3.アンケートめんどくせぇ2
今オレはなぜか答えたくもないアンケートに答えている。
ベージュのスーツにアニメキャラのネクタイを着けた禿げたおっさんがオレの腕を掴んで全く離さなかったせいだ。
ホントこのおっさんのどこにあんなバカ力がでているのか。
ハァ、めんどくさい。
・もし異世界に旅行できるとしたら行ってみたいですか?
んん?なんかいきなりアンケートの方向性が変わったな。
選択肢もいままでと随分違うぞ。
{絶対永住}は・・・・ないな。
不便そうだし気に入らなかった絶対帰りたいからな。
{必ず参加}もし実現しても参加料金高いと参加できないし、どんな世界かも分からないと判断ができないからから、これもないかな。
{行きたい}う~ん、行きたいか行きたくないかと行ったら行ってみたいけど、今よりめんどうな状態になったら嫌だしこれもまぁないかな。
{ちょっと行きたい}お!これはちょっと行って、すぐに帰ってくる感じかな?
{行きたくない}行きたくないわけではないけど積極的に行きたいわけでもないしこれも違うかな?
{死んでも行かない}いや死にたくない。
死ぬくらいな渋々だけどどんな世界でも行くかな?う~ん{ちょっと行きたい}にまるっと。
なんかマジメにアンケート回答してるな。いつもは適当に丸つけてフリー回答は空欄にしてるのにな、なんか周りも静かな気がするしな。
とにかくさっさと終わらせて家に帰ろう。
次の質問はなにかな?
・もし異世界で使える便利は能力があるとしたらどれが良いですか一つ選んでください。
ええ~、何で一つなの何で~、これは絶対複数必要でしょ~・・・。
しかも選択肢だけでアンケート用紙の半分が埋まってるよ。
全部目を通すだけで大変だよ。
しかも文字も小さいし!
はぁ~、めんどくさい。でも、これで最後、ここまでやったんだから最後までやってやるか!!
それで選択肢の内容は、剣術、棒術、槍術、短剣術、弓術・・・。
う~ん、この辺は自分で修練っぽいのしないと使い物にならないのかな?修練はめんどうだから無し。
ここから魔法系か、火魔法、水魔法、土魔法、風魔法・・・、う~ん魔法にあこがれはあるけど、いままで使ったことがないものを簡単には使えるようにならないよな?
お手軽に使えなかったらめんどうだしな、心惹かれるけど無しで。
お、こっからは技術系か、鍛治、魔道具作成、薬学、錬金、解体、木工加工、裁縫・・・・、図工や家庭科程度ではやったことがあるな。
これらって新しい知識が必要だよな。
今更何年も勉強するのはムリだしめんどうだな。
これも無しだ。
次は、斥候系だな。忍び足、聞き耳、鷹の目、罠探知、気配察知・・・、この辺は有用だけどオレじゃぁ、うまく使えなさそうだしなにかと神経すり減らしそうだな。
うん無しだな。ここからはちょっと特殊なヤツだな。
鑑定、アイテムボックス、テイム、契約、使い魔・・・、んん!!
使い魔ってオレの代わりに動いてくれるのか?楽できそうだ。これは候補だな。
次は補助系か、指揮、連携、鼓舞、パワーアシスト、スピードアシスト・・・、オレのコミュ力じゃ、仲間だできる可能性は低いな、取るだけ無駄になるかもしれないから無しだな。
最後は肉体強化系だな、剛力、俊足、硬化、体力増大・・・・、う~ん、体張るのは30超えてこの体形の人間にはムリだから、これも無しだな。となるとこの中だと使い魔一択かな~。よし使い魔に丸っと。
「アンケート終わりましたよ。」
なぜか最終的にはノリノリで回答してしまった。
アンケートをを禿げたおっさんに渡したがさっきとはまるで別人の雰囲気になっている。
「はいはい、ありがとうございます。」と軽い返事で禿げたおっさんは受け取る。
ほんとにさっきの禿げたおっさんと同じ人物なのかと疑問に思う。
こんなこと言っても伝わらないと思うがこう瞳の力強さが全く違う。
さっきまでの頼りなさが全く感じられないほどだ。
アンケートに回答したら急に雰囲気がガラっと変わってるなんて、やっぱさっきのは演技だったのかぁ。
はぁ、おっさんにしてやられたな。
禿げたおっさんはオレのアンケートを見ながら「ふむふむ、なるほど~・・・。」
そんな雰囲気が変わったおっさんだがさすがにいきなり内容を確認するのはいかがなものかと思うがそんなことよりなぜか家に帰る気にならない。
さっきまで早く帰りたいと思っていたはずなのにちょっと怖いぞ。
しかし、禿げたおっさんはオレのことを全く気にならないのかこっちも見ずに「お!この世界にとってそんなに有用じゃないし、君ならお試しで送っても大丈夫かな。うん、」と奇妙なこと言っている。
雰囲気が変わるのは良いとしてこの態度は何なんだ?さすがにイラっとくるな。
ん、そういえばさっきから周りがいやに静かな気が・・・。
そんなことを考えていると、ただのアンケート用紙はずがなぜか徐々に発光しだした。
禿げたおっさんがこっちに顔向けて「それじゃ、アンケートありがとう。良いご旅行を!」というと同時に急激に発光が強くなり目を開けていられなくなった。
オレはカバンを持ったまま両腕で顔を覆って光からなんとか目を守ると周囲は強烈な光で埋め尽くされた。
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