遅起床
はつ続き
どんな風に繋げてどんな風に終わらせば良いのか
スマホのアラームが鳴っている。
「んー、約束の時間?」
から、かれこれ10分ほど経ってる。
「だれだスヌーズとか考えたやつ」
使ったのは自分である。
むしろ自分で決めた時間の20分前にアラームをセットしたのがそもそもの間違いだった。
ガレージの隅に置かれたボロボロのソファーから飛び起きる。
とりあえず顔だけ洗って、スカートを履く。
Tシャツ一枚で寝こけていたのだ。
別に普段からだらしないとか、朝が弱いとか言うわけではない。
ただ、予定が有ると他の事が手につかなくなるのだ。
Tシャツ一枚でソファーでゴロゴロするのがだらしないのは認めざるを得ないが。
ここはかつて自動車学校と言う施設だった場所。
完全自動走行車両以外の公道使用が禁止されたため、この国には運転免許と言う制度自体なくなっていて、存在理由を失った施設だ。
現在は県立高校の自動車部の拠点となっている。
部員数は10人ほどいるが、実際に活動しているのは1人だけなので、好きな様にやり放題だ。
別に寂しくはない。寂しくない。
この施設には宿泊施設もあるので、事実上ここに住み着いているが、ここに来た事もない顧問から電話で
「今度1人そこに住む子が行くから」
と、一方的に頼まれたのだ。
駐車場に出る。何台か止まってはいるが、大半は見るからに動かない放置車両だ。
その中で異彩を放つ黄色い車に向かう。
開けっ放しの左のドアから頭を突っ込む。
いわゆる左ハンドルと言うやつなので、こちらが運転席だ。
ルーフまでで120cm程しかないので、身長156cmでも工夫しないと乗りづらい。
シートとシートの間にあるセンタートンネルに設けられた肘掛に手をついて足も中に入る。
くるんと向きを変えてシートに座る。
ドアは複雑なヒンジになっていて、引っ張ると前に迫り出していたドアがボディの開口部と並行になって、そのまま真っ直ぐボディにハマる。ドア自体がフレームの一部になっていて、この車は特にガッチリと固定される。
プリセットボタンを押すと、シートとハンドルが自動的に動いて、前回運転した時のポジションになる。
正直、無駄な重量なのでは? と思わなくもないが、ぶっちゃけ楽しいので許す。
キーを挿入して、センターコンソールのキノコ型のボタンを矢印の方向に回す。スプリングで押し戻されたボタンがバチンと音を立てる。その隣のトグルスイッチを奥に倒すとモーター音と共に何かが擦れる様な音がし出す。
エンジン始動の瞬間、ガクガクっと揺れるがしばらくすると落ち着いてくる。
ブーンと言う感じにエンジンが静かになるのを待って発進する。
待ち合わせ場所は、川沿いの道の突き当たりにある橋のところだ。
投稿する時に、この部分で完結しますを選びそうになる(どきどき
まだ終わらないよ