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67.対応依頼


オレは≪韋駄天≫を全力で使い最速で街に戻って来た。


外壁の門では多くの人が並んでいたのだが門番にギルドカードとコックローチの死骸をみせ詳しい事情を説明することで何とか先に中に入れてもらえた。


他人の迷惑を顧みずに街の中でも≪韋駄天≫を使ってギルドに入ると今は美人受付嬢を気にせずすぐにクマのもとへ向かう。


「どうしたソラ?おまえが慌ててるなんて初めてみたぞ。」


「クマ、緊急事態だ。コックローチの大群がこっちに向かってきてる。」


「それはホントかソラ!」


クマの表情が一瞬で険しくなる。


コックローチ自体は弱くそんなに脅威ではない。


戦闘能力はさして高くなく建物に隠れていれば扉や壁を越えて襲ってくることはない。


ただ、コックローチはほんとになんでも食べる。


なのでコックローチが通ったあとには草木一本残らないといわれている。


そのうえ数がとてつもなく多い。


数は脅威だ。


どんなに弱くても四方から攻撃されればある程度以上の魔法やスキルが使えないとそうそう対応できない。


人的被害を無くすことはできるだがその後街を維持するのが非常に難しくなるのだ。


だからと言って討伐はその数から軍団レベルの戦力が必要だ。


「これがおそらく斥候と思われるコックローチだ。」


そう言ってアイテムボックスからコックローチの死骸を出した。


その様子を見ていた周りの冒険者が慌て始めところでいろんな質問が飛んでくる。


しかし、ジンたちを置いてきたオレはそんなことに構っている暇はない。


「クマ悪いがここは任せた。森のそばにジン達を置いて来たので急いで戻る。」


オレは≪韋駄天≫を発動して外に飛び出す。


クマがうしろで「ちょっと待て」と叫んでいるがオレには気にしている余裕はない。



オレはコックローチの情報を伝えるため≪そよかぜ亭≫にやってきた。


「エリナさん!今日は宿を閉め戸締りをして外に絶対に出ないでください!」


オレは相当焦っているようで≪冷静≫さんも≪ポーカーフェイス≫さんも全く役に立たない。


「どうしたんですかソラさん。そんなに慌てて?」


普段見せたことのないオレの慌てぶりにエリナさんが驚いている。


しかし、オレには悠長に説明している時間がない。


この後孤児院と≪運命の導き亭≫にも知らせに行かないと。


「詳しい話をしている時間はありません。いまコックローチの大群が街に向かっています。もちろんギルドでも討伐を行います。ですが安全のため戸締りをして外に決してでないでください。」


「分かりました。ソラさんはどうするんですか?」


「オレは知り合いにこのことを知らせて討伐に向かいます。時間がないのでもう行きます。」


オレは再び≪韋駄天≫を発動させて孤児院へ向けて走り出す。


後ろからエリナさんが呼んでいる声が聞こえるがオレには立ち止まっている余裕はない。



孤児院に着いたらノックもせずに扉を開けた。


「ロイ君!」


「ソラさんノックもせずにどうしたんですか?」


そこには驚いた顔のリーネさんがいた。


とにかく必要最低限のことを伝えて対応してもらわないと。


「リーネさん。街にコックローチの大群が向かって来ています。今日は戸締りをして家からでない出ないでください。」


オレの危機感が伝わったのかリーネさんは真剣な顔になる。


「分かりました。すぐに戸締りを始めます。ソラさんたちも一緒に隠れましょう。」


「すいません。オレは知り合いにこのことを知らせて討伐に向かいます。」


リーネさんがこの事態に対応してくれることが確認できたので≪韋駄天≫を発動して≪運命の導き亭≫に向かう。


リーネさんがオレを呼び止めた気がするが立ち止まってはいられない。



最後に≪運命の導き亭≫にやって来た。


すぐに扉を開こうとしたら勝手に扉が開いてルシアさんが出てきた。


「ソラ様。こちらを持っていってください。ポーションになります。」


ルシアさんは今の事態を理解している気がする。


「ありがとうございます。今日は戸締りをして外に出ないでください。」


「はい。ソラ様も決してムリをなさらずに。ご武運を祈っておいます。」


ルシアさんは一体何者なのだろうか?


しかし、今はコックローチに対応しないといけない。


オレはジンたちのもとに向かって全力で≪韋駄天≫を発動させた。


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