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84.アントレ侯爵はムキムキ親父


門番をしている全身鎧を身に着けた騎士にコックローチ討伐の件でアントレ侯爵を訪ねて来たとクマが伝えた。


一人の騎士が現在確認のために屋敷の中に入っている。


少し待つとさっきの騎士と初老の男性が戻ってきた。


あれは執事だ間違いない。


どんな執事かは想像にお任せするがオレはあの人はできる執事だと思う。


「ジン様、ソラ様。お待たせいたしました。ここからは(わたくし)セスがご案内いたします。よろしくお願いします。」


セスさんはとても丁寧な口調と言葉に合わせてお辞儀で挨拶してくれた。


お辞儀は背筋が伸びたままビシッと腰から頭を下げている。


オレにはやれと言われてもあんなキレイなお辞儀はできないな。


このお辞儀だけでセスさんへの好感度が鰻上りだ。


「これはご丁寧によろしくお願いします。」


「セスさんよろしくお願いします。」


「それではご案内します。」


オレの言葉遣いを聞いてクマが驚いた顔で見てくる。


なんだ、オレは何か不味いことしたか?


セスさんと比べればダメダメだが、それなりにきちんと挨拶できたと思うぞ。


これでも営業活動を1年間だけだけどやっってきたからな。


あ、でもこっちとあっちじゃ違うことがあるはずか。


「おまえ、きちんと挨拶できたんだな。」


どうやら変なところはなかったらしい。


「当たり前だ。」


それにしてもなんて失礼なクマなんだ。


オレはそんな失礼なクマの相手はするつもりはコレッポッチももないのでセスさんのあとを歩いてついて行く。




屋敷の中はオレの想像していた貴族の屋敷とは少し違っていた。


貴族の屋敷といったら価値の分からない派手な絵画や陶器、それに使い方の分からないガラクタがたくさんおいてあって無駄に使用人が何人もいるものだと思っていた。


ところが今のところセスさん以外の人には会っていない。


置いてある家具や調度品はたしかに良い素材を良い職人が仕上げたものだろうことがオレにでも分かるものだし、その上でどれもケバケバしくなく(ひん)の良いものばかりだ。


それに絵画や陶器などの芸術品は置かれてないようだ。


そんな風に屋敷ないの様子を見ながらセスさんに着いて行っていると


「この屋敷にあった不必要な絵画や調度品は街の復興の資金にするために処分の準備をしております。」


さすが優秀な執事の雰囲気を持つセスさん《冷静》さんや《ポーカーフェイス》さんが必死でお仕事しているのにオレの心が読めているようだ。


「それは街の住民達も喜びます。アントレ侯爵は噂通りの人物ですね。」


アントレ侯爵は少なくとも住民を置いて逃げ出すような人物ではないだろう。


クマは「オレは分かってるぞ」とでも言いたげに腕を組んでウンウン頷いている。




セスさんが一つの扉の前で立ち止まった。


「このお部屋でお待ちください。すぐに主を読んでまいりますので。」


セスさんが扉を開けてくれたのでクマの後に続いて部屋に入る。


部屋の中には足の高さがヒザほどの巨木から取り出しと思われる継ぎ目のない大きなテーブルが1つにソファが大小あわせて4つ置いてある。


雰囲気は現代の応接間にとてもよく似ていた。


ただ部屋の広さは全く違ってとんでもなく広い。


具体的な広さは分からないがこの部屋が4部屋に別れいてもオレは十分に広い部屋だと思う。


オレにはちょっと広すぎて落ち着かないくらいだ。


「ソラ、いつまで立ってんだ。座って待とうぜ。」


クマはやっぱり神経が図太いみたいで平気でソファに座っていた。


オレが座ってすぐにセスさんと腕の太さがオレの2倍は在ろう筋肉ムキムキのヒゲ親父が入ってきた。


この如何にも軍人風の人がアントレ侯爵なんだろうな。


現代の体育会系を濃縮したような人な気がする。


オレが苦手なタイプだ。


「初めまして私はファルスの街でギルドマスターをしておりますゲンと申します。こちらは今回のコックローチ討伐でもっとも活躍したギルド員のソラです。」


簡単にクマ自身とオレの自己紹介の後クマが頭を下げたのでオレも合わせて頭を下げた。


体育会系の人って苦手です。オレはもっと穏やかに過ぎたいんです。

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