77.クマの呼び出し
困った。
オレはエリナさんを怒らせてしまったようだ。
しかし原因がさっぱり分からん。
このまま立っていても解決しないので一旦席に着くことにする。
ダメだ。
恋愛経験値が0のオレでは女性の機嫌を直す方法が思いつかない。
誰かから知恵を拝借しなければ・・・。
「ソラ、どうしたんだ?難しい顔して?」
「ああ、なんとなくエリナさんが怒っている気がするんだ。」
「どうせ、ソラがセクハラでもしたんだろ?誤っておくんだぞ。」
「ブヒブヒ」(エリナが怒って料理してくれなくなる前に謝っておけよ。)
(ゴメンナサイ、ダイジ)
この方面では全くオレの使い魔は当てにならないな。
それにオレはセクハラなどしていない!
アレ?でもオレ記憶がない・・・、しかしエリナさんは特に何も言っていない・・・。
とにかくもっと情報が必要だ。
「怒ってる理由も分からずに謝ってもまた怒らせるだけだろ。ちゃんと考えて謝らないと。」
「遅れれば遅れるほど気まずくなるぞ?」
確かにジンの言うことも正しいんだが・・・。
そんなふうに悩んでいるとエナちゃんが朝食を運んできてくれた。
「ソラさんにはたまご雑炊。ジン君とパッシーちゃんには肉野菜炒め、ポックルちゃんにはミックスジュースです。」
ここはエリナさん以外で唯一の女性であるエナちゃんにアドバイスをもらおう。
「エナちゃん、エレナさんが怒っているみたいなんだけどどうしてかな?」
「ああ、アレはちょっと拗ねてるだけだから。ほっておいたらいいよ。」
エナちゃんあなた自分のお母さんをほっておくってねぇ。
「いや、すぐ機嫌を直したいんだ。なにか良い方法ないかな?」
「それならいつもみたいに話かければいいんじゃないかな?私は仕事にもどるね。」
そういうとエナちゃんはさっさと厨房へもどっていった。
なぜにいつも通りに話たら機嫌が直るんだ?
エナちゃんに聞いても分からん。あとでもう一度エリナさんと話そう。
エリナさんのご機嫌を治す具体案がないまま食事を取っていると宿に誰かが尋ねてきたようだ。
「おはようございます。こちらにソラさんがいらっしゃると聞いたのですがいらっしゅいますか?」
どうやらオレにお客さんのようだがなんだろうか?
エリナさんが対応する前にオレは席を立って男のもとに向かう。
「あの~、オレがソラですけどなんでしょうか?」
「えぇ!?あなたがあの『殲滅者』のソラさんですか?以外と普通の方なんですね。」
「えっと、良く分かりませんがソラは私のことで間違いないです。」
男はしまったという顔をして慌てていた。
まぁ、自分がモブっぽいことは気にしてないですよ、ほんとですよ。
「失礼しました。ギルドマスターが本日一度ギルドに来てもらえないかとのことです。」
ギルドマスター??
あ、クマか。
「分かりました。知り合いの様子を確認してから伺うので昼ごろにはいけると思います。」
「ありがとうございます。最後に握手してもらえませんか?」
恐る恐るという雰囲気で聞いてきた。
「握手ですか?構いませんよ。」
できれば美人と握手したいけど、特に断る理由もないしな。
「ありがどうございます!」
男は握手をすると若干ウキウキして帰っていった。
ほんとにあれが美女だったらと思うよ。
「今日依頼は受けないから、ジンたちは孤児院の子達と遊んでおくか?」
「そうだな。偶には遊んでやらないとあいつ等うるさいからな。」
「ブヒブヒ」(シスターが何か食わしてくれるかな。)
(アソブ)
「あんまり迷惑かけないようにな。」
エリナさんに挨拶してから出かけよう。
「エリナさん、孤児院にジンたちを預けてギルドに行ってきます。」
「シスターに会いに行くんですね?」
あっれー。
なんかさっきよりお怒りじゃないかな?
と、とにかく謝るしかないか。
「すいません。オレ、エリナさんがなんで怒っているのか分からないです。でも美人のエリナさんが笑顔でいてくれたらオレはうれしいです。何でもするんで機嫌を治してください。」
頭を下げつつエリナさんの顔をチラ見する。
「はぁ、分かりました。ソラさんが悪いわけじゃないんですよ。私が勝手に不機嫌になちゃっただけですから。何をしてもらうかは考えておきますからね。」
そういってイタズラっぽい笑顔をしてくれた。
******************
やる気ポイントを50獲得した。
******************
エリナさんの貴重な表情が見れてすごくうれしい。
機嫌も直ったようでよかった。
よかったんだけどエリナさんに何をお願いされるのか考えると若干不安になる。
ホントにオレはなにをしたんだろうか?




