88.英雄好きのお嬢様
リーゼちゃんのお部屋はいかにも女の子って感じの可愛らしい部屋だった。
全体的にピンク系の色が多様されておそらくこの世界では高級品なんであろう綺麗な人形が飾られていた。
部屋の中になにか見てはいけないもの主に衣類なんかがあったら困るなと思っていたが部屋はキレイに片付けられていた。
ちょっと考えれば分かることだが貴族の屋敷なのだからメイドさんが常に屋敷を綺麗に片付けているのは当たり前だ。
アンさんの案内で部屋の中央に置かれたのマンガに出てきそうなお姫様ベットにリーゼちゃんを寝かせた。
ベットに側にある本棚には勇者や英雄の冒険譚が多く並べられてるのが部屋の雰囲気と異なっていて異彩を放っていた。
「ソラ様、お嬢様をお姫様抱っこで運んでくださりありがとうございました。」
アンさんがお礼を言ってくるけどオレじゃなくても良かったよね。
それにしてもやけにお姫様抱っこを強調してくるな。
「お嬢様もきっと喜ばれます。」
顔を見て気絶するような相手に運ばれたと知ったらショックじゃないかな?
「オレがリーゼ様を運んで大丈夫だったでしょうか。貴族のルールは分かりませんが身内でもなくその上嫌っている相手に運ばれたって知ったら・・・。」
態度はちょっと問題がある子だけどそれでも嫌われるのはイヤかな。
オレは人の嫌悪に弱いからなぁ。
「大丈夫ですよ。むしろソラさんに抱えられたと知ったら喜ぶはずです。」
なぜに?
少なくともオレが好かれている雰囲気はなかったはずですが・・・・。
オレが若干困惑しているとアンさんが理由を教えてくれた。
「ベットの側にある本をみて分かるようにお嬢様は勇者や英雄のお話が大好きです。そして今回皆が逃げ出す中縁も縁もないあなたがコックローチの大群からこの街を救い英雄と呼ばれているのを聞いて、その英雄に会いたいがためにアントレ侯爵に無理を言って先日は外出したのです。ですから英雄と呼ばれるあなたに抱えられたことを絶対喜びます。」
英雄て呼ばれている人物がこんなおっさんですいません。
「逆に理想と現実のギャップに苦しみそうですけどね。はじめに会ったときもあまり良い印象を持たれなかったようですし・・・。」
理想を打ち砕いてゴメンねリーネちゃん。
「いえ、おそらく初めに会ったときは街を救った英雄があんなところを歩いているとは思わなかったので逃げ出した冒険者がフォルスに戻ってきたのだと思ったのでしょう。」
単純にパッシーを狙って来たのかと思ったけど違ったのか?
「まぁ、嫌われてないのなら良いです。パッシーはあげれませんけど、遊ぶくらいならかまいませんから。そのように伝えてもらえますか?」
ちょっと我儘ではありそうだけど周りの人の印象からも根は良い子みたいだしな。
「ありがとうございます。必ずお伝えしておきます。」
女の子の寝ている部屋に男が長々といるのも良くないのでアンさんに後のことを頼んでセスさんの案内でアントレ侯爵とクマのいる部屋へと戻ることにした。
しかし、セスさんがいるのを完璧に忘れてた。
おそるべき執事の能力。




