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最後ですから

魔法使いになってからは服を作ったり、薬を作ったりで旅立ちの準備に毎日が慌ただしく過ぎていった。

「よし‼準備完了。」

「明日出発できそうだな。」

「はい‼」

そしたら今日が最後か…。やっぱりちょっと寂しいな。

『どうした?』

トリストが伏せた私の顔を覗いて来た。…やっぱりすごいやトリストは。

「今日はトリストと師匠と寝たいなーと思って。」

そう言ってトリストに抱きつくとファリスが私に飛びついて来た。

「もちろんファリスも一緒にね。」

ファリスを抱っこしてトリストに寄っかかり師匠を見る。

「…私は遠慮しておく。そもそもこの家にそんな広いベッドは無い。」

「別に大丈夫ですよ‼ファリスは私の上に乗せるし。…だめですか?今日が最後だからみんなで寝たいなって思ったんですけど…」

『私は別に問題無いぞ。』

「わんっ‼」

「二人ともありがとう‼」

二人にお礼を言うとまた師匠を見つめる。

「…………」

『グラディウス…』

「……トリストお前は私の使い魔の筈だが。」






ーーーーーーーーーーーーーーーーーー




と言うことでみんなで寝ることになりました‼師匠は最後まで嫌な顔してたけど。

「…狭い。」

「でも暖かいですよ。ねーファリス。」

「わんっ‼」

壁側にトリスト真ん中に私そして師匠。ファリスはもちろん私の上。確かに狭いけど暖かいしなんだか楽しい。

私がニコニコしながらファリスを撫でているとトリストがこちらをじっと見つめていた。

「どうしたの?トリスト。」

『…いや。大したことでは無いのだがファリスは何の動物なんだ?」

「何って狼だよ。ね?」

「わんっ‼」

「………」 『………』

「…私には動く綿玉に見えるが。」

「えっ。師匠それは酷いです。どう見てもトリストと同じ狼ですよ‼」

確かにトリストに比べたらちょっと小さいけど立派な狼だ。

『!?』

「…だそうだ。トリスト。」

『…エルピスの目にはあの様に私も映っているのか…いやしかし…』

「?…師匠トリストどうしたんですか?」

「あいつは自分の姿を気にっているからな。」

「???」

「…まぁ気にするな。」

トリストを見るとまだブツブツと何か言っている。…本当に大丈夫かな?

「あっ。そういえば師匠に聞きたいことがあったんです。」

「なんだ」

「ファリスって喋れる様になりますか?」

トリストの様に使い魔とは普通に話せると思っていたんだけどファリスとは未だに話せていない。

「あぁ。今はまだ馴染んでいないだけだ。そのうち話せる様になる。」

「良かった‼早く話せたらいいね!」

「わんっ‼」

でもファリスとは話せないけど感じてることは大体わかる。これは使い魔が自分の魂の一部からできているからで、繋がりが深くなると感覚も共有できるようになるらしい。

「…そろそろ寝るぞ。……トリストお前は諦めろ。」

そう言うと師匠はランタンの灯りを消した。

『………』

トリストが師匠を物凄く睨んでいる…ヤバそう。

「トリスト。トリストはとってもカッコイイよ‼私大好き‼」

私が褒めると何故か喜ぶのでとにかく褒めてみる。

『…エルピス』

するとトリストが私に甘える様にすり寄って来たので、それを撫でると気持ち良さそうに目を閉じた。

……これで大丈夫かな?

「…エルピス。」

「どうしたんですか?師匠。」

「…おめでとう。」

師匠はそう言うと私に背を向けた。

「…ありがとうございます。おやすみなさい。」

「あぁ。」

幸せ過ぎてニヤけてしまう。…やっぱり師匠に会えて、弟子になれて本当に良かった。

私はそんな幸せに包まれながら目を閉じる。






…その日小さい頃の懐かしい夢を見た。ただ少し記憶と違うのはそこにファリスもいたことぐらい。

ちなみにファリスの今の姿はポメラニアンに似ています。

読んで下さりありがとうございます。

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