76.エリナさんがお怒り?
頭がガンガンする。
酒を飲み過ぎて二日酔いになったようだ。
酒好きでないオレがアレだけ飲めるってことは相当良いお酒なんじゃないだろうか?
お酒を飲んで朝起きたら美人のエリナさんが隣で寝ているなんてことはない。
残念だ。
本当に残念だ。
有り得ないと思うが全く期待してなかったわけでもない。
ベットで寝てるのはいつもの使い魔三匹。
ジンに殴られなかっただけ今日は運がよかったかな。
「はぁ、顔を洗えば少しは頭はすっきりするかな。」
はぁ~、今までになく頭がガンガンする。
今日は依頼を受けずにお休みにしよう。
それにしても昨日の晩はどうやって部屋にもどったんだろうか?
昨日はまずエリナさんがおいしいお酒があると言うので出してもらって一緒に飲んでたんだ。
エリナさんみたいに美人さんにお酌してもらってテンションが上がったのはよく覚えている。
料理の話を聞いたり、オレの日ごろの依頼の話をしたり、エナちゃんの話もしたのは覚えている。
しかしそのあたりから記憶が定かでない。
なにかエリナさんに迷惑かけてないか確認しておこう。
「ジン、パッシー、ポックル。そろそろ起きろ!」
(オハヨ)
「「Zzzzz」」
起きたのはポックルだけか。
「おはよう、ポックル。ジンとパッシーは朝食を食べないのか?」
「ぬ!メシの時間か!?」
「ブヒ~」(主オレのメシをとるな~)
2匹とも起きたな。
「みんな起きたな。朝食を食べに行くぞ。」
今日は珍しく使い魔全員と一緒に部屋を出るとそこにはエナちゃんがいた。
「あ、ソラさん。起きたんだ。昨日お酒たくさん飲んでいたけど起きて大丈夫?」
「ありがとう。二日酔いだけど、みんなご飯を食べさせないといけないからね。それと全然覚えてないんだけどオレは昨日どうやって部屋に戻ったのかな?」
エナちゃんがちょっと不思議そうな顔しながら
「ソラさん覚えてないの?昨日はフラフラで階段から落ちそうだったからお母さんが支えながら部屋に運んだのよ。」
両足の力が無くなりオレはその場で崩れ落ちた。
「ちょ、ソラさん。大丈夫!?やっぱ寝ていたほうがいいんじゃない!?」
エナちゃんが心配してくれているがそれどころではない。
「大丈夫だよ。ちょっとショックを受けただけだから。」
な、なんてことがエリナさんと合法的に密着したことを覚えてないなんて・・・。
オレのバカ、バカ、昨日の夜に戻りたい。
こうなったら次なるチャンスに向けて準備をするしかない。
なんとか気持ちを切り替えて立ち上がる。
「ソラさん、ホントにホントに大丈夫?なにかあってからじゃ困るよ。」
エナちゃんゴメン、とっても個人的な絶望だからそんなに心配しないで。
「大丈夫。ほんとにちょっと二日酔いなだけだから。」
「エナ心配しなくていいぞ。ソラはどうせ碌でもないことでショック受けただけだ。」
ジン良く分かるな。
詳しく言わないのは優しさか?
「ブヒブヒ」(どうせエリナさんに支えられたのを覚えてないのを悔やんでいるだけだ。)
パッシーは的中させているがエナちゃんには分からないのが救いだな。
エナちゃんは心配して横についてくれている。
「お母さん、ソラさんに何か二日酔いに良いものを出してあげて。」
「あらあら、ソラさん二日酔いですか?」
「はい、面目ありません。」
エリナさん覚えてる範囲ではオレと同じくらい飲んでた気がするのに元気そうだ。
お酒にお強いんですね。
「それじゃ、朝食は何か消化の良いものにしますね。」
「オレはガッツリ肉を食べるぞ。」
「ブヒブヒ」(オレも)
「はいはい、ジン君とパッシーちゃんはお肉ね。」
「えぇ!?エリナさんパッシーの言っていること分かるの?」
「なんとなくですけどね。」
親子そろってエスパーだったのか。
あれ?そしたらさっきのパッシーが言ったことエナちゃんも分かってるのか?
怖くて確認できないけど。
「ところで昨日は部屋に運んでもらったみたいでありがとうございます。」
「いいんですよ。昨日は私たちも楽しかったですから。」
「ところであまり覚えてないんですが、昨日オレはほかにはなにも失礼なことはしてませんよね?」
「ええ、失礼なことはしてせんよ。」
よかった、何もしてないか。
でもなぜか笑っているエリナさんが怒っている気がするのはなぜ?
怒ってるって《直感》さんも言っている。
「エリナさん怒ってらっしゃいます。」
「別に。お食事を用意するので席で待っててください。」
エリナさん怒ってるよね。
どうしよ。




