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89.似たもの親子


部屋に戻るとさすがにアントレ侯爵もフリーズ状態から復活して椅子に座りクマと話をしていた。


「おう、王子様のお帰りか。」


何を言ってんだかクマは30代のおっさんを捕まえて。


「んん?ソラ殿。リーゼの様子はどうだったね?ん?」


アントレ侯爵の言葉の節々に間違いなく怒気が孕んでいる。


自分の娘を倒れるのを支え、街を救った英雄とは言え素性のハッキリしない男が大事な娘を抱えて運んだんだから仕方ないけど、あんた娘が倒れるのをただ固まって見てただけじゃん。


「部屋でお休みになられて今はアンさんが看ておられます。」


なんかアントレ侯爵の怒気が膨れ上がって背後に「怒」の字が浮かび上がってる気がしますが・・・。


「んん?ソラ殿。百歩譲って急に倒れたリーゼを受け止めたことは良いとしよう。でも娘のプライベートルームに入ってリーゼの顔を堪能したことは街を救った英雄だとしても看過できませんなぁあ!」


えぇぇぇ!


アントレ侯爵は親バカを拗らせ過ぎでしょ!


怒りが顔に出るまでは分かるとしてもその怒りをぶつけちゃダメでしょ。


さっき政争を戦ってきた貴族だと感心した気持ちを返してください!


部屋に入ったのもアンに頼まれてだし、寝顔は確かにベットに寝かせるときにチラっと見たけど、堪能なんてしていませんよ!


でもきっとアントレ侯爵はオレの言葉なんて聞いてくれないよな。


むしろ余計に怒りを爆発させるな。


困った。


クマは知らん顔で役に立たないしな。


「ゴホン!」


誰だ!この空気の中で咳払いできる強者は!


「なんだセス!!」


おお、セスさんここでも執事能力発揮ですか!?


必要なときは主をも諫める!


「旦那様が固まっている間にリーゼ様を助けたソラ様。そのソラ様はこの街で唯一逃げずにコックローチを撃退したお嬢様が尊敬する英雄。そんなソラ様を責める旦那様をお嬢様はどう思いますかね?」


あ、アントレ侯爵が怒りが嘘のような顔で固まった


さっきのリーゼちゃんみたいに大量の汗が出てるよ。


さらにリーゼちゃんのようにギギギっとセスさんのほうに顔を向けた。


やっぱり親子なんだな。


リーゼちゃんとそっくりだ。


「セ、セス。な、なにを言っているのじゃ。ワシが街を救ってくれた英雄を責めるだなんてそんなことするわけないじゃないか。な、なぁソラ殿。は~はっはっは」


さっきまでの怒気はどこに行ったのかアントレ侯爵はオレの肩をたたきながら笑い出した。


「は、はぁ~。」


リーゼちゃんに嫌われるのがよっぽど嫌なのか態度が180度変わったアントレ侯爵に生返事を返すしかオレにはできなかった。


「左様ですか。それはよかったです。またお嬢様に嫌われたと言って公務に支障をきたすのかと心配しておりました。」


えぇ~、公務に支障がでるほど落ち込むんですか?


リーゼちゃんはアントレ侯爵家にとってかなり重要なファクターになってますね。


「うんうん、すまないが報酬も渡し終えたしワシは公務があるのでこれで失礼するぞ。また会おうソラ殿、ジン殿。」


誤魔化すようにアントレ侯爵が会談の終了を宣言した。


「「はい、ありがとうございました。」」


こうして若干の波乱があったもののアントレ侯爵との会談は無事終わった。



ふとした行動が親子は似るものなんですかね

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