53.エナちゃんはエスパー?
孤児院がオレにとっては居づらい空間になったので食事を断った。
オレはポックルを連れて逃げるように≪そよかぜ≫亭に帰ってきた。
「エリナさん今日の夕食は1人前。あとなにかジュースを一つ。」
「あら珍しいですね。ジン君とパッシーちゃんはどうしたの?」
いつも一緒のメンバーがいないのでエリナさんが不思議そうな顔をして聞いてくる。
美人のその顔は反則ですよ。
「今回の依頼主のところで夕食をごちそうになってるんですよ。」
「ソラさんはごちそうにならなくてよかったんですか?」
まぁ、あの空間には居たくなかっただけですからね。
「ちょっとしないといけないこともありますし、エリナさんの手料理が食べたかったので。」
エリナさんの料理をいいわけに使ってごめんなさい。
「まぁ、うれしいことをおっしゃってくれますね。それでは腕によりをかけて作りますのでお待ちください。」
なんか罪悪感が・・・。
(ノミモノ)
ポックルにコ○ラをあげないといけないな。
忘れるとこだった、危ない危ない。
アイテムボックスからコ○ラを出してポックルのコップに注いであげる。
ポックルは両手で持ってコクコクとおいしそうにコ○ラを飲んでいる。
そんなポックルの姿に癒されているとエナちゃんが夕食を運んできてくれた。
「今日はビックバードの照り焼きと野菜炒めです。それとミックスジュースです。」
「今日もエリナさんの料理はおいしそうだな。」
なぜか今日はエナちゃんがもどらずにジッとこっちを見ている。
「どうしたのエナちゃん?」
返事がない。
どうやらポックルの飲んでいるコ○ラを見ているようだ。
アイテムボックスから残り少ないコ○ラを出して。
「エナちゃんも飲む?」
「いいの!?」
エナちゃんが期待に満ちた顔でコッチを見てくる。
分かりやすいなぁ。
「いいよ。」
そういってコップにそそいであげる。
エナちゃんもポックルと同じように両手で持ってコクコク飲んでいく。
う~ん、毎朝膝蹴りを放ってくる子とは思えないな。
「甘くてシュワシュワしておいしい。いままでこんなおいしい飲み物飲んだことありません。」
いや、そんな大げさな。
「いやいや、エリナさんの料理のほうがおいしいでしょ。」
「確かにお母さんの料理はおいしいけど、こんな飲み物を飲んだことないのも本当よ。」
確かにこの世界で炭酸飲料はないかもな。
「これってどこで手に入るの?」
「いや、ちょっと特殊なルートで手に入れたからエナちゃんが手に入れるのは無理かな。すごく高いし。」
「え!すごく高いっていくらなの。」
「この大きさの入れ物で銀貨28枚だったかな。」
あれ、なんかエナちゃんの顔色が悪いなぁ。
もしかして炭酸が体に合わなかった?
「エナちゃん、大丈夫?飲み物が体に合わなかった?」
「大丈夫なわけないでしょ!なんでこんな高価なもの飲ませたのよ!」
よかった。
体に何かあったわけじゃないんだね。
「残しても仕方ないし、エナちゃん飲みたそうだから日ごろのお礼にと思ってあげたんだよ。」
「ほしかったけど、おいしかったけど、そんなに高いものとは思わなかったのよ!」
「いや、気にしなくていいよ。残しても仕方ないものだったんだから。」
「そうかもしれないけど、気にしますよ。そんなんだからシスターに振られるんですよ!」
え、エナちゃん今なんといいました。
《冷静》さん《ポーカーフェイス》さんお仕事ですよ~。
「エ、エナちゃんなにを言っているのかなぁ?リーネさんはただの依頼主だよ?」
「ジン君が言ってましたよ。シスターが美人だから良いカッコしようとしてるって!」
ジン~。
「確かにリーネさんが美人だから良いカッコしようとしたけど、振る振られるまでの関係性にはなってないからね。」
「ふ~ん、そうなの。でもどうせライトさんとリーネさんが一緒にいるのをみて逃げてきたんでしょ。」
まるでそのシーンを見てきたかのようにエナちゃんが言い当てる。
おかしい、《冷静》さんと《ポーカーフェイス》さんがお仕事しているから表情からはは読まれないはずなのに、異世界にはエスパーがいたんですね。
「そうだね、おっさんにはあの空間で一緒に食事をするのは無理なんだよ。」
「なら、この飲み物のお礼にうまくシスターに言っておいてあげるわ。」
たしかに不自然に帰ってきたからリーネさんに対してフォローしてもらえるのはありがたいな。
「せっかくの好意だし、お願いしようか。」
「まかせなさい。それじゃ、私は仕事にもどるね。」
そういってエナちゃんは席を離れ仕事に戻っていった。
オレたちも食事が済んだので部屋に戻ることにした。
エスパーみたいに感の鋭い人っていますよね。我こそはエスパーという方エスパーのなり方を『感想』『レビュー』等までお願いします。




