+4 姉妹のお願いと母親の責任要求
薬草をいっぱい持っている。
指定されたものだけでも多くの薬草をむしったのだが、元々採取しにくい草だった。
これも指定された以上のものが体内倉庫に入っている。
採取段階で、別の薬草や果実、花や葉などの植物が余すことなく入っている。
ちょっとやり過ぎて、森の一角に空白地帯をつくってしまった。
何はともあれ、薬草をいっぱい持っていると思われたのは、ギルド職員だけではなく、ギルド周囲にある家や商人達からも購入したいという要望があった。
自分で使うから、ダメですと答えているのに、中々諦めてくれない。
ある時、思い詰めた姉妹が訪ねてきた。
「私たちがどうなってもいいから、薬草でお母さんを助けてください。」
「お願いします。お願いします。お、うう。」
お姉ちゃんの方は、必死で懇願してくるし、妹さんの方は泣き崩れてしまった。
見た目は、非常にまずい状態。
だから、お母さんの様子を見せて…と言ったら、町の外にあるスラム街に住んでいた。
スラム街と言っても、見た目は普通の家屋が並んでいる。特に、鬱屈しているような雰囲気もない。
2人に対して、様々な励ましや露天からのおごりが続いていた。
その中の1人、露天商の男から、あの姉妹についてのはなしを聞いた。
母親は、元貴族。父親は、元近衛兵だったという。十数年前に父親が消息不明になり、母親が一人で育てていたが、周囲の人も、最初は同情。今は、姉妹の言動で逆に元気をもらっていて、我が子のように接しているのだそうだ。
だから、母親の病気も、みんなが治療方法を探しているけれど、まだ有効なものがない。
それでも、万能薬の材料である薬草…どれだか分からないけれど、を持っていると思った私のところに来たのだと言う。
姉妹の家に着いた。
おかしな話だが、家の前に立った時、どこからか見られていると感じた。
敵意などを感じられないので、なぜなのかがよく分からなかった。
これは、多分母親が使っている。左右にいる姉妹の様子を見ているような気がしただから。
家の中に案内され、母親の眠っている部屋に入った。
寝たふりしてた。
姉妹が母親を揺る動かすと、さも今起きました…という仕草をした。
少し、呆れたような顔をしたら、頭の中に言葉が浮かんだ。
『この子たちには、内緒にしてください。』
「まぁ分かった」
頭の中に浮かんだ言葉に対して、声を出してしまったら、姉妹が曲解したらしく。
「これでお母さんの病気が治るんだ。」
「お母さん~。」
と姉妹が泣き出してしまった。
まずい。そういうつもりで言った訳ではないのに。
泣き止んでから、治療のためと姉妹を部屋の外へ移動してもらい、母親に対しても病気の特定のため、上半身の着衣を脱いでもらった。
かなり、恥ずかしいがっていたが、なぜ?
「恥ずかしいのです。きちんと、責任を取ってください。」
「病気が特定できれば、治るように責任を持つつもりだ。」
そう言うと、なぜか
「そちらの責任ではありません。」
と怒ってしまった。
どこに問題があるのだろうか。
朴念仁?
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