57.ジンのストレス発散
想定以上のスピードで目的の沼地に到着できたが見える範囲にリザードはいないようだ。
「ソラ、リザードはどこにいるか探すんだぞ!」
オレはすでに≪魔力感知≫にいくつか反応があるのを確認している。
そのうち2匹の個体が離れたところにいるのが分かった。
「最初は単独でいるリザードをねらいたかったけどそう都合よくいかないよな。あっちにいる2匹のを狙うぞ。」
パッシーがジンの頭の上に乗り、ポックルがオレのポケットに入って全員が≪隠者≫の対象になるようにすることでリザードに気づかれないようにして移動を開始する。
リザードがオレたちの視界に収まる位置に移動し終わると全員に支持を出す。
リザードはアースリザードに比べればひどく小柄だがそれでも全長1メートル以上だ。
油断はいけないけど、オレたちがやられる心配はないかな。
それでも初めて戦う相手なので万全を尽くすことにする。
「ポックル、植物魔法でリザードの四肢を束縛できるか?」
(ニヒキ、デキルヨ)
「よしなら、まずポックルが植物魔法でリザードの動きを阻害。オレが右の一匹を弱い≪雷火の矢≫で仕留める。左の1匹はパッシーが弱いブレスで牽制してとどめをジンが刺してくれ。この後も連戦するから魔力・体力のムダはできるだけ省いていこう」
「おう、任せろ。こいつはゴブリンより倒しがいがありそうだぞ」
「ブヒブヒ」(分かった。)
(ワカッタ)
「それじゃ、カウントダウンするぞ。5,4,3,2,1、GO」
カウントが終わった瞬間パッシーとジンが隠れていた繁みから飛び出した。
2匹が飛び出したときにはすでにポックルが植物魔法でリザードの四肢を木の根で絡めて動きを阻害していた。
リザードが2匹に気づいて動こうとするが木の根は見た目以上に丈夫らしく四肢は完全に固定されている。
オレはその間に≪プログラム・雷魔法≫≪プログラム・火魔法≫≪プログラム・圧縮≫を≪プログラム・ループ≫で2秒ほどのために抑え前回より低い威力だが速射性を高めた≪雷火の矢≫を2発リザードの両目に向けて放った。
身動きのほぼできないリザードに避ける術はなくあっさり≪雷火の矢≫がリザードの両目を貫いたうえさらに頭部をも貫通し絶命させた。
オレとしては威力を抑えたつもりだったが完全オーバーキルだった。
まぁ威力が低すぎて倒せないよりは良いか。
もう一匹のリザードもにパッシーが顔に向けて炎と雷のブレスを放って気を逸らしているうちにジンが一瞬で懐に飛び込んで首チョンパで即死させている。
新しい雷鬼の斧も十分な威力を発揮しているようで安心だ。
アースリザート相対したときと同じような戦法が有効だったようだ。
「さすがにアースリザードと比べたら弱いな。」
「ソラ、ちょっと物足りないぞ・・・。」
まぁ、一方的に倒したらジンとしては物足りないだろうな。
オレはこれくらい余裕があったのほうが安心なんだけどな。
「ジンは次は一人で一匹相手してみるか。」
「それならちょっとは楽しめると思うぞ。」
ジンの戦闘狂に磨きがかかってる気が一人で勝手に突っ込んだりはしないからオレが気をつければ大丈夫だろうが責任重大だな。
「この2匹のリザードを回収したら次を探すか。」
そのあと合計で10匹のリザードを倒した。
ジンも2匹くらいなら余裕を持って対処できていた。
ジンの戦闘方法は基本的には《身体強化・纏《雷》》でスピードを飛躍的にあげて相手を翻弄し、スキを見つけたら《闘気》に切り替えて腕力を大きく上昇させて一撃でリアードを倒していた。
ほかのメンバーはポックルが足止め、パッシーは空からのブレスで牽制、オレは《雷火の矢》で一撃必殺とおおよその役割分担ができていた。
まぁ、アースリザードみたいな大物の時はまた変わるかもしれない。
「ジンそろそろ満足したか?」
「おう、今日は十分に暴れたぞ。」
よかった。
しばらくはリザード狩りをしていればジンのストレスも溜まらないかな。
「今倒したリザードを回収したら街に戻るぞ。」
「クマ、リザードの鱗の納品だ。」
そろそろ美人受付嬢のところに並ぶのはあきらめかけているオレがいる。
このことは非常に由々しき事態だがクマから逃れられる気がしない
「リザードの鱗の納品依頼だったな。キバや爪、皮なんかはどうする。」
「肉半分コッチでもらってあとは全部買取で頼む。10匹分あるから。」
アイテムボックスから納品物を取り出した。
「はぁ、10匹分とはまたずいぶんな数だな。ちょっと待ってろ。」
クマはすぐに戻ってきた。
「全部で金貨1枚だ。あとロイから明日孤児院に来てくれって伝言があったぞ。」
おそらく報酬の魔道具に関することだろう。
「分かった。明日行ってみるよ。」
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