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拠点

ようやく自動車学校跡地にたどり着きました

「ようこそ自動車部へ」


車から降りると小さい先輩が建物をバックに両手を広げてそう言った。

自分が175cmあるからかもしれないが、凄く小さい。


 可愛い…。


「あの、別に入部するつもりは無いんですけど」

「ええええええええーーーーーーっ!!」



ここは河口に近い川沿いの元商業エリア。

山と川に挟まれた狭くて長い平地に、自動車学校、ガソリンスタンド、自動車ディーラー、自家用車での来客を見込んだホームセンター、コンビニ、などなど、あったが、車を取り巻く環境が大きく変わったことで廃業もしくは移転していった。


自動車学校の施設内にもコースがあるが、前を通っている道路10km程とその周辺が閉鎖されているため、車を走らせるには不自由しないだろう。



2人を載せた車が正面の道から自動車学校の敷地に入ってくる。

入ってすぐのところは駐車場。正面は三階建の横に長い建物、奥にガレージがあるがこちら側には開かない様だ。

建物の向こうはほとんど見えないが、教習用のコースがあるようだ。


駐車場に車を駐めると先輩はそそくさと降りてしまう。

ドアの内側を眺めると、おかしな形状のレバーが目に付く。

「この車のドアノブ分かりにくいから…」

何か聞こえたがガチャリとドアが開くのと同時だった。

「ごふっ」

そんなに強く開いたつもりはなかったが、先輩が転がっている。

「あ、す、すみません」

先輩が避けたのを確認して恐る恐る降りると、割と元気そうに先輩が立ち上がり両手を広げる。



「ごめんごめん、ちゃんと聞いてるよ〜。夏休みの間、寮から追い出されちゃったんだよね」

「あ、はい」


「改めまして、部長の代々木です」

「あ、ともかずです」


「とりあえず、施設の案内ね」

「お願いします」

「1階はロビーと食堂とトイレね…」

「?」

何か言い淀んでいる様な気がするが二階へ向かう。



「2階は教室。お勧めはこちらのシミュレーションルーームっ」

ドアを開けると、本来設置されていたであろうシミュレーターが端に寄せてあり、車のシートとPCとモニタが置かれていて、ハンドルコントローラーやらシフトノブやらペダルやらが繋がっている。

「これ、ゲームじゃ…」

「シミュレーターデース」


 なぜ片言


どうやら私物ではなく、部費で揃えたゲーミングPCっぽいが、深くは突っ込まないことにした。


「で、3階が宿泊施設、なんだけど、どうする」

「どうするとは?」

「2人部屋なんだけど」

「あの、先輩が良ければ同室でお願いします」

「え、本当? やったー」

手をぶんぶんして喜んでいる。


 可愛い


「部屋自体は余ってるから、1人になりたい時とかは好きにして良いからね。荷物置いたり」

「あの、ちょっと良いですか?」

「何?」

先輩の頭を押さえ込む様にして触る。


 猫耳じゃ無いんだ。そりゃそうか


「え?なに?なに?」

「あ、すみません、寝癖になっていたもので」

手を離すと、髪の毛がまた猫耳の様に起き上がってピコピコしてる。


 可愛い


「ちょっと重要なことを聞きたいんだけど…」

先輩が真剣な顔をしている。

「なんでしょうか」


「あなた…、料理とかできる?」

しばらくは、あまり事件とか起こらない感じですかも

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