらえた。



ハンバーグとオムライスで子供たち大興奮だった翌日、次の目的地に向けて準備をする。

昨日は封印も浄化できたしイフリートさんも大丈夫だったから良かったよ。

暴走していた魔物たちも、ジンさんとイフリートさんが何とかしてくれたみたいだし、結界も解除した。

忘れ物はないよね。


そうして準備を終えた俺たちは、馬車で山を下り始めた。

下りは楽かと思っていたけど、馬車が走りすぎないよう注意しながらだったから大変だった。

下りを転がっていったら、どこまでも行きそうで怖いね。



麓まで無事下りてきてほっとしていると、馬に乗った騎士のような人たちがこちらに向かってくる。

山の様子でも見に来たのかな。

俺は邪魔にならないよう、馬車を道の端に寄せてゆっくりと進ませる。


邪魔にならないようにと端に寄っているのに、騎士のような人たちは道の反対側からこちらに寄ってくる。

何だろうね。当り屋なの。


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