3-1-3 収納にまつわるお話。 //木工商人の無理難題(その3)
私は精霊の方を見て
「世界樹の葉をあなたたちにお返しします。世界樹との縁が再び結ばれたことを感謝するとともに、これからも魂の交わる先まで同じ道を歩いて行きましょう。」
「やはり、あなた様は…。」
「ええ、まぁ、あいつとは、飲み仲間だったのですがね。」
「世界樹と知り合いなのか?!」
精霊の納得したような口調とその後ろに勢揃いした召喚された精霊達。
生み出された精霊たちのほとんどはまだ後ろで舞っているが、一部は私の周囲に散らばり、徐々に様々な色が薄く付きつつある。
商人は、その光景と精霊達の様子、私の口調から普通ではない知り合いだと確信したらしい…が。
「世界樹は、あいつに聞かされていましたし、いつも見ていたので。しょっちゅう、消えていましたが。」
「…??」
「ああ、こちらにある世界樹は樹木そのものですが、あれは化身みたいなもので、精霊界にいる世界樹は別の名前を持つおんなの子ですよ。私の知り合いは、その父親に値するようなものです…、あ、気がつかれてしまいました。」
突然、周囲が重くなったような感じがあり、すぐ隣に壮年の男性と小さいおんなの子が姿を表した。
「私のこと、話さないでって言ったのに…。」
「久しいな。たまには、酒でも飲みに来い。」
「そうですね。ヒマがあれば。しかし、お茶ではなくお酒ですか。あなたらしいですが。」
そう、相手に返すと小さいおんなの子の目線に合わせるようにしゃがんで、
「ごめんね。思わず自慢しちゃった。お父さんを困らせていない?お母さんには会ってる?」
「うん。あ・な・た・にも逢いたかった。」
「うーん、その話はまた今度。」
苦笑している精霊王あいつと微笑むような温かい波動が感じられる精霊達。
そして、驚きすぎた影響か固まっている商人。
「さて、そろそろこちらから帰ったらどうですか。ここにいると他の子も来てしまいますよ。」
「おお、そうだな。では、待っているぞ。」
そういうとあいつは来たときと逆に周囲を軽く感じさせながら消えた。
「で、君はいつまでくっついているのかな?」
世界樹おんなの子は、私の隣を私の位置と主張するかのように立っている。
「しばらく一緒にいたい。」
「…仕方がないな。しばらくだぞ。」
すごく嬉しそうな表情をすると
「うん。」
あいつは去って行き、世界樹の葉っぱを精霊達へ返し、その場で世界樹の本体おんなの子は、その場にいた精霊達を祝福して、昇格させると商人の方に向いて、こう言った。
「私と従属契約を結びましたが、最愛の人とも知り合ったご様子。これを使ってください。」
渡された指輪-にしてはやや大きいが-を渡されると、それを持ちながら、商人は、
「従属契約??」
と目を白黒させていたが。
「ああ、世界樹は化身なのだが本人との契約はちょっと違うんだ。まぁ、実害はないのだがね。」
「はあ、分りました。この指輪?は何でしょうか?」
「これはな。」
そういうと商人の左腕を持ち上げて、手首の辺りに触れさせると、指輪が大きくなり手首に収まるとそこに紋様となって残った。
「これで完成。これは、想庫想庫だ。」
「倉庫?」
「この倉庫と言うのではなくて、想像上の倉庫という意味だな。」
「想像上ですか。」
「そういうこと、こちらも容量は特にない。実際の倉庫は、精霊界にあって、そちらの特殊契約者専用スペースを使っている。私の体内倉庫も一部分はそちらを使わせてもらっている。」
木工商人は、便利な倉庫を手に入れた。
しかし、ユニークスキルと特殊な状況によって手に入れたこれらの物は、一般的な普及はできないだろう。
商人は、これで十分、いやそれ以上と言っていたが。
全てが終わり、精霊達は格を上げて帰還。
おんなの子は、私の元に残り、商人も何度も頭を下げて去って行った。
「それで、いつまでいる?」
「ずっと。」
どうやら、精霊界まで送り届ける必要があるようだ。
3分割のお話の3番目です。
この番外編は、基本的に独立したお話になっているので、各話の設定がオーバーラップしたり、関連性が逆転していてもいいように書いています。
大精霊とか精霊界のあたりは、共通世界設定にもあります。
さて、分割のお話は、ここまでです。
ここまでお読み頂きありがとうございました。




