運転前の準備って何度やっても慣れないよね
なんか淡々と車を発車する準備してます
もうちょっとネタを仕込もうよ(セルフツッコミ
「まずは座ってね」
膝にかけられたスカーフのシワを伸ばしながら促す。
「はい」
自分もスカートだが良いのか、と思ったが丈が長いからそんなにめくれないか。
「スカート、より、あー、ローファーかぁ。ちょっとまってね」
そう言うとシートの裏から靴を引っ張り出した。
「サイズ合うかなぁ」
靴底が丸く回り込む様になっているシンプルなスニーカーだ。
靴底がひっかかると運転しづらいらしい。
「本当はスカートも運転しにくいかもだけど、まあ、なんとかなるでしょ」
ハンドルが邪魔で履きにくいが、なんとか履けた。
先に履いてから乗った方が良かったのではないだろうか。
「…あの」
「ん?」
「寝てる間に足のサイズを測りましたね?」
ジト目で顔を近づける。
「ナンノコトカナ?」
「私の足のサイズ、知ってます?」
「じ、地味に怖いから止めて」
長身なので足も大きいのだ。下手をすると夜中に注文して即配でも利用したのだろう。
そうまでして引き込みたいのか。
「次はシートの調整をします」
「はい」
「昔の文献には、ハンドルまでの距離を背もたれの角度で調整すると有るんだけど、ぶっちゃけ運転に適した背もたれの角度はそんなに幅がないので弄らないでください」
「はあ」
「この車はハンドルの調整機能がないので、予めハンドルの取り付け自体をいじってあります」
「…」
ちょっと呆れたのが顔に出てしまう。
「シートを前に出して。右足で真ん中のペダルが少し踏み込めるくらいまで」
「えっと」
「これを引っ張りながら、左足で、そうそう」
自分のシートを前後に動かして見せてくれたので直ぐにできた。
「少しって言うのは…」
「何度かやってれば分かるけど、エンジンをかけると油圧が掛かってペダルを最後まで踏み込むのはほぼ無理になるから最後まで踏めなくても良いの。あ、踏む時は踵を上げて足の裏のこの辺で踏んでね」
自分の手のひらの指側のところを示しながら説明している。
「やっぱ足長いねぇ」
「そんな事は」
「あ、そうそう」
そう言ってシートとお尻の間に指を突っ込もうとする。
「きゃっ」
左手で顔を押し返す。
「ごめんごめん。ちゃんと深く腰掛けないと運転しづらいし、腰悪くするからね。確認」
「完全にセクハラです」
珍しく動揺している。
可愛い
「ハンドルの距離は、まあ、見た目でだいたい調整しておいたから大丈夫そうね。ちゃんとした車はハンドルが前後と上下に調整できる様になっているんだけど、この車は固定なんだよね」
「私の見た目だけで調整できるって、どんだけの人を巻き込もうとしたんですか?」
目をそらして口笛を吹くフリをした。
「言っても、私もシートを前に出すだけで運転できる範囲だから、極端に手が長かったり足が短かったりしないって言う意味よん」
「はあ」
「最後はミラーを調整したら準備完了、かな」
次は車動くかなぁ(